Project/Area Number |
23K04513
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 27040:Biofunction and bioprocess engineering-related
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
三宅 克英 名城大学, 理工学部, 教授 (90252254)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 陸ガニ / リグニン / ラッカーゼ / パーオキシダーゼ / バイオマス |
Outline of Research at the Start |
天然海岸林に生息するアカテガニやクロベンケイガニなどの草食性陸ガニ類は、バイオマスの分解者として、海と森の間の物質循環に大きな役割を果たしている。森林バイオマスを食料とする陸ガニ類は、これまでの研究でバイオマス有効利用のボトルネックとなっている難分解性リグニンの分解能力を持つことが明らかになりつつある。本研究の目標は、陸ガニ類の強力なリグニンバイオマス分解能力を解析、同定、抽出し、生物工学的な応用を可能にすることである。
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Outline of Annual Research Achievements |
アカテガニやクロベンケイガニなどの草食性陸ガニ類は、バイオマス有効利用のボトルネックとなっている難分解性リグニン類の分解能力を持っているものと期待している。本研究の目標は、これまで有用生物資源として省みられることのなかった陸ガニ類のリグニン分解能力を解析、同定、抽出し、生物工学的な応用を可能にすることである。リグニン分解活性としてはラッカーゼとグアヤコールパーオキシダーゼ活性を指標としている。これまでにラッカーゼ活性が植物食により顕著に昂進されることはわかっていたが、本年度はグアヤコールパーオキシダーゼ活性についても植物食で同様に促進されることが判明した。両酵素ともメカニズムは不明ながら誘導性酵素と考えられる。以前のRNA-seq解析で検出したアカテガニ由来24131ラッカーゼとクロベンケイガニ由来65040ラッカーゼの生産をPichia pastorisで試みたところ、活性は大腸菌の場合と変わらず弱いままであった。さらにこれらの酵素の生産をHis-tag融合蛋白質ではなく、GST融合蛋白質に変えて大腸菌で行ってみても十分な活性は得られなかった。これらの酵素はラッカーゼ活性の本体ではない可能性が高い。そこで候補を2番目に発現の多いアカテガニ30134とクロベンケイガニの66943ラッカーゼに設定して、大腸菌でHis-tag融合蛋白質で生産することも試みたが、やはり強い活性は得られなかった。これらの酵素も本体でないと思われる。他のラッカーゼ酵素の候補も検討する必要がある。 トランスクリプトームからの遺伝子探索だけでなく、酵素の精製も試みている。活性の強いクロベンケイガニの中腸腺(5匹分)から酵素活性を指標として、ラッカーゼとグアヤコールパーオキシダーゼの精製を行ったところ、ラッカーゼは少なくとも3種類存在することが判明した。一方グアヤコールパーオキシダーゼは1種類である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RNA-seqによるトランスクリプトームデータからラッカーゼの本体と予測していた遺伝子産物24131と65040が十分な活性を示さず、本体ではないかもしれないという予想外の結果となった。同酵素の抗体を作製して、ウェスタンブロットを行った結果も、酵素活性の主要精製画分と同酵素が一致していないことを示していた。このこともこれらの酵素が酵素本体ではないことを示している。従ってラッカーゼに関しては他の候補遺伝子を探索する必要があることが判明した。 一方、トランスクリプトームデータからは酵素本体を予測できなかったグアヤコールパーオキシダーゼについては酵素の精製を行い、部分精製に成功している。クロベンケイガニ数匹分の中腸腺からイオン交換クロマトグラフィ-、ゲル濾過クロマトグラフィ-、イオン交換クロマトグラフィ-の順番に精製ステップを行った結果、約40kDのバンドが酵素活性の挙動によく一致することが明らかとなった。アミノ酸配列決定を行うことができれば、遺伝子の候補をトランスクリプトームデータから抽出することができるはずである。 以上のようにラッカーゼ遺伝子候補の推測は正しくなかったが、グアヤコールパーオキシダーゼについては酵素精製の方向からの結果により標的に近づいたと言うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
ラッカーゼ遺伝子の探索を行う。ラッカーゼ活性を示すことが報告されているヘモシアニン、フェノールオキシダーゼ、チロシナーゼを選択し、大腸菌で生産させる。既に候補遺伝子産物は選別済である。強い活性を示した遺伝子産物については抗体を作製し、カニ体内での挙動を調べる。一方、グアヤコールパーオキシダーゼについても、パーオキシダーゼを中心に探索し、大腸菌での生産を行う。こちらも既に候補遺伝子産物は選別済である。同様に、強い活性を示した遺伝子産物については抗体を作製し、カニ体内での挙動を調べる。 遺伝子候補の推測だけでなく、酵素の精製の方向からの探索も同時に進める予定である。グアヤコールパーオキシダーゼについてはすでに候補の蛋白質(約40kD)は同定しており、量を確保するために30匹程度のクロベンケイガニを用意して精製を行う。標的のバンドを切り出し、アミノ酸配列決定を行う。アミノ酸配列を決定できたら、トランスクリプトームデータから該当する遺伝子産物を選別し、大腸菌での生産を試みる。ラッカーゼの精製についても遂行する。最初の陰イオン交換クロマトグラフィ-では幅広い画分に分布しており、少なくとも3つの酵素の存在が示唆されている。それぞれの画分についてゲル濾過クロマトグラフィ-、イオン交換クロマトグラフィ-を行い、酵素蛋白質の同定を試みる。
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