Project/Area Number |
23K04590
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 29020:Thin film/surface and interfacial physical properties-related
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
明石 孝也 法政大学, 生命科学部, 教授 (20312647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 晨寧 法政大学, 生命科学部, 助手 (10785067)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 高温用強誘電体 / BaTi2O5 / 電気泳動堆積 / 配向度 |
Outline of Research at the Start |
自動車の自動運転レベルが上がり、異常発熱の影響を阻止するロバスト設計が不可欠となった。本研究の目的は、温度に対して強靭な強誘電体薄膜を作製するために、配向した高温強誘電体BaTi2O5粒子堆積層を骨格とするBaTi2O5-BaTiO3コンポジット薄膜を作製することである。また、本研究における学術的「問い」は、「自発分極を有する粒子の液中における電気二重層はどのように形成されるか」という点にある。 本研究では、「ゾル注入電気泳動堆積法」と命名した新規の成膜法を用いてb軸方向に自発分極を有するBaTi2O5粒子をアルコール中で電気泳動させ、高温用強誘電体の粒子堆積膜を基板上に形成させる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、温度に対して強靭な強誘電体薄膜を作製するために、配向した高温強誘電体BaTi2O5粒子堆積層を骨格とするBaTi2O5-BaTiO3コンポジット薄膜を作製することである。数値目標としては、BaTi2O5系粒子の配向度80%以上を掲げた。また、自発分極を有する粒子の液中分散に対するモデルを構築することが学術的な目的である。 初年度の研究では、BaTi2O5粒子の懸濁液からのゾル滴下電気泳動堆積法により作製したBaTi2O5-BaTiO3コンポジット薄膜において、BaTi2O5の配向度(ロットゲーリングファクター)は8~16%であった。 液中分散モデル構築に関する研究では、BaTi2O5粒子の懸濁液のインピーダンス測定とゼータ電位測定を行った。インピーダンス測定により、分散粒子濃度が高くなるにつれて、抵抗成分が小さくなることを明らかにした。また、BaTi2O5の分極処理の有無や分極処理方法による影響を調査するためには、実験の再現性を高める必要があることが明らかとなった。 また、平行して準安定相BaTi2O5の単相合成に及ぼすZr置換の影響も調査し、Zr置換を行わない方が、より単相に近いBaTi2Oが合成できることを明らかにした。 以上の結果を踏まえて、高度な温度管理下で再現性良くBaTi2O5の結晶作製を行えるように、縦型管状炉に付帯する設備として、試料の回転昇降装置を入手した。2年目以降の研究では、BaTi2O5の結晶作製の再現性を高めた後に、各種分散剤を用いた場合のゾルのゼータ電位測定と分散性評価を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究で、BaTi2O5-BaTiO3コンポジット薄膜におけるBaTi2O5の配向度(ロットゲーリングファクター)は8~16%となった。この値は目標値の80%には及ばないが、おおむね想定通りである。今後、BaTi2O5結晶作製と液中分散の高度化により、さらなる向上を図る。 液中分散モデル構築に関する研究として行ったBaTi2O5粒子の懸濁液のインピーダンス測定とゼータ電位測定に関しては、BaTi2O5の分極処理の有無や分極処理方法による影響を調査するためには、再現性に課題があることが明らかとなった。この再現性は、BaTi2O5結晶作製に関する人的要因が関わっていると考えられるため、縦型管状炉に付帯する設備として新たに導入した試料の回転昇降装置により、改善されることが期待される。 なお、初年度の研究として、各種分散剤を用いた場合のゾルのゼータ電位測定と分散性評価を実施することとしていた。初年度に実施したBaTi2O5の分極処理の有無や分極処理方法による影響に関する調査は、液中分散モデル構築のために必要な研究である。また、実験の再現性を高めるために試料の調整法を見直すことは、重要な手順である。そのため、一部の計画変更はあったものの、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
縦型管状炉に付帯する設備として、試料の回転昇降装置を初年度末に導入した。これにより、初年度の課題となった実験の再現性が向上することが期待される。 今後は、新規に導入した回転昇降装置を活用して、試料供給速度を高度に制御した急冷凝固法によるBaTi2O5結晶作製と、ブリッジマン法によるBaTi2O5結晶作製を行う。BaTi2O5結晶からのBaTi2O5粉末の作製方法については、これまでの方法を踏襲する。BaTi2O5粒子の懸濁液からのゾル注入電気泳動堆積法による製膜方法に関しては、さらなる最適化を行う。 また、カチオン性分散剤、アニオン性分散剤、非イオン性分散剤を用いた場合のそれぞれの懸濁液のゼータ電位測定と分散性評価を行い、液中分散モデル構築のための検討を行う。また、構築したモデルに基づいて、高温強誘電体BaTi2O5粒子堆積層における配向度を高めるための設計指針を立て、それを実証する。
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