Project/Area Number |
23K04481
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 27010:Transport phenomena and unit operations-related
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
瀬戸 弘一 福岡大学, 工学部, 准教授 (70621126)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 糖鎖 / 酵母 / バイオセパレーション |
Outline of Research at the Start |
糖鎖はその化学的安定性から抗体などのタンパク質よりも優れており生体物質に対する特異性も抗体に匹敵するため、今後糖鎖がタンパク質に置き換わって活躍することは間違いない。しかし、細胞からの糖鎖の切り出しや糖鎖の化学合成が煩雑であり、バイオセパレーションに実用できる糖鎖は限られる。また、材料作製時に貴重な糖鎖を大幅に無駄にしてしまう。これらの問題を解決するため、病原体の結合サイトとなりうる糖鎖を表面にもつ微生物自身をそのままバイオ吸着剤と見なして活用する。本研究では、培養した酵母を充填したクロマトグラフィーカラムを作製し、糖鎖の生体結合性を利用したバイオセパレーションに応用する。
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Outline of Annual Research Achievements |
病原体の結合サイトとなりうる糖鎖を表面にもつ微生物(酵母)自身をそのままバイオ吸着剤と見なして活用し、糖鎖の生体結合性を利用したバイオセパレーションに応用することを検討している。大腸菌の接着に関わる高マンノース型糖鎖およびインフルエンザウイルスの感染機構に関わるシアル酸化糖鎖の代替として期待されるピルビン酸化糖鎖に着目している。高マンノース型糖鎖およびピルビン酸化糖鎖は、それぞれ出芽酵母および分裂酵母の細胞壁に発現している。酵母は、比較的培養速度が高く短時間で増殖できる、ヒトに対する病原性が低い、細胞生物学的・分子遺伝学的な知見が豊富に蓄積されている、細胞壁をもつため堅くて丈夫である、マクロメートルサイズで分離・回収が容易である、といった特徴をもつ。 出芽酵母はYPD培地中で容易に培養することができた。出芽酵母のタンパク質吸着性を評価した。タンパク質としてConcanavalin A (マンノース結合性タンパク質)、Peanut agglutinin (ガラクトース結合性タンパク質)、およびBovine serum albumin (糖非結合性タンパク質)を用いた。出芽酵母をタンパク質と混合すると、出芽酵母はマンノース糖鎖と親和性をもつタンパク質Concanavalin Aのみを吸着した。出芽酵母にConcanavalin Aを吸着後にpHを低下させると、90%以上のConcanavalin Aを出芽酵母から脱着できた。 出芽酵母を5~70℃で加熱冷却をすると、60℃以上で死滅した。しかしながら、加熱冷却処理をした出芽酵母へのConcanavalin Aの吸着量は変わらなかった。これは、加熱冷却処理をしても出芽酵母の細胞壁上の糖鎖は安定なためである。また、pH 2-11の範囲で酸塩基処理をした出芽酵母へのConcanavalin Aの吸着量も変わらなかった。pH変化によってタンパク質を脱着させた後の酵母を吸着材料として再利用できることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、出芽酵母表面の高マンノース型糖鎖のタンパク質吸着性を評価できている。今年度は、フローサイトメーターや水晶発振子マイクロバランスを用いたタンパク質吸着性の評価手法も確立できた。さらに、酵母をより実用的にバイオ分離に応用するために、酵母のタンパク質吸着性への物理的・化学的処理の影響を調べ、出芽酵母に吸着したタンパク質の脱着条件も確認できた。今後、同様のタンパク質吸着性の評価および脱着条件の確認を分裂酵母表面の糖鎖にも実施することで、病原体吸着サイトとして期待できる新奇糖鎖をもつ酵母を化学処理することなくバイオ吸着剤として応用することが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、出芽酵母の時と同様に分裂酵母表面の糖鎖のタンパク質吸着性の評価を実施する。糖鎖特異性の異なる蛍光ラベル化タンパク質を分裂酵母と混合し、フローサイトメーターを用いて酵母表面へのタンパク質吸着量を定量的に評価する。さらに、連続フロー式でのバイオセパレーションに向けた多孔性高分子ゲルモノリス(骨格と空孔が連続する一塊の多孔質材料)の開発のため、酵母のタンパク質吸着性への物理的・化学的処理の影響を調べる。具体的には、高分子ゲルモノリス調製条件に耐えれることを確認するため、酵母を加熱・冷却、酸・塩基、有機溶媒中に曝露し、タンパク質吸着性が保持されているかを測定する。これらの成果を踏まえて、酵母充填モノリスカラムを用いた連続フロー式でのバイオセパレーションシステムの構築を目指す。
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