銅水酸化物ナノシート触媒電極でのCO2還元による選択的な有用有機物生成
Project/Area Number |
23K04418
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26040:Structural materials and functional materials-related
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
倉科 昌 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 助教 (30400708)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 二酸化炭素 / 電解還元 / 銅水酸化物 / ナノシート / 触媒電極 |
Outline of Research at the Start |
温室効果ガスである二酸化炭素の削減は、世界的な課題である。その分離回収技術として、二酸化炭素を電気分解により別の物質に変化させる方法がある。その際、特に銅を電極の材料として用いることで、多種の炭化水素、アルデヒド、アルコールが得られる特徴がある。さらに銅を非常に微小なナノ構造体とすることで効率を上げることができ、生成物の選択性も変化させられる。本研究では銅水酸化物を微小なナノメートルサイズのシートにすることで、それを用いた触媒電極での二酸化還元による有用な有機物生成を目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
温室効果ガスであるCO2の削減は、世界的な課題である。その分離回収技術として電気化学的なCO2還元が挙げられる。その際、特に銅を電極触媒として用いることで多種の炭化水素、アルデヒド、アルコールが得られる特徴がある。さらに銅をナノ構造体とすることで効率を上げることができ、生成物の選択性も変化させられる。我々は既に銅の水酸化物ナノシートを合成しており、それを電極に用いることでグルコースの触媒酸化が効率良く起こることを明らかにしている。この技術を用い、本研究では銅水酸化物ナノシート触媒電極でのCO2還元による選択的な有用有機物生成を目的とする。金属原子1層(と水酸基)で構成されたこのナノシートは限界まで大きな表面積を持つため、有機物生成の新規な選択性を持ち、有用物生成可能な触媒電極となることが期待される。 銅水酸化物ナノシートとしては、層状銅水酸化物であるCu2(OH)3(CH3COO).H2Oの酢酸イオンをドデシルベンゼンスルホン酸イオンに交換した化合物について、1-ブタノール中で分散させて合成していた。これを電極として用い、水酸化ナトリウム水溶液中でCO2の吹き込み前後での還元電流の変化を調べたが、CO2の還元が確認されなかった。しかし前駆体であるCu2(OH)3(CH3COO).H2OではCO2の還元が確認されたため、ドデシルベンゼンスルホン酸に含まれる硫黄が触媒毒になっていることを危惧し、層間イオンをオレイン酸イオンに変えて銅水酸化物ナノシートを合成したところ、この電極を用いることで-1.0 V vs. Ag/AgClでCO2が電解還元されることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画段階では銅水酸化物ナノシート触媒電極でのCO2還元を実現し、その生成物を特定する予定であったが、実施前に合成していたナノシートでは様々な電極作成方法を用いてもCO2の電解還元ができなかった。しかしCu2(OH)3(CH3COO).H2Oを用いた電極で試した所、ナノシートでなくともCO2の還元が可能であった。そのため、層状物質の層間を広げるために用いていたドデシルベンゼンスルホン酸イオンに問題があり、含まれる硫黄が触媒毒になると考え、オレイン酸イオンでのイオン交換およびナノシート化を改めて検討し、この銅水酸化物ナノシートを用いて電極作成をすることで、CO2の電解還元が可能であることを見出した。しかしこの電極でも、ごく短い期間でのCO2の電解還元が確認されるのみで、継続的な反応が進行できず、生成した化合物をガスクロマトグラフィーで特定できるほどには得られていない。そのため、研究がやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは銅触媒電極でのCO2電解還元が継続して得られるようにする必要がある。銅水酸化物ナノシートの分散液を高伝導率のケッチェンブラック(中空状のカーボンブラック)と共にカーボンペースト電極としたもので、導電性を保ちつつすることで高密度に水酸化物ナノシートを集積させることが可能だと考えられる。電解液には0.1~0.5 mol/L程度のNaHCO3またはKHCO3を用い、参照極RHE(可逆水素電極)基準で-0.8~-1.2 V程度で還元を行う。作用極側で生じた気体あるいは低分子有機化合物について、ガスクロマトグラフィー(GC)により検出・定量する。気体になる成分はセル中の気体を直接採取し、測定すれば良いが、電解液中に含まれる成分については、陽イオン交換樹脂により電解液のイオンを除いてから測定する必要がある。これにより還元電位に対する各成分の生成比、および流れた電荷量に対する生成効率を測定することで、銅水酸化物ナノシート電極がCO2還元による有機物生成の新規な選択性を持ち、有用物生成可能な触媒電極となることを証明する。 効率を考えるとガス拡散電極の使用が適切である。これは作用極の銅触媒電極に、反応のための水溶液とガス供給用の気体を同時に接触させる電極で、疎水性の多孔質PTFEの膜で気相と液相を分離する。電極の導電性を保つ工夫が必要だが、単にセル中の水溶液にガスを溶解させるより効率的な気体との反応が可能である。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)