Project/Area Number |
23K04583
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 29020:Thin film/surface and interfacial physical properties-related
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
永井 滋一 三重大学, 工学研究科, 准教授 (40577970)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 電界イオン顕微鏡法 / 機械学習 / 電界イオン顕微鏡 |
Outline of Research at the Start |
次世代3次元ロジック半導体の開発に代表されるように,デバイス性能に直結する数ナノメートル領域における組成を3次元かつ原子分解能で分析する必要がある。電界イオン顕微鏡(FIM)は,個々の表面原子を1つの輝点として観察できる比較的簡便な原子分解能顕微鏡である。理論的に各輝点の強度(イオン電流)は元素だけでなく,実際には電界強度や周辺の原子配列など複数の因子によって決定される。本研究では,FIM像で観察される個々の輝点の強度を深層学習に基づいた多元解析によって,各因子を推定するモデルを構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,電界イオン顕微鏡(FIM)で観察される各輝点の強度(イオン電流)を決定する表面原子上の電界強度,周囲の原子配列,および元素を深層学習に基づいた多元解析によって,各因子を推定して元素イメージングを実現するものである。 本年度は,連続撮影されたFIM像の差分画像から,原子位置に対応する輝点を物体検出モデルによって自動抽出するとともに輝点の強度を取得するシステムを構築した。取得した位置情報と輝度情報の時系列データを予測するために,ベイズ推論に用いるモデルを検討した。加算モデルおよび平均強度モデルでは実験を再現できなかったため,個別事前モデルによる検証を行った。最近接原子である6つの輝点の経時変化を入力データにした個別事前モデルを適用することで,輝点の強度の経時変化を予測できることが判明した。この結果は,輝点の強度を決定する要因を定式化できる可能性を示唆するものである。また,原子分解能での表面電界強度を計算するためのプログラム開発を行い,FIM試料表面の電界強度分布を計算できることを確認した。具体的には,構造モデルの作成にはpythonで独自プログラムを用い,電界強度計算に3次元電子光学シミュレーションソフトSIMIONを導入することで,先端曲率半径20nmのFIM試料先端の電界強度を原子分解能以下で計算できることを確認した。現在,FIM像から抽出した原子位置を三次元再構成するためのシステムの構築を進めており,次年度は再構成されたFIM像を構造モデルとして入力することで,FIM像における電界強度分布を予測する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,FIM像に記録される輝点の位置および強度情報の抽出,輝点の強度の経時変化のベイズ推論による予測方法の検討を行った。FIMの標準試料としてW<110> tipを用いて,電界蒸発させながらFIM像の連続撮影と物体検出モデルによる原子位置の抽出を同時に実行できるプログラムを開発した。この結果を元に,各原子位置の輝点の強度の経時変化を取得して,解析する輝点の周囲6点の経時変化からベイズ推論を用いて予測可能であることを明らかにした。 次年度実施予定である決定因子の判定精度を評価するため,表面構造に対して一意に決定可能な表面電界強度の計算結果を真の値とする必要がある。本年度はその準備段階として,理想的な結晶構造をもつFIM試料表面の電界強度計算を先行して実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に実施したベイズ推論によるFIM像の強度の経時変化の予測,およびFIM試料表面の電界強度計算に関する結果を取りまとめ,国際会議および論文誌に投稿する。さらに,FIM像の輝点強度から原子種を推定するために,三次元再構成されたFIM像のモデルから算出した電界強度分布と像強度の関係を用いた元素推定モデルの構築を進める。また,平行して元素同定の例として合金のFIM試料の作製方法を検討するとともに,電界蒸発現象を制御するためのパルス電界を用いたFIM装置の構築を進める。
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