Project/Area Number |
23K04478
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 27010:Transport phenomena and unit operations-related
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
佐藤根 大士 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (00583709)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | 刺激応答性スラリー / 可逆的分散状態制御 / 非水系溶媒 / セラミックス / レオロジー制御 |
Outline of Research at the Start |
非水系溶媒を媒液とするスラリーに刺激応答性を付与することで、分散状態およびレオロジー特性の高精度かつ可逆的な制御法を確立する。刺激応答性スラリーとは、外部刺激を加えることにより微粒子の分散状態が一時的に変化するが、刺激を取り除くことでもとに戻る。このようなスラリーは使用する粒子、媒液、分散剤、添加剤などの組み合わせおよび混合割合を適切に制御することで調製可能となり、レオロジー特性、光学的特性、充填特性といった、関連する様々な特性に影響を及ぼすと考えられる。これらの特性を外部刺激により高精度に制御可能とすることで、スラリーを使用する既存のプロセス効率および製品性能向上が可能になると考えられる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的である非水系溶媒を媒液とするスラリーに刺激応答性を付与するため、令和5年度は使用する試料の選定および混合撹拌方法の検討を行った。 試料粉体として種々のモノづくりの原料として使用される酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸バリウム等の市販の無機粒子を準備し、溶媒は安全性の面からシリコーン油を選択した。各粉体を溶媒と混合したところ、いずれの粒子もある程度の親和性は有していた。次に、粒子径分布測定、粒子密度および比表面積測定により一次粒子径を評価したところ、酸化亜鉛が最も一次粒子径が小さかった。酸化亜鉛は工業製品の原料や化粧品、塗料など幅広く使用されていること、一次粒子径が小さく分散混合が最も難しいことから、酸化亜鉛を試料粉体として選定することとした。本研究で目的としている刺激応答性スラリーは、あらかじめ良分散状態に調製したスラリーに添加剤を適量添加することで、静置時は緩く凝集してゲル化し、弱い撹拌等の外力で一時的に良分散状態に戻るという特性を有している。このため、粒子表面に分散剤を吸着させるなどの対応が必要となる。市販の様々な分散剤を試した結果、変性シリコーン系の分散剤が有用であることが確認できたため、これを分散剤として採用した。混合撹拌方法についてはまず、ミキサー、超音波照射、転動ボールミル、遊星ボールミルを試し、得られたスラリーのレオロジーにより分散状態を評価した。その結果、遊星ボールミルで比較的良好な分散状態を得られた。しかしながら、使用する媒体ボールへのスラリーの付着量が多いため回収率が低いという問題があった。そこで、自転公転式混合撹拌機を試したところ非常に良好な結果が得られたことからこれを導入し、本研究の混合撹拌方法として採用した。以上の結果より、研究初年度のスタートアップは問題なく完了し、次年度以降の刺激応答性スラリーの調製と応用につながったといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は研究初年度のスタートアップであり、刺激応答性スラリーの調製に使用する試料の選定および混合撹拌方法の検討の2点について取り組みを想定し、次年度以降の研究に繋げる計画であった。 試料粉体選定は、溶媒と親和性があるものを選択する予定であったが、検討した粒子はいずれも溶媒とある程度の親和性を有しており、この評価のみでは絞ることができなかった。そこで、各試料粉体の粒子径の評価を行ったところ、サンプルにより一次粒子径に違いが見られた。将来的に汎用性のある技術を開発するためには、実験の容易なものではなく難しいものを採用するべきであると考え、最も過酷な条件となる一次粒子径が最小の粒子を選択した。また、この粒子を分散させるための分散剤についても、上記と同様に評価が難しいものを選定するべきとの考えから、溶媒と性質の近い材料を選定し、問題なく粒子の分散が可能なことを確認した。混合撹拌方法については、自転公転式混合撹拌機を導入することで最低限のロスでスラリー調製が可能となり、当初想定していた今年度の取り組みは問題なく完了した。さらに、来年度以降に取り組みを予定していた非水系の分散剤吸着量の推定方法、刺激応答性を付与するための添加剤について前倒しで調査および予備試験を実施し、詳細な試験には至っていないものの限定的な条件で可能性を見いだしている。以上のことから、当初想定していた計画よりも速いペースで研究を遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、刺激応答性スラリーの調製をベースとなる良分散スラリーの調製条件を確立した上で、刺激応答性を付与する添加剤について検討を行う。 本研究で調製法の確立を目指すスラリーは、粒子表面に分散剤を吸着させ良分散状態とし、この分散剤間を添加剤が架橋して軟凝集状態となること刺激応答性が付与される。このため、ベースとなる良分散スラリーは単に良分散であれば良いというわけではなく、溶媒側に存在する未吸着分散剤が大きな影響を及ぼすため、分散剤の吸着量を正確に把握する必要がある。しかしながら、今回のように溶媒と分散剤の材質が類似した非水系物質である場合、単一の測定で吸着量を把握することは難しい。このため、TG測定、パルスNMR測定、レオロジー測定、回分沈降試験などの複数の評価結果をもとに吸着量の把握を目指す。ただし、絶対的な吸着量そのものを把握する必要は必ずしもないため、相対評価でも可とする。刺激応答性を付与する添加剤については、分散剤構造内に存在する溶媒と親和性の低い側鎖および溶媒の両方と親和性の高い両親媒性分子が理想であり、アルコール系の他、エーテル系、アセトンなどを試す。また、溶媒に必ずしも溶解する必要はなく、微小サイズの液的でも同様の効果が得られる可能性があるため、必ずしも溶解性の高い分子にこだわらず、溶解性の低いものを添加した上で高せん断や超音波照射により微小化して効果を確認する。検討すべきパラメータは多岐にわたるため、効率的な実験手法の確立および自動観察・測定手法についても構築および導入を平行して検討する。研究が順調に進んだ場合、最終年度に計画している調製した刺激応答性スラリーの成形プロセスへの応用について前倒しで取り組む。
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