Project/Area Number |
23K04227
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 23040:Architectural history and design-related
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Research Institution | Hokkaido Museum |
Principal Investigator |
鈴木 明世 北海道博物館, 研究部, 研究職員 (30823942)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2026: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 養蚕 / 蚕室 / 養蚕書 / 民家 / 寒冷地 / 歴史的建造物 / 北海道 / 開拓の村 |
Outline of Research at the Start |
明治期に国内で一大産業となった養蚕業。北海道においても明治期に開拓使や移住者たちが、本州以南で培った経験をもとに養蚕を実践してきた。本研究では、北海道の寒冷積雪の気候に合わせて、養蚕に関係する建築がどのように変化してきたかを見い出すことが目的である。そのために、①北海道における養蚕建築の収集・分類およびデジタルデータベース化→②北海道内の養蚕建築の詳細調査及び養蚕衰退後の空間転用事例調査→③郷里や参照元の地域の養蚕建築の詳細調査及び養蚕衰退後の空間転用事例調査→④北海道独自の養蚕建築のスタイルの確立・変遷過程の解明、という大きく4つのフェーズに分けて研究を進めていく。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、北海道において開拓使及び道庁や、本州以南からの移住者たちが実践してきた養蚕業に関する建築(以下、養蚕建築)について、参照元である本州の養蚕建築との比較を行い、北海道ならではの仕様について見出していくことを目的としている。 2023年度は、①開拓使及び北海道庁が刊行した「養蚕書」の収集・分析と、②福島県からの移住者が建設した養蚕民家(旭川市指定文化財)の調査を行った。 ①においては、北海道立図書館や道立文書館、北海道大学図書館等が所蔵している開拓使または北海道庁発行の養蚕書や事業報告等を計19件閲覧・複写した。それらを基に、道内養蚕業の発展過程の整理や養蚕建築の分類等を行っている。また、養蚕建築、特に「蚕室」に関わる記述を抽出しており、次年度以降本州以南の養蚕書の記載と比較して北海道独自の仕様を見いだす予定である。例えば、本年度の調査の中では、明治8年建設の浜益通養蚕室は、群馬県にある田島弥平旧宅等島村式蚕室を参考に建てられたことは既知のものであったが、開拓使刊行の「蚕織報文第2次」において、建設直後に、北海道の気候に合わせて蚕室空間に間仕切りや炉を設けることで室温の管理をしやすくするよう手が加えられたことを発見した。 ②においては、現存する建造物の撮影・記録調査のほか、保存修理工事等の記録資料を閲覧・複写し、工事によって見られなくなったかつての増改築の状況について把握した。この民家を建てた松浦家の郷里である福島県に類似した養蚕民家を確認しており、次年度以降、比較調査を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の通り、文献資料を収集・複写し、それをもとに養蚕建築の収集・分類や、養蚕書等の記載内容から北海道独自の蚕室空間づくりの可能性について調査を進められている。また、道内の養蚕民家の事例調査として、旭川の養蚕民家を確認し、工事関係資料等も収集・複写できたため、次年度以降郷里への調査に向けての基礎的情報の蓄積を行うことができた。 以上より、概ね当初計画通りの進行をしていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
文献調査では、2023年度に収集・複写した文献資料の精査を行い、特に蚕室空間について本州以南の養蚕書との具体的な記載事項の差について抽出していく予定である。 現地調査では、2023年度調査実施の旭川養蚕民家の松浦家の郷里である福島県への調査(2024年度予定)や、北海道開拓の村に移築復原されている旧菊田家農家住宅及び旧田村家北誠館蚕種製造所の郷里である新潟県及び高知県への調査、また開拓使が養蚕を取り入れた際に参考にした群馬県への調査等を予定している。 それらを基に、北海道という寒冷な気候条件で養蚕を実施するにあたって、養蚕建築においてはどのような対策を施していったのかを見出していくことを目指す。
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