Project/Area Number |
23K04448
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26050:Material processing and microstructure control-related
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
吉田 道之 岐阜大学, 工学部, 助教 (70431989)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | ジルコニア / 焼結 / 微構造 / 機械的性質 / 微構造制御 |
Outline of Research at the Start |
セラミックス技術の根幹である焼結では、電場やマイクロ波などの外場の支援(FAST)による高速化・低温化の研究が盛んに行われるようになった。FASTの中で近年、注目を集めているフラッシュ焼結は、数秒から数分の極めて短い時間スケールで多様な微構造を形成することができる特異なプロセスである。本研究では、歯科医療の分野で高速焼結に対す要請のあるジルコニアにおいて、フラッシュ焼結および電場の影響を排除した外部加熱のみで同等の加熱速度の焼結を試みる。それぞれの焼結プロセスにおける微構造形成を系統的に調べることで、超がつくほどの速い昇温速度における微構造形成に及ぼす電場の影響を明らかにすることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
製造プロセスの省エネルギー化は、持続可能な社会の形成に必要不可欠な技術である。これを受け、セラミックス技術の根幹である焼結では、電場やマイクロ波などの外場のアシスト(Field assisted sintering:FAST)による高速化・低温化の研究が盛んに行われるようになった。FASTの中で近年、特に注目を集めているフラッシュ焼結は、電場の印加条件によりサンプルの自己発熱を制御することが可能であり、数秒から数分の極めて短い時間スケールで多様な微構造を形成することができる特異なプロセスである。本研究では、歯科医療の分野で高速焼結に対す要請のあるジルコニアにおいて、フラッシュ焼結および電場の影響を排除した外部加熱のみで同等の加熱速度の焼結を試みる。それぞれのプロセスにおける微構造形成を系統的に調べることで、超がつくほどの速い昇温速度における微構造形成に及ぼす電場の影響を明らかにすることを目的とする。モデル材料にはモノリシックのY2O3安定化ジルコニアおよびジルコニア・アルミナ複合材料を用いた。 バイポーラ電源により交流電場を印加して3mol% Y2O3安定化ジルコニア(3Y)および20wt%アルミナ添加ジルコニア(3Y-20A)のフラッシュ焼結による緻密化に成功した。焼結体断面のSEM像を画像解析することにより、粒度分布および粒子形態を定量的に評価する手法を確立した。外部加熱のみでフラッシュ焼結と同程度の加熱速度を再現するための焼成方法(高速焼結)を確立し、8mol% Y2O3安定化ジルコニアの高速焼結を検討したところ、1500℃、1分保持の焼成で緻密で割れのない焼結体が作製できることを確認した。R5年度の研究で得られた結果を国際学会で発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の実施計画に沿って研究を行い、以下に示す結果を得た。 バイポーラ電源により交流電場を印加して3mol%Y2O3安定化ジルコニア(3Y)および20wt%アルミナ添加ジルコニア(3Y-20A)のフラッシュ焼結を試みた。焼結中の電流・電圧特性から、ほぼ制御信号通りにフラッシュ焼結が制御されていることが分かった。焼結体(3Y-20A)の断面のSEM像を画像解析することにより、ジルコニアおよびアルミナの粒度分布、粒子形態(円形度)およびアルミナの凝集状態を定量的に評価する手法を確立した。 外部加熱のみでフラッシュ焼結と同程度の加熱速度を再現するための焼成方法の検討を行った。焼成には、大気炉が設置された材料試験機を用い、あらかじめ焼成温度まで昇温した電気炉に、薄いペレット状のサンプルを導入することで急速加熱を試みた。サンプルの投入速度と電気炉の温度分布により昇温速度が1500℃/minとなるような条件で急速加熱を行い、8mol% Y2O3安定化ジルコニア(8Y)の焼結を検討した。予熱域(800℃~500℃)から30秒程度で所定の温度域に成形体を投入し、所定時間(1分、3分および10分)保持を行い、投入と同程度の時間で予熱域に戻すという温度履歴で焼結を行ったところ、1500℃では1分の保持で98%程度まで緻密化することが分かった。いずれの条件でも焼結体に割れは観察されなかった。以上から、外部加熱のみでフラッシュ焼結と同程度の急速加熱を行うことで緻密で割れのない焼結体を作製できることを実証した。 以上を踏まえると、研究は計画通り順調に進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
R5年度の国際学会で発表した研究成果を論文にまとめ、2024年の秋を目処にセラミックス関連の学術誌への投稿を目指す。論文投稿の際に専門家から頂いた意見を次年度以降の研究計画にフィードバックさせる。 R5年度に確立した外部加熱のみでフラッシュ焼結と同程度の加熱速度を再現するための焼成方法(高速焼結)により、ジルコニア・アルミナ複合材料の焼結緻密化挙動を検討する。また、フラッシュ焼結および高速焼結により形成された焼結体の微構造と機械的性質の相関関係を明らかにする(R6年度実施計画)。R6年度の研究成果を2024年の春の国内の学会で発表し、学術誌への投稿の準備を行う。 R6年度までの研究成果をR7年度内に国際学会で発表し、研究成果を国外にアピールすることで研究の更なる加速を目指す。 R6年度までの研究で浮き彫りとなった課題を整理し、最終年度の研究のまとめに備える。
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