Project/Area Number |
23K04417
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26040:Structural materials and functional materials-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水野 正隆 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (50324801)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | βTi合金 / 第一原理計算 / β安定化 / 弾性率 / チタン合金 / ヤング率 / 電子状態 |
Outline of Research at the Start |
βTi合金は室温で不安定であるTiのβ相を合金元素により安定化した合金であるため、相安定性や弾性率などの機械的特性が合金元素の影響を強く受ける。本研究では第一原理計算により、2元系βTi合金の安定性および弾性率に及ぼす合金元素の影響を定量的に評価する。更に2元系合金で得られた結果に基づき、第一原理計算と機械学習を併用することにより、多元系合金への展開を図り、材料創成に資する学術的基盤を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究では、第一原理計算を利用してβTi合金の安定性に及ぼす合金元素の影響を明らかにする。BCC構造の単位格子を各方向に3倍した54原子からなるスーパーセルを利用して、有限個の周期的なモデルで理想的な固溶状態の原子配列を再現するSQS法により52 at.%までの2元系固溶体合金のモデルを作成した。合金元素としてMg、Al、3d遷移金属元素としてV~Ga、4d遷移金属としてZr、 Nb、Moを対象とした。BCC構造を有する純Tiは特定の<111>方向への変位が発達しω相への相変態が生じることから、<111>方向の最大変位抑制の程度がβ相の安定性の指標となる。そこで、各2元系合金において<111>方向の最大変位の合金濃度依存性を調べた結果、代表的なβ安定化元素であるMoを基準にすると、Ti-Mn, Ti-Fe, Ti-Co, Ti-Ni合金においてより低濃度側から<111>方向の最大変位が抑制される結果とった。Ti-Mo合金のヤング率はMo濃度の増加とともに低下し、β相が安定化する11.1 at%Moで最小値を示し、その後増加する傾向を示すが、Ti-MnとTi-Fe合金についてヤング率の計算を行った結果、最小値を示す濃度はTi-Mo合金よりも低濃度側に移行したが、最小値自体はTi-Mo合金よりもやや高い値となった。純Tiではω相に変態すると、BCC構造に由来する格子の不安定性が消失するため、ヤング率が増加するが、β安定化元素により特定の<111>方向への変位量が低下、すなわちβ相の安定性が増加すると、BCC構造の不安定性を反映してヤング率の低下が生じるため、Ti-Mo合金よりも<111>方向への最大変位が抑制されたTi-MnとTi-Fe合金ではヤング率の低下がより低濃度で生じたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた2元系合金のβ相安定性への評価については計測通り進捗した。ただし、一部の合金系に組成については、<111>方向への最大変位が合金濃度に対して、単調な変化を示さず、ややばらつきが大きい変化を示したことから、複数のモデル化による検討、もしくはセルサイズの拡張が必要であると思われる。当初は同じ54原子のスーパーセルを用いた3元系の予備検討を予定していたが、2元系でのモデルサイズの妥当性の評価が必要であると判断したので、3元系の予備検討は延期して、次年度予定していた弾性率の評価を一部実施して、β相安定化とヤング率の変化についての傾向を調べた。ヤング率の傾向を調べるには54原子のセルサイズでも概ね問題ない結果が得られたが、次年度は同じ合金濃度の別モデルによる計算とセルサイズの拡張についても検討を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度にβ相安定性への影響の評価を行った2元系合金について、弾性率に及ぼす合金元素の影響を明らかにする。第一原理計算により、引張変形、せん断変形を加えたときのエネルギー変化から弾性定数を求めて、体積弾性率、ヤング率、剛性率を算出する。また、いくつかの合金系を選択して3元系の計算の予備検討を行うが、特にヤング率は最小値を示す濃度が合金元素により異なる可能性があることから、3元系合金にした場合、最小値を示す濃度が、2元系合金の濃度とどのような関係にあるかに注目して計算を進めていく。前年度にいくつかのの合金系において、<111>方向の最大変位の合金濃度依存性にややばらつきがある傾向が見られたため、同じ合金濃度の別モデルによる計算およびセルサイズの拡張による影響についても調べていく予定である。
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