Project/Area Number |
23K04153
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23020:Architectural environment and building equipment-related
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Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
野秋 政希 国立研究開発法人建築研究所, 防火研究グループ, 主任研究員 (90535478)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
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Keywords | 大規模倉庫 / 高木質化建物 / 火勢 / 上向き散水 / 実験 / 冷却効果 / 散水密度 / 火災温度低減 / 長期・大規模火災 / 散水 / 消防活動 |
Outline of Research at the Start |
大規模倉庫や建材等に木材を多用した建築物(高木質化建物と呼ぶ)では、開口部の少なさや火勢の激しさにより消火活動が困難となり、火災が長期化・大規模化する傾向にある。 本研究では、消防隊の過度な負担および経済損失を極小化するために火災の激しさ(火勢)を制御するシステムとしての新たな散水設備の構築を目指し、火勢抑制に最適な散水方式や有用性の評価、当該システムを建築物に導入する上での課題検討を目的とする。検討事項は主に「散水による火災室温度低減効果の把握」と「消防活動の容易さと火災被害等の関係把握」であり、前者は実験や数値計算等の技術検討、後者は文献調査等を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
大規模倉庫や建材等に木材を多用した建築物(高木質化建物と呼ぶ)では、開口部の少なさや火勢の激しさにより消火活動が困難となり、長期化・大規模化する。本研究では、消防隊の過度な負担および経済的損失を極小化するために火災の激しさ(火勢)を制御するシステムとしての新たな散水設備の構築を目指し、火勢抑制に最適な散水方式や有用性の評価、当該システムを建築物に導入する上での課題について検討する。特に、これまでの防火システムの散水設備として主流であった下向きの散水設備だけではなく、天井面の冷却や落下した水滴による火災室内の冷却を主とした上向きの散水設備にも着目する。 R5年度は、上向き散水設備による冷却効果を定量的に把握するため、天井モックアップ試験体を下面からガスバーナーを用いた加熱と散水を同時に行い、散水密度や加熱の強さをパラメータとした実験を実施した。当該実験では、実質的な受熱強度や火害の把握のしやすさの観点から天井モックアップ試験体を構造用合板とし、火災加熱時における試験体の燃焼発熱や炭化性状に与える上向き散水の効果を定量的に把握した。また、天井面の大部分の受熱量が発熱性試験(防火材料の性能評価試験の一つ)における加熱強度50kW/m2と同等以上となるよう火源の強さを決定し、その加熱強度を水の蒸発潜熱で十分給水可能な量を基準とした散水を試験体に供給した。その結果、加熱強度を水の蒸発潜熱で吸収可能な散水密度を確保することで天井材への昇温を起こさずに済む可能性があり、それ以下であっても散水密度に応じた受熱低減効果を得られることを確認した(本研究成果は令和6年度日本火災学会研究発表会に投稿済み)。また、一部の材料について上向き散水時における天井材の吸水性等を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
火勢抑制に最適な散水方式や有用性の評価、消防隊の過度な負担および経済的損失を極小化するために火災の激しさ(火勢)を制御するシステム(当該システムと呼ぶ)を建築物に導入する上での本研究における検討課題は次に示す①~⑥から成る。 ①温度低減に有効な散水方式の検討、②空調ダクト等の散水障害に対する配慮事項の確認、③散水時の火災室温度予測手法の構築、④天井材の吸水性の把握、⑤室温や放射熱と消防隊の活動のしやすさの関係性の把握、⑥大規模火災時の消火活動時における死傷事例およびその原因または消防隊員の負担の把握 このうち、①~④は「散水による火災室温度低減効果の把握」、⑤・⑥は「消防活動上の負荷と火災性状の関係性の把握」である。①・②は散水方式等をパラメータとした火災実験にて性状を把握し(②は予算の範囲で実施できない可能性もある)、④は天井材の材質ごとの吸水性について実験または文献調査を通じてデータを収集・整理する。③は火災室内のエネルギー保存・質量保存等の物理的概念に基づき、散水による冷却効果の定量的評価手法について検討する。また、⑤・⑥は消防関係機関によりとりまとめられた資料やデータ、研究者の執筆論文等から関連する情報を収集・整理する。 R5年度は①④に関する技術的知見の収集のための実験を実施し、定量データを得た。また、③散水時の火災室温度予測手法の構築に着手つつ、消防関係機関が検討している大規模倉庫火災の防火対策等に関する情報収集を行っており、本研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
火勢抑制に最適な散水方式や有用性の評価、消防隊の過度な負担および経済的損失を極小化するために火災の激しさ(火勢)を制御するシステム(当該システムと呼ぶ)を建築物に導入する上での本研究における検討課題は次に示す①~⑥から成る。 ①温度低減に有効な散水方式の検討、②空調ダクト等の散水障害に対する配慮事項の確認、③散水時の火災室温度予測手法の構築、④天井材の吸水性の把握、⑤室温や放射熱と消防隊の活動のしやすさの関係性の把握、⑥大規模火災時の消火活動時における死傷事例およびその原因または消防隊員の負担の把握 このうち、①~④は「散水による火災室温度低減効果の把握」、⑤・⑥は「消防活動上の負荷と火災性状の関係性の把握」である。①・②は散水方式等をパラメータとした火災実験にて性状を把握し(②は予算の範囲で実施できない可能性もある)、④は天井材の材質ごとの吸水性について実験または文献調査を通じてデータを収集・整理する。③は火災室内のエネルギー保存・質量保存等の物理的概念に基づき、散水による冷却効果の定量的評価手法について検討する。また、⑤・⑥は消防関係機関によりとりまとめられた資料やデータ、研究者の執筆論文等から関連する情報を収集・整理する。 R6年度は、③火災室内のエネルギー保存・質量保存等の物理的概念に基づき、散水による冷却効果の定量的評価手法を検討するとともに、昨年度の研究成果や先行研究の結果等を踏まえたうえで、検討の過程で必要となる①・④に関連する技術データを実験等を通じて収集する。また、⑤・⑥に関する資料・文献等の調査を行う。
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