Project/Area Number |
23K04213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23040:Architectural history and design-related
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
西川 博美 岡山県立大学, デザイン学部, 教授 (00749351)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 理 神戸女子大学, 家政学部, 客員教授 (60212081)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 公共施設 / 公会堂 / 近代日本 / 日本統治時代 / 台湾 / 地方自治 / 公共建築 |
Outline of Research at the Start |
わが国では、明治期から昭和戦前期までに「公会堂」と名付けられた建物が数多く建設されてきた。公会堂の多様な機能とその変化に着目した。公会堂は、当初は特権的市民の集会所として建設されるものが多かったが、一般の市民に開かれた集会所へと変容し、さらには娯楽の場となり、社会教育の場にもなっていく。そうした変容は、建築に「公」=公共空間が成立していく過程と見做すことができると考える。本研究は、公会堂をビルディングタイプの一つとしてではなく、建築に公共空間が生まれていく場であったと捉え、そこでの変容の実態を歴史的に明らかにしていく。研究分析の対象となる公会堂は、国内および台湾に建設されたものとする。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究の初年度である本年度はまず、国内および、日本統治時代の台湾に建設された公会堂について、既往研究によりリスト化されているものに未記載のものについてもリストに追加し、現在は作業の途中である。 その作業の中で、明治中期から昭和初期まで内地であった台湾の公会堂に着目することにより、どのように建設され、改築等を通じてどのように変容したのかを分析することができるのではないかと捉えた。その中でも、台湾北部に位置し対外貿易の拠点として早くから発展してきた港湾都市である基隆に建設された公会堂に着目した。 基隆では、都市生活の中で生まれる市民意識が公的集会所としての公会堂の建設を自発的に進められて、1903年に初代の公会堂が完成したことが明らかになった。そして、その公会堂の管理・運営を通じて、地方自治権の整備が遅れる行政の中でも、1914年にそれを補完するような組織である公益社が設立され、より大規模で都市のシンボルにもなるような二代目の公会堂の建設を行ったことを明らかにした。そこでは、庁舎や警察、郵便局など初めから公的役割が与えられているものとは異なり、公共空間が次第に成立していく経過を読み取ることができた。 基隆の2代目の公会堂が建設されて以降、大正から昭和初期において、日本国内では競うように次々と大規模な公会堂が建設された。台湾でも、1936年に巨大な規模の台北公会堂が完成する。公会堂は各種の公共建築の中で、それを代表するようなものとなり、公会堂の建設は、地方行政の重要な仕事となっていく。基隆公会堂の建設経緯からは、そうした価値や意義を公会堂が持ち得ることとなった根拠を伺うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内および日本統治下台湾の公会堂について悉皆的に調査するために、まず公会堂建築の分布と件数を把握しようとしている。また同時に、公会堂建設時の事業者、設計者、管理者についても明らかにした上で、管理や運営方法、公会堂で行われた催事・イベントの内容、そして建築の規模や意匠の変化について明確にしていこうとしている。地方都市の公会堂については、現地の図書館や資料館へ赴き、府県誌、町村誌、地方新聞などから調べる必要がある。現在、国内および台湾の主に地方都市に建設された公会堂について現地を訪れて、それらを明らかにしようとしている。 そうした中でも、台湾の基隆については、公会堂建設の詳細な経緯が明らかにできたため、学術講演会の梗概としてまとめ口頭発表を予定している。そこでは、公会堂建設の経緯、さらに建て替えの経緯、管理・運営者について、明らかにすることができたが、設計者については台湾総督府の技師と推測できるものの明確には分かっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
既往研究として参照している西澤泰彦による公会堂のリストは、建築用途から絞り込んだものであるが、本研究では「公会堂」という名称で一定期間存在し(すでに取り壊された公会堂も含む)、なおかつその管理や用途が変化したと思われるものを調査対象の建物としており、そうした公会堂について追加して、リストを完成させることを目標とする。 また、前年度に日本統治時代の基隆における公会堂について、他の公共建築の性格との違いを明らかにしたが、同じような経緯や、維持・運営手法をもってつくられた公的な公会堂が、日本国内にどのように存在しているか、悉皆的な調査により、その存在と分布を明らかにすることを目標とする。
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