Project/Area Number |
23K04304
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 25020:Safety engineering-related
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
田中 健次 電気通信大学, 産学官連携センター, 特任教授 (60197415)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | リスク提示情報 / あいまい情報 / 安全教育 / 医療安全 / 水平展開 / 安全行動 / ヒューマンエラー / 危険表示 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、作業者に危険ハザードの存在は示すものの具体的なハザードや発生個所を特定しないなど、詳細のリスク情報の提供を意図的に制限することで作業者の注意喚起を高め、自発的な安全行動・操作を引き出す方法を構築する。さらに、作業方法やマニュアル習得の教育時に、一部の情報を隠し、自発的に考えさせることで作業者の安全意識や予測能力を向上させる方法に着目、「教える」ではなく、より少ない習得内容で多くの作業での安全行動の実現に繋がる水平展開力ある人を「育てる」方法を提案、マニュアルやルールの増大を防ぐことを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
危険提示情報の詳細化が進むと、その表示への過信に陥る危険性があるため、情報制約による過信防止効果に着目した。初めに、運転シミュレータ実験により、リスク提示情報の内容のあいまいさが対応行動を向上させる効果を明らかにし、人作業で有効な情報制約のあり方を特定することを計画した。例えば、交差点での危険警告では、リスクの対象や方向などの詳細を特定しない、リスク存在のみのあいまい情報提示が運転者の自発的なリスク探索意識を生み、広範囲・多様な状況把握を可能にする向上効果が期待される。このことを明らかにするための実験を計画した。 情報内容の制約以外にも、提示回数の制約による効果、危険表示の提示タイミング、表現が与える影響に着目するなど、様々な観点から、多様な状況下での自発的な安全行動意識・操作を高める方法を模索するために、書籍を購入し従来研究の成果を学ぶことに力を入れた。 これらと並行し、あいまい情報を利用したリスク意識の向上を医療安全に活かすことを次年度から試みるため、事前教育と作業エラーとの関係をインシデント・アクシデント報告の解析から明らかにするためのツール開発を、研究員に依頼した。同時に、インシデント報告者へのヒアリング時に、安全管理者が考えながら質疑できるフォーマットを検討した。 安全行動では何をどのように「考えさせる」ことが効果的なのかを明らかにするため、2024年度から実験を実施すると同時に、医療分野でのエラー解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
作業時、危険回避のためにはリスクを詳細に表示し作業者の安全行動を促すとの方向で安全対策が実施されることが通常だが、本研究では、作業者に危険ハザードの存在は示すものの詳細のリスク情報の提供を意図的に制限することで、作業者の注意喚起を高め、自発的な安全行動・操作を引き出す方法を構築することを目的とした。初年度にそのための実験を始める予定であったが、大学内での所属変更に伴い研究環境が大きく変わったために、実験を始めることができず、ヒューマンエラーや、その背後にある内発的動機付けなど心理学的な側面に関する最新の成果を書籍などで学び、実験で着目すべき点についていろいろと検討した。 さらに、マニュアルやルールの増大が問題になっている医療業界を念頭に、作業者の安全性追究能力の向上、水平展開力を生み出すための、作業方法やマニュアル習得の教育方法について検討している。まずは現状の問題点を明らかにすることが必要であり、現場での調査を計画しているが、本格的な調査は未だ実施していない。早急に調査を実施して、少ない教えで作業者を「育てる」方法を検討することが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に予定していた運転シミュレータ実験の実施が大きく遅れたため、2024年度は、その実験を加速して実施する。実験を実施する学生や研究員には解析の補助も依頼し謝金を支払う。この実験では、あいまい情報提示が運転者の自発的なリスク探索意識を生み、広範囲・多様な状況把握を可能にする効果を明らかにする一方で、過度の情報制約が予測効果を薄め、対応遅れを引き起こす可能性があるため、両者を考慮し適切な制約レベルを追究する。 また、複数の医療機関で教育方法の調査を実施し、インシデント・アクシデントを発生させた作業エラーと事前教育状況との関連性について、機械学習による自動分類法なども駆使して分析する。さらに、他の教育方法とも比較し、医療従事者と議論することで、安全行動では何をどのように「考えさせ育てる」ことが効果的なのかを明らかにした後、後半から学生を被験者とした実験を実施する。 2025年度には、実際の医療業務にての実証実験により、作業者を「育てる」方法で水平展開の効果が得られることを明らかにする。理由を考えさせる等の時間を要する教育は、対象を汎用性の高いルールに絞る必要が予想されるため、その選択の判断基準を検討し、その後、医療作業において水平展開を期待する汎用性の高いマニュアルやルールを実際に類別してデータベース化、学会発表やWebにての公表を予定している。
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