新奇な電磁分離現象を利用した革新的凝固プロセスによるアルミニウム合金の精製と創製
Project/Area Number |
23K04462
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26060:Metals production and resources production-related
|
Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
田村 洋介 千葉工業大学, 工学部, 教授 (40316807)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
|
Keywords | 電磁分離 / アルミニウム / 材料の精製 / 材料の創製 / 凝固プロセス |
Outline of Research at the Start |
「新奇な電磁分離現象」を積極的に利用したプロセスを「革新的凝固プロセス」と言う。当該プロセスによれば,溶湯中に晶出する金属間化合物等を確実に鋳塊表層部に分離することができる。またそれにより共晶組織を改良することも可能である。したがって「材料の精製」のみならず「材料の創製」の観点からも極めて興味深いプロセスと言える。本研究では,「革新的凝固プロセス」を利用した応用研究を通じ,「新奇な電磁分離現象」を解明するための知見を蓄積する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
電磁力印加機構を備えた昇降炉を研究に用い,過共晶アルミニウム-遷移金属系合金で新奇な電磁分離現象(以下,電磁分離現象)が発現するか否かを実験的に検証した。研究にはAl-10Mn, Al-20NiおよびAl-10Cr合金を用いた。各合金鋳塊を直径18 mm, 長さ90 mmの丸棒に機械加工し,長さ120 mmのムライト管に挿入した。その両端を黒鉛電極で閉じてから合金鋳塊を溶解し,直流電流と磁場を印加しながら室温にて自然冷却した。実験条件は「① 950℃から電流・磁場共に印加しないで凝固」,「② 950℃から直流電流150 A, それと直交する方向から磁場(0.54 T)を印加した状態で凝固」とし,それぞれの結果を比較検討することで,電磁分離現象が発現するか否かを調べた。なおAlと遷移金属は密度差が大きいため,その評価にはX線計算機トモグラフィ(X線CT)を用いた。 Al-10Crでは初晶Al-Cr化合物が丸棒鋳塊の外周部に偏析していた。その様相はAl-10FeおよびAl-Siで観察されたものと同様であることから,電磁分離現象の発現が確認されたと言える。Al-10MnおよびAl-20Niに関しても,凝固組織にはわずかながら電磁力の影響が見られた。条件によっては,Al-10Crと同様の組織を形成する可能性もあるが,今回は電磁分離現象と言えるような結果は認められなかった。各合金とも類似の状態図を形成することから,電磁分離現象の効果は合金種に依存すると考えられる。すなわち本研究により,高温下で晶出する初晶金属単体,あるいは初晶金属間化合物の物性が電磁分離現象に関与していることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は,「① Al-FeおよびAl-Si合金以外でも新規な電磁分離現象が発現するか否かを明らかにすること」を一つの課題に掲げていた。研究実績の概要で述べた通り,結果的に①に関しては目的が達成されたと言える。また電磁分離現象の発現を確認するために導入したX線CTによる材料評価も,当該研究を進める中で非常に有効な方法であることが確認された。 併せて2023年度は,「② 新たな装置を設計・作製し,当該現象を利用した革新的凝固プロセスによるDC鋳造ビレットを得るための基本システムを確立すること」に着手する予定であった。①の成果により,現在研究に使用している「電磁力印加機構を備えた昇降炉」の構成をベースとして装置設計に取り組めば良いこととなり,②についてもおおよそ目途が立ったと言える。以上より,「材料の精製」という観点からの基礎的な知見は得られたと言える。一方,「材料の創製」に関しては,組織観察に時間を要し,やや遅れていると言えるかもしれない。しかし全体としてはおおむね順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
「材料の創製」と言う観点からは,材料の機械的性質等の評価,材料組織の詳細な分析が必要である。また引張試験片や摩擦・摩耗試験片等の作製に当たっては,実験担当者によるバラツキが少なく,所望のサイズ・組織からなるサンプルが得られるよう実験条件をデータベース化する工夫が必要である。また効率的に成果を得るという観点より,特殊な試験に関しては外部機関を積極的に利用し,専門家に研究成果について学術的な助言を依頼するなど,多面的に当該研究の推進を図ることとする。
|
Report
(1 results)
Research Products
(1 results)