Project/Area Number |
23K04185
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23030:Architectural planning and city planning-related
|
Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
池添 昌幸 福岡大学, 工学部, 教授 (90304849)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 共有地 / 管理組合 / 所有履歴 / 緑地率 / 宅地管理 / 戸建て住宅地 / 小規模区画整理 / コモン / 再整備 |
Outline of Research at the Start |
郊外戸建て住宅地は、空家や空地によるスポンジ化が進み居住更新が大きな課題となっている。本研究は、均質な住宅地から小規模でまとまりのある住宅地へと再整備する方法を提案する。具体的には30戸から50戸程度の近隣単位で小規模区画整理を実行し、整備後は管理組合方式によって住環境を管理する日本型ネイバーフッドリノベーションの再生整備手法を検討する。そのための研究課題として、①組合管理による戸建て住宅地の組合管理の歴史的検証、②現在のコモンを備えた工夫された住宅地事例の評価、③小規模区画整理のモデル的事業シミュレーションの実行、以上を設定する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、①福岡市早良区の昭代住宅団地の管理組合の活動経緯および住宅・宅地の変容過程の解明、②コモンを持つ戸建て住宅地の外構デザインと街並み景観の比較分析、以上の2つの研究課題を実施した。 課題①では、既入手および今回の調査で入手した管理組合資料、当時の管理組合役員へのインタビュー調査をもとに、管理組合活動の内容と管理組合解散の経緯を考察した。さらに、登記簿および字図をもとに住宅・宅地の所有の変化、宅地割の変化を分析した。以上より、昭代住宅の管理組合の積極的な活動は、住環境の保全に大きく寄与しており、組合活動を通じて自主的な建築協定が変更されていることを明らかにした。土地と建物の所有履歴は、初期分譲時の社宅および二戸建て住宅の存在、管理組合の解散、接道条件や宅地方位等の立地性の要因により街区によって特徴があり、組合解散後、昭代住宅全体の帰属意識は変質しつつあることを示した。 課題②では、福岡都市圏および北九州市における工夫された住宅地として17の事例を選定し、現地観察調査および360度カメラによる街並み景観撮影を実施した。観察調査をもとに住宅地計画と外構デザインの2つの視点から現在の住宅地を評価し類型化した。街並み景観の分析では通りの両側の構成要素別の割合、緑地率を算定し、共有地による影響を考察した。その結果、現在の住宅地の評価は共有地との関係が大きく構造的な要因によって類型化されるのに対し、緑地率は共有地の計画との関係は小さく、運用段階の管理の影響が相対的に大きいことを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究全体の研究課題として、①昭代住宅団地の管理組合の活動経緯および住宅・宅地の変容過程の解明、②コモンを持つ戸建て住宅地の管理形態の比較分析による組合管理の特性と課題の解明、③小規模区画整理の整備条件の設定とモデルエリアにおける事業シミュレーションの実行、以上の3つを設定している。令和5年度は3か年の実施期間の1年目であり、研究課題①と②の一部を実施した。 課題①は、研究計画の通り調査分析を実行し、これまでに明らかになっていない1962年の区分所有法制定初期の戸建て住宅地の管理組合の活動実態、自主的な建築協定の制定経緯とその効果を実証した。さらに、2003年の管理組合解散の経緯と解散後の住宅・宅地所有の所有履歴の特徴を明らかにした。 課題②については、令和5年度の研究によって分析対象とする住宅地計画事例の選出と20年以上が経過した住宅地の現況、特に緑地の状態を把握することができた。この成果は、共有地の管理形態分析における基礎データと位置づけている。令和6年度に実施する共有地の管理形態との相関性を分析することにより、戸建て住宅地の管理組合の効果を解明することができる。 以上より、現在までの進捗状況は当初の研究計画に対して概ね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、当初の研究計画の通り研究課題②の続きと③を実施する。令和6年度は課題②を完了させるとともに、課題③の分析対象事例の選定および現地調査を行う。 課題②では、対象とした住宅地計画事例のコモンの計画内容を類型化した上で、これらのコモンの所有形態の変遷を登記簿と公図より把握し、団地管理組合による所有の実態を明らかにする。さらに、コモンの現況を航空写真をもとに予備的に把握し、コモンの良好な環境が維持されている管理組合方式の住宅地を選定する。これらの住宅地の共有地の管理主体と具体的な管理活動をアンケート調査もしくは管理組織へのインタビュー調査によって把握する。その結果を比較分析し、共有地管理の実態と課題を明らかにするとともに、良好なコモンの環境が維持できる管理形態の特徴を考察する。 課題③では、区画整理促進機構が発行する「令和5年度版区画整理年報」より小規模区画整理の施行事例をリスト化し所在地を把握する。次に、航空写真と登記簿より小規模区画整理の立地特性、従前および従後の街区形態と空地集約、共有地の有無を把握しデータベース化する。このデータベースをもとに本研究の想定する再整備に近い事業を抽出し、現地調査を実施する事例を確定する。さらに時間的余裕があれば、選出した分析事例の現地調査を行い、現在の土地利用および共有地の記録、事業主体と管理主体へのインタビューによる共有地の計画および管理実態を把握し、住宅地の再整備による小規模区画整理の事業可能性を分析する。
|