Project/Area Number |
23K04523
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 28010:Nanometer-scale chemistry-related
|
Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
客野 遥 神奈川大学, 工学部, 准教授 (10746788)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 啓典 法政大学, 生命科学部, 教授 (10260027)
松田 和之 神奈川大学, 工学部, 教授 (60347268)
千葉 文野 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (20424195)
秋山 良 九州大学, 理学研究院, 准教授 (60363347)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
|
Keywords | 分子吸着 / ナノ細孔 / カーボンナノチューブ / アルカン |
Outline of Research at the Start |
吸着分離は、混合気体または混合液体中の特定の分子を多孔性材料の空隙へ選択的に吸着させることによって混合物を分離する手法であり、工業的にも幅広く利用されている。本研究では、1次元ナノ空洞を有する単層カーボンナノチューブと簡明な構造をもつアルカン分子を用いて、混合気体の分離と混合液体の分離とで分子選択的な吸着現象(選択性の強さ、序列など)にどのような違いがあるかを種々の実験と理論計算により明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1次元ナノ空洞による気相分離と液相分離において、気相と液相とで選択的分子吸着現象(分子選択性の強さ・序列など)にどのような違いがあるかを系統的に明らかにすることである。具体的には、空洞サイズ、温度、混合気体/液体の混合割合、分子の形状(大きさや内部自由度など)などによって選択性がどのように変化するかを、種々の実験と理論計算から総合的に調べる。ナノ空洞として単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を、混合気体/液体としてアルカンを用いる。 本年度は、主に平均直径1.34nmのSWCNT試料について、液体状態の直鎖状アルカン(デカンまたはヘキサン)の吸着実験を行った。高エネルギー加速器研究機構内の放射光実験施設(ビームライン8B)において、アルカンを滴下したSWCNT試料の粉末X線回折(XRD)実験を行い、得られた実験データは、古典分子動力学(MD)計算の結果を用いて解析した。その結果、滴下したアルカンはまずSWCNTの空洞内部に吸着し、空洞内部がおおよそ満たされた後にSWCNTバンドルの表面へも吸着することが示唆された。また、昨年度に予備的に行った重水素核の核磁気共鳴(NMR)実験の結果についても、今年度に得られたMD計算の結果と照らし合わせて詳細な解析を行った。その結果、デカンとヘキサンとでは、SWCNT内部空洞での運動状態が異なることが分かった。今後は、分子吸着のSWCNT直径依存性や温度依存性、さらに吸着選択性に対する分子の形状(長さや大きさ)の影響などを系統的に調べるつもりである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初に計画していた通り、本年度の研究は、単一種類のアルカンのSWCNTへの吸着現象に着目して行われた。XRD実験、NMR実験およびMD計算を用いた総合的なアプローチにより、SWCNTに吸着したアルカンの吸着サイト、吸着量、構造、分子ダイナミクスを詳細に解析可能であることが示された。すなわち、次年度以降に選択的吸着現象を調べるための基盤となる知見が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も、当初の研究計画に基づいて研究を推進する。研究手法には、XRD実験、NMR実験、MD計算に加えて、赤外分光実験も用いる。まず、平均直径1.34nmのSWCNT試料について、2種混合アルカンを滴下した際の選択的吸着現象を調べる。混合するアルカンの種類・混合割合などをさまざまに変えて、吸着選択性がどのように変化するかを調べる。次に、異なる直径のSWCNT試料へと研究を展開し、吸着現象の直径依存性を調べる。
|