Project/Area Number |
23K04538
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 28030:Nanomaterials-related
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
鍋谷 悠 宮崎大学, 工学部, 准教授 (50457826)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | アゾベンゼン / キラル構造 / ナノシート / 光アクチュエーター / 人工筋肉材料 / 光運動 / キラルナノ構造 / アクチュエーター |
Outline of Research at the Start |
多フッ素化アルキルアゾベンゼンとナノシートの複合体を作製すると、光反応で可逆的なナノシートのスライド現象が誘起でき、複合体のマクロな運動機能が発現する。このスライド現象は、光反応による分子内のアルキル鎖部位の変化により誘起されるが、その配向構造と光運動の関係は未解明である。 本研究では、分子のキラリティーに着目し、キラルアゾベンゼンを新規に合成してキラルナノ層状構造を構築する。それにより複合体内の分子の配向構造を制御することで新たな光運動を誘起し、光運動機能の発現機構を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
多フッ素化アルキルアゾベンゼンと無機ナノシートの複合化により作製したナノシート積層体やナノスクロールが光反応で可逆的にマクロな屈曲運動や伸縮運動することを我々のグループでは見出している。この運動は層間に並んだアゾベンゼンが協働的に反応・運動してナノシートのスライド現象を誘起することで発現する。こうしたスライド現象は、光異性化による分子内のアルキル鎖部位の変化により誘起されるが、その配向構造と光運動の関係は未解明であり、分子の配向制御が光運動機能発現の鍵となる。本研究では、分子のキラリティーに着目し、キラルナノ層状構造を構築して分子の配向構造を制御することを目的とし、初年度としてはキラル構造を有する多フッ素化アルキルアゾベンゼン誘導体の合成を検討した。 キラル構造の導入は2-オクタノールを用いて数種の合成ルートを試み、2-オクタノールのトシル化物を両末端に水酸基をもつアゾベンゼンの片側だけに反応させてエーテルを形成させることで、アゾベンゼンの末端アルキル鎖にキラル構造が導入できることを見出した。得られた化合物は、従来の多フッ素化アルキルアゾベンゼン合成と同様に逆末端に炭化フッ素鎖を有する構造を形成し、末端アルキル鎖にキラル構造をもつ新規多フッ素化アルキルアゾベンゼン誘導体の合成に成功した。 このようなキラル構造をもつアゾベンゼンをナノシート上に配列されれば、ナノシートのスライド現象に加えて回転現象などの新規運動の誘起が期待でき、新しい光アクチュエーターや人工筋肉材料の開発できるためにその意義は大きい。キラル構造の導入によって分子のミクロな運動をより効率的にマクロな運動へ変換することができれば、ナノシートを機能発現の場とした光運動機能材料を初めとする機能材料開発につながると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、キラル構造をもつ多フッ素化アルキルアゾベンゼン誘導体を合成し、ナノシートとの複合化を目的として研究を進めた。本研究ではキラル構造をもつアゾベンゼンの合成が必要不可欠であるが、数種の合成ルートを検討した結果、不斉炭素を有する2-オクタノールをトシル化して両末端に水酸基をもつアゾベンゼンと反応させることで、アゾベンゼンにキラル構造の導入が可能であることを明らかにした。また、炭化フッ素鎖側の構造形成は従来の方法が適用可能であり、それによって最終的にキラル構造をもつ新規な多フッ素化アルキルアゾベンゼン誘導体の合成に成功した。現時点では、ナノシートとの複合化は検討を開始したところであり、X線回折等によって複合体のナノ構造を十分に明らかにできていないが、新規アゾベンゼンとナノシートとの複合体作製およびそのナノ構造解析と2年目で計画している光反応によるナノシートの運動解析とは互いに連携させて研究を進めるので、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
キラル構造をもつ多フッ素化アルキルアゾベンゼン誘導体が合成できたので、2年目の計画として、まずはナノシートとの複合体を作製してそのナノ構造や光照射時の異性化反応を解析する。特に、キラル構造に注目して旋光度や円二色性の解析を行いながら、末端に導入したキラル構造が複合体全体にどの程度影響するのかを明らかにする予定である。 また、アゾベンゼンのシス-トランス光異性化により複合体に誘起される層状構造の変化やナノシートのスライド運動のX線回折や原子間力顕微鏡、電子顕微鏡等による解析を進め、誘起される運動にキラル構造がどのように影響するのかを明らかにする。また適宜、新規アゾベンゼンの追加合成を行い、研究を展開していく予定である。
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