Project/Area Number |
23K04420
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26040:Structural materials and functional materials-related
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
澤田 剛 鹿児島大学, 総合科学域共同学系, 准教授 (90240902)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
|
Keywords | 円偏光応答性 / 不斉ジヒドロピレン / フォトクロミック分子 / 超分子ゲル / センシング材料 / 円偏光センシング材料 / 光応答性ゲル / ジヒドロピレン / 分子設計 / 薄膜化 |
Outline of Research at the Start |
研究代表者は、これまでに円偏光に対する光応答性を示す不斉PZ-DHPを合成し、左、右円偏光の違いを光異性化速度の差で判別できることを見出したが、センシング材料としては、感度の向上が必要と判断した。 一方、らせん構造の繊維状会合体を形成する超分子ゲル類は、 不斉構造を増幅し、左、右円偏光に対して、大きな吸収の違いを示すことが知られている。 そこで本研究課題では、不斉PZ-DHPに長鎖アルキルアミド基を導入して超分子ゲルを合成し、その構造観察、円偏光応答性の評価を行い、微弱な円偏光を分析可能な、円偏光センシング材料としての可能性を検討する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、1. 不斉ピラジノジヒトロピレン(以下、PZ-DHP)類を不斉構造とする超分子ゲルの合成を実施した。不斉 PZ-DHPの合成において、原料となるジニトロDHPの合成を実施した。出発物質として、t-ブチルトルエンを利用し、7工程、総収率13%で、ジニトロDHPを合成した。ジニトロDHPを還元し、各種ジケトン類と縮合することにより、ジメチルPZ-DHP(以下、DMPZ-DHP)を収率46%、フェニルメチルPZ-DHP(以下、PhMPZ-DHP)を収率25%で得たが、有機ゲルの基本構造となるビス安息香酸PZ-DHP(以下、BBAPZ-DHP)は、合成を試みる前に、有機合成装置の故障のため合成ができなかった。そこで、得られたPZ-DHP類をキラルカラム(ダイセル キラルパックIa) を装備したHPLXにより、R体、S体に光学分割した。UV-Visスペクトル、CDスペクトルを測定し、可視光照射(バンドパスフィルター550nm )によるメタシクロファンジエン(MCPD)体への異性化をおこなった。異性化したMCPD体の熱逆反応による半減期を測定した結果、10 C における半減期が、DMPZ-MCPDの場合は4021 min, PhMPZ-MCPDの場合は、2849 min であることを見出した。次に、左右円偏光レーザー(632nm)を照射し、円偏光による光異性化特性を検討した。[R]PhMPZ-DHPの場合、右円偏光レーザー照射による異性化速度が1.77e-5 s-1、左円偏光レーザーによる異性化速度が1.84e-5 s-1、[S]PhMPZ-DHPの場合、右円偏光レーザー照射による異性化速度が2.09e-5 s-1、左円偏光レーザーによる異性化速度が2.01e-5 s-1となることを観測した。この結果は、光学異性体の不斉に対して、円偏光の向きにより反応速度の差が生じることを示しており、照射するレーザー光の位相が、不斉PZ-DHPの吸収する光の位相に合致した時に光異性化が進行しやすくなることを示唆している。 これらの研究結果は、2回の国内学会にて報告した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度後半に有機合成装置の故障が発生し、修理に長期間を要したため、年度内の最終目的としていた超分子ゲルの合成には至らなかった。不斉PZーDHP類縁体の合成は完了したので、 2023年度はこれら不斉PZーDHP類に関して、構造解析、物性評価、円偏光応答性などを評価し、それらのデータを学会にて発表した。有機合成装置の修理は完了したので、2024年度注に、超分子ゲルの合成を実施するとともに、これらの光学特性や円偏光異性化挙動がゲル化に及ぼす影響などの検討・評価を行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、不斉PZ-DHP類を不斉構造とする超分子ゲルを合成し、超分子ゲルの光吸収特性と光異性化挙動の評価を実施する。具体的には、温度や溶媒変化によりゾル-ゲル転移を誘起し、光吸収特性等と構造解析を検討するとともに、光照射(通常光、円偏光)により光異性化を誘起し、ゾル-ゲル転移等の構造変化を評価する。 用いた超分子ゲルのゲル化特性等に問題があった場合は、超分子ゲルの分子構造を変更して、合成を試みる。 研究の進展が十分な場合は、次の段階として、超分子ゲルの有機薄膜化と物性評価に着手する。
|