塩基性金属酸化物からの可逆的金属微粒子析出を利用した新規CO2水素化触媒の創製
Project/Area Number |
23K04499
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 27030:Catalyst and resource chemical process-related
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
池上 啓太 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 准教授 (60372786)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 二酸化炭素 / 水素化 / 金属酸化物触媒 / 塩基性酸化物 / 吸着剤 / 触媒 |
Outline of Research at the Start |
地球温暖化抑制のため、多様なCO2排出源に対応したCO2回収・有効利用技術の開発が求められている。これに対して申請者はK-Al-Fe系酸化物が低温領域(200~400 ℃)でのCO2吸着剤として優れた機能を示すことを見い出してきた。本研究では、有効利用技術(再資源化技術)へと発展させるため、この吸着剤に触媒活性点を構築して、回収したCO2を低温で変換することのできる複合型触媒の創製を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度はCO2吸着能を示す2種類のFe系複合酸化物に着目し、それらに各種遷移金属を導入してCO2水素化に有効な触媒を開発した。それら触媒のCO2水素化反応特性に及ぼす遷移金属導入の影響および反応条件最適化を検討し、以下のような知見を得た。 β-ferrite構造のK-Fe系酸化物に各種遷移金属を導入した触媒を調製し、CO2水素化反応特性に及ぼす金属導入効果を検討した結果、Mn導入試料(K-Fe-Mn-O)が最も高い触媒活性を示すことがわかった。Mn導入によりCO2吸着特性およびFe種の酸化還元性能が高められ、吸着過程と表面反応過程が促進されて高い活性を示したと示唆される。H2還元前処理後の構造をXRDで確認した結果、FeとMnとの合金種の形成が見られ、それが活性点となってCO2水素化反応が進行したと考察した。さらなる高活性化のためにMn導入量を最適化したところ、Mn/Fe比が0.3のときに最大活性を示すことがわかった。 β-ferrite構造のK-Fe系酸化物よりも高いCO2吸着性能を示すmullite構造のK-Al-Fe系酸化物を基盤物質として各種遷移金属を導入し、CO2水素化触媒の高機能化を図った。その結果、本系ではNi導入試料(K-Al-Fe-Ni-O)が最大活性を示すことがわかった。K-Al-Fe-Ni-O触媒はK-Fe-Mn-O触媒に比べてCO2吸着性能が高く、それにともなって約1.5倍高い触媒活性を示した。また、H2前処理後のK-Al-Fe-Ni-O触媒の構造を調べたところ、金属種に帰属される回折線が見られないことから、表面の金属種は微粒子状で存在し、活性点として作用する金属種の反応性が高められたことも活性向上の要因であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、K-Fe系酸化物のCO2吸着作用を利用して、それに様々な原子価をとる遷移金属種を固溶して還元処理することにより触媒活性点となる金属種を析出させ、CO2水素化触媒として有効に作用するかを検討するものであった。さらに触媒活性点導入がCO2吸着特性に及ぼす影響やCO2吸着特性が触媒反応特性に及ぼす影響を解明することを目指していた。これに対して、各種金属種をK-Fe系酸化物に固溶し還元すると合金種の形成が見られ、酸化還元能の向上をもたらすとともにCO2吸着特性の向上にもつながる新たな知見を得た。また、酸化還元能とCO2吸着特性が高められたことによりCO2水素化反応に対する触媒活性が向上することを見い出した。以上のことより、当初の予定どおり研究が進行しており、2024年度の検討に向けた基盤となる結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度の検討では、触媒全体の構造および酸化還元特性に関する情報が得られるだけで、触媒反応が関与する表面近傍の局所構造、化学状態および反応性に関する情報は得られていない。そのため触媒活性向上に直接寄与する活性種の化学状態や組成を光電子分光法(XPS)やEDXなどを用いて解析する。XPS測定から得られた結合エネルギーから触媒活性点と担体との相互作用の度合いを求めて活性種の反応性を考察し、EDX測定と合わせて求めた表面組成から「CO2転化率や反応速度向上に寄与する幾何学的構造因子」を考察する。さらに触媒反応条件下(in-situ)におけるCO2の吸着状態とH2導入後の吸着種の変化をFT-IRにより動的に解析する。得られた反応中間体の情報から「反応選択性を高めるためのメカニズム」を解明する。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)