Project/Area Number |
23K04463
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 26060:Metals production and resources production-related
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
竹中 俊英 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (60197324)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | シリコン / 液体金属 / 溶融塩電解 / CaCl2 / Si / 液体金属電析 / 太陽電池グレード |
Outline of Research at the Start |
純度99%程度の金属Siの、効率的で環境負荷の小さい、革新的な製造プロセスの開発を目指す。さらに、太陽電池グレードの金属Siの直接製造プロセスへの展開をはかる。 研究では、シリコンの融点以上の温度でCaOを含む溶融CaCl2にSiO2を溶解し、金属Siを液体状態で電析させる。温度、電解電圧、浴組成が電析効率に及ぼす影響を詳しく検討する。これらの因子の影響は浴中に存在するケイ酸イオンの存在状態に関係しているものと考えており、これを学術的に検討する。さらに、金属Si電析物の純度に及ぼす諸因子の影響を検討して、高純度の金属Siを直接製造可能な電解条件を明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、溶融CaCl2中でのSi金属の電析に及ぼす浴中Siイオン濃度の影響を調べた。Siイオン源には予め作成したCa3Si2O7(CaO/SiO2比を1.5)を用い、浴温は1450℃、1500℃とした。サイクリックボルタンメトリーの結果から、電解電流はSiイオン濃度5mol%で最大となり、それ以上添加してもむしろ電解電流が減少する傾向が見られた。定電位電解時に流れる電流もほぼ同様の傾向を示し、Siイオン濃度は5mol%が最適であることがわかった。過剰な添加がむしろ悪影響を及ぼすことは、電解により電極近傍でのSiとOのバランスが変化して、Si化合物が沈積したためではないかと考えている。偶然ではあるがSiイオン濃度の最適値5mol%最適値は、昨年度までの濃度と同じであり、濃度変更によってはこれまでより効率的なSi電析を行うことはできなかった。 2023年度は、溶融CaCl2中でのSi金属の電析に及ぼす温度の影響を調べた。この際、過去の研究成果に基づき当初の計画になかった固体Si金属の緻密電析の可能性の検討も行った。1100℃の電解ではSi金属はほとんど電着しなかったが、1300℃の電解ではSi金属が電着した。しかし、1450℃以上での電解より電流効率はかなり低く、電析可能な電解電位も限定された。これらの結果から、溶融CaCl2中でのSi金属電析は、Si金属の融点以上の温度で行うことが望ましいことが確かめられた。 上記の研究の過程で、用いるMoSi2電極の直径が電析に影響することが明らかになった。電極直径が影響を及ぼす原因については説明できておらず、電流効率の向上に繋がる可能性もあり、今後検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、①ケイ酸カルシウム濃度、②CaO/SiO2比、③電解電位、④電解温度の4つの因子に着目し、75%以上の電流効率を可能とする条件を明らかにすることを目標としている。2023年度は、②CaO/SiO2比を1.5(Ca3Si2O7)に固定し、①ケイ酸カルシウム濃度と④電解温度について詳しく検討した。③電解電位についてはこれらに併せて研究している。研究結果、Ca3Si2O7を用いた場合のSiイオン濃度の最適値が5mol%であることを明らかにした。④電解温度については、当初計画より広い温度範囲で検討を行い、Si金属の融点以上の温度での電解が重要であることを示した。また、一連の研究過程で、MoSi2電極の直径が電析効率に影響するという新たな知見も得ることができた。これからの研究項目に関しては、当初計画を超える進捗状況である。一方、電流効率75%以上という目標には、2023年度の研究では到達できおらず、電流効率を向上させるための指針も得られていない。高い電流効率を達成して十分な量のSi金属を得ることが、今後予定しているSi金属の純度に関する検討に必要不可欠であり、さらに研究を推進する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の研究により、研究計画であげた4つの因子のうち④電解温度の影響はほぼ確定されたと考えている。このため2024年度は、CaO/SiO2比1。5(Ca3Si2O7)以外のケイ酸カルシウムを用い、①ケイ酸カルシウム濃度、②CaO/SiO2比、③電解電位を互いに関連付けた検討を推進する。また、2023年度に示された電極直径の影響についても詳しく検討して、電流効率75%以上という目標を達成するための指針を得る。高い電流効率を達成して十分な量のSi金属を得ることができれば、得られたSi金属の純度分析も試行する。Si金属の純度には、ルツボ材質が影響する可能性があると考えており、これまでに用いてきたMoルツボではなく、高純度BNルツボを用いた研究も行う。
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