Project/Area Number |
23K04582
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 29020:Thin film/surface and interfacial physical properties-related
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
市川 結 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (80324242)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | メニスカス力 / 有機半導体 / 無溶媒 / 成膜 / メニスカス / 接触角 / 表面張力 / 表面自由エネルギー / 成膜法 / 溶融 |
Outline of Research at the Start |
従来のシリコンとは異なる新しい半導体である有機半導体を簡便・安価な方法で成膜することに取り組む。有機材料を加熱し融解させた液体(融液)が、自発的に基板と基板上に置いたカバーフィルムの間の隙間を伝って広がり、極薄い膜を基板上に作製できる。この薄膜は、半導体の性質を示すことから、未来の電子デバイス作製に活用することを期待している。融液が広がり薄い液膜になる理由を、物理的、化学的に明らかにする。そのために、広がって行く液膜の端部に注目し、その形状と広がる速さに注目し研究を進める。
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Outline of Annual Research Achievements |
【メニスカスの観察】溶融転写プロセス中のメニスカスの直接観測は非常に困難と考えられるため,各種表面処理を施した基板や転写フィルム上で有機半導体を加熱し溶融させ液滴した後、急冷し凝固させ有機半導体融液の基材に対する接触状態を固定化し、接触角を測定した。その結果、転写に用いる表面処理を施したポリイミドフィルム表面のナフタレンジイミド誘導体(NTCDI-C12)の接触角は、(55.1±5.3)度であった。一方、基板として用いている熱酸化膜付のSiウェハー表面に対する同有機半導体の接触角は、(25.4±7.3)度であった。いずれの接触角も90度より小さいため、NTCDI-C12融液は、それぞれの基材表面に対して親和的であることが分かった。したがって、メニスカスの曲率は負となり、上部のフィルムを基板に押し付けるメニスカス力が働くことが分かった。これはこれまでの実験結果と一致している。 【有機半導体融液の流動ダイナミクス計測】加温によって融解した有機半導体が,転写フィルムと基板の間の空隙を流動していく様子を動画撮影し、融液領域の広がりを解析する実験系を構築した。動画撮影はビデオカメラで行い、動画から切り出した静止画を画像解析し、融液部分の面積を算出する。画像解析は、オープンソースの画像解析ライブラリーであるopenCVを用いてpython上で行った。融液領域の一意的な解析のために、マスク処理も可能とするようにプログラミングした。融液領域の広がりはプロセス温度が高いほど速いことが明らかとなった。 【有機半導体のトランジスタ特性の解析】合成した有機半導体のトランジスタ特性を解析し、基板表面処理がトランジスタ特性に与える影響を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機半導体融液が,基板と転写フィルムの間に形成するメニスカスが発生させる力(メニスカス力)が,転写フィルムを基板に押し付け融液を押し広げる原動力であることを明らかにし,溶融転写成膜の基本原理を明らかにすることを目的に研究を進めている。そのために、以下の3つの項目―メニスカスの観察、メニスカス力の測定、有機半導体融液の流動ダイナミクス計測―について研究計画を立てた。それぞれについて進捗を示す。 【メニスカスの観察】計画した方法で、有機半導体融液の基板、フィルムに対する接触角を測定できた。今後、種々の表面処理下地剤を用いて表面処理を行ったポリイミドフィルムの対する有機半導体融液の接触角を測定する。 【メニスカス力の測定】実験計画進行の関係で、23年度は実施できなかった。 【有機半導体融液の流動ダイナミクス計測】24年度に開始する予定であった本項について、前倒しで研究を開始した。動画から切り出したコマ送りの静止画を解析し、融液が占める面積を算出し、融液が時間の経過とともに広がって行く様子を定量化する自動解析アプリを作成した。画像の解析には、画像解析に広く用いられているopenCVを用いたことから、信頼性の高い解析を実現できた。Pythonで自動化したことから、スループットの高い研究推進が期待できる。 以上、研究項目ごとの研究進捗に多寡があるが、全体として概ね順調に推移していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
3つの項目―メニスカスの観察、メニスカス力の測定、有機半導体融液の流動ダイナミクス計測―について今後の研究推進について述べる。 【メニスカスの観察】種々の表面処理下地剤を用いて表面処理を行ったポリイミドフィルム(転写フィルム)の対する有機半導体融液の接触角を測定する。また、転写フィルムおよびSi基板の表面自由エネルギーを水およびジヨードオクタンの接触角を測定することで求める。これらを行うことで、有機半導体融液の表面自由エネルギーの分散成分および極性成分をOwens-Wendt-Rable-Kaelble(QWRK)理論を用いて算出する。QWRK理論を用いて、溶融転写に際し基板とフィルムの間の有機半導体融液によって形成され、メニスカス力の原因と考えている液体架橋のメニスカス形状を推定する。 【メニスカス力の測定】研究計画書に記載の通り、メニスカス力を溶融転写膜の凹みを均一分散荷重下の両端固定梁のたわみを材料力学的に解析することで求める。この解析で得られるメニスカス力と有機半導体融液のメニスカスの形状から決まるメニスカス力との関係を、定性的および定量的に解析する。この解析で、溶融転写のドライビングフォースが、有機半導体融液による液体架橋であることを明確にする。 【有機半導体融液の流動ダイナミクス計測】確立した融液面積解析システムを活用し、有機半導体、転写フィルム表面処理、基板表面処理、プロセス温度などが異なる転写における融液流動ダイナミクスのデータを蓄積する。最終年度に、蓄積データの解析を通じ、支配要因を明らかにする。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)