Project/Area Number |
23K04237
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 24010:Aerospace engineering-related
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
河村 政昭 帝京大学, 理工学部, 准教授 (80609397)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 火星大気突入 / 全翼機 / 空力特性 / 流れ場の可視化 |
Outline of Research at the Start |
火星は大気密度が地球の100分の1程度しかないため、固定翼機が火星大気中を安定して飛行するのは難しいとされている。そこで本研究では、飛行体に働く揚力を大きくし、安定して飛行することができるように面積が大きな飛行体を提案し、火星大気圏突入から緩降下、軟着陸を同一機体で実施できる火星大気突入機を提案し、幅広い速度領域において風洞試験や数値流体解析、飛行試験等を実施することで、提案する機体の空力特性を詳細に把握することによって、その実現可能性について追及していく。
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Outline of Annual Research Achievements |
火星の大気密度は地球の100分の1程度しかなく、その分得られる揚力も小さくなり、空力的にも安定した飛行をさせることが困難になってくるため、固定翼機が火星大気中を飛行した例はまだない。 そこで研究代表者らは、大面積で弾道係数を小さくした状態で火星大気圏へ突入した後、大面積の特性を生かして、得られる揚力を大きくし、そのまま安定した状態で滑空飛行しながら山や渓谷などの火星の地形を探査することが可能な全翼機形状をした火星大気突入機の実現可能性について、EDL解析やCFD解析、および模型飛行機を用いた飛行試験により基礎研究を行ってきた。これまでの研究では、主に低レイノルズ数環境下での実現可能性について検討を行ってきたため、本研究では、更なる実現可能性について追及を行うために極超音速領域から低レイノルズ数亜音速領域における全翼機形状飛行体の空力特性を明らかにすることを研究目的としている。 上記の研究目的を達成するために、2023年度はRe=30,000~110,000の低レイノルズ数環境下で風洞試験を実施し、抗力係数、揚力係数、揚抗比、モーメント係数、安定微係数等のデータの再取得と可視化実験を行った。また、M=0.3~1.2の遷音速領域において遷音速風洞試験を実施し、抗力係数、揚力係数、揚抗比、モーメント係数等のデータ取得と可視化実験を行った。極超音速領域においては、ニュートン流解析を実施し、揚力係数、抗力係数、揚抗比、モーメント係数等の空力特性を算出した。 以上のように、1年目の初期検討として、様々な速度領域において、可能な限りの速度領域に対して空力特性の取得と可視化検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画においては、1年目に比較的速度領域が遅い低レイノルズ数環境下(Re=30,000~110,000)において風洞試験を実施し空力特性データの取得と可視化実験を行い、2年目に速度領域が速い極超音速領域でのCFD解析(あるいはニュートン流解析)を行う予定であった。しかし、1年目にISAS/JAXAの遷音速風洞試験設備を借用することができるようになったため、提案する全翼機形状の飛行体に対して遷音速風洞試験を実施し、空力特性データの取得とシュリーレン画像による流れ場の可視化を行うとともに、1連の速度領域における空力特性を把握すべきと判断したため、1年目にニュートン流解析による極超音速領域において空力特性を把握することを優先させた。その結果、M=1.2~5.0程度の超音速領域を除いて、可能な限りの速度領域に対して空力特性の取得と可視化検証を行うことができた。 これらの研究結果に対して、今後妥当性の検討などを実施する必要があるものの、1年目としては想定以上の研究成果が得られたと考えている。 一方、当初の研究計画では、1年目に低レイノルズ数環境下の風洞試験や数値流体解析から得られた空力特性データの妥当性を追加で検証するための飛行試験を実施する予定であったが、遷音速風洞試験の準備やデータ解析等に時間を要したため、実施することができなかった。 以上の進捗状況を総合的に判断して、実施する順番が多少前後したものの研究期間の3年間において明らかにする内容については変わっていないため、「おおむね順調に進展している」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況で述べたように、3年間において実施する内容と明らかにする内容についての変更はないが、実施する順番を変更する状況が発生したため、2年目以降は1年目の進捗状況を踏まえて研究を進めて行く予定である。 2年目は、1年目に実施した低レイノルズ数環境下での風洞試験の結果を踏まえて、低レイノルズ数亜音速領域でのCFD解析による飛行体周りの流れ場の可視化を行い、風洞試験で得られた空力特性の妥当性を検証する。また、これらの結果を踏まえて、低レイノルズ数亜音速領域での飛行体周りの流れ場と空力特性を把握した後、飛行体の旋回性能を評価するための風洞試験や飛行試験を実施する。これらの飛行試験について、具体的には剛構造のスケールモデルとし、滑空試験を実施することで揚抗比を算出することで抗力係数・揚力係数の妥当性を評価する。また旋回性能については、飛行体にエレボンを取り付けた場合の風洞試験や飛行試験で評価を行うとともに、CFD解析による流れ場の可視化を行うことでその妥当性や実現可能性について評価を行う。これらを実施することで、風洞試験やCFD解析では分からない実機特有の課題を洗い出していく予定である。 また亜音速領域においては、1年目に得られた風洞試験結果の妥当性を評価するためのCFD解析を実施し、複雑な流れ場が想定される遷音速領域において流れ場を正確に把握できるような研究を進めて行く。これらの結果をフィードバックさせる形で3年目に再度遷音速風洞試験を実施し、再評価を行うことを計画している。 以上のように、風洞試験、数値解析(CFD解析、ニュートン流解析)、地上飛行試験等を実施することで、極超音速領域から低レイノルズ数亜音速領域における全翼機形状飛行体の空力特性を明らかにしていく。
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