Project/Area Number |
23K04596
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 29030:Applied condensed matter physics-related
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮田 俊弘 金沢工業大学, 工学部, 教授 (30257448)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 高品質亜酸化銅薄膜 / 太陽電池 / 酸化物半導体 / TiO2 / pn接合 / 亜酸化銅 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、近年申請者らが開発に成功した粉末ターゲットを採用する低ダメージスパッタ成膜法を駆使してn形Cu2O層の形成と良好なpn接合界面形成を実現し、現在実用されているSi系薄膜 太陽電池を凌駕できる18%以上の高変換効率を有する超安価で環境負荷の極めて少ないpnホモ接合Cu2O太陽電池を開発する。具体的には、粉末ターゲットを採用する低ダメージスパッ タ成膜法によりCu2O薄膜へのn形不純物ドーピングを実現すると共に、多結晶p形Cu2Oシート 上に、良好な界面状態を有したpnホモ接合構造の形成技術を確立することにより高効率化を 実現する。最終的にはパネル変換効率15%を実現する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究の第一段階として、n形Cu2O薄膜を実現するためのドーパント材料の探索 及び最適成膜条件を確立する。具体的には、以下の2つの研究開発項目を実施する予定でであったが、n形Cu2O薄膜作成へのアプローチの過程の中で、特に重要な高品質I型Cu2O薄膜の形成及び接合界面の形成技術の確立に大きな進展があり、それを重点的に実施した。粉末ターゲットを採用する低ダメージスパッタ成膜法に適したドーパントの探索に対しては、その前段階として高品質なノンドープ(I型)Cu2O薄膜の成膜技術の確立が不可欠である。本年度は、透明電極材料として安価で大面積製造の容易なFTO(SnO2:F)透明導電膜上に、スパッタ成膜プロセス並びに成膜時の水素分圧の最適化を試み、水素分圧5%のAr+H2混合スパッタ成膜において、成膜温度室温の低温度でも極めて優れた結晶性を有するCu2O薄膜作成技術を確立できた。作成されたCu2O薄膜はCu2O(110)面に配向しており、金属Cu相やCuO相等の混在の無い高品質Cu2O薄膜であった。 また、pn接合界面の形成技術に関して、n型層として新規なアモルファスTiO2薄膜の形成技術を確立できた。これまでn型層としてはZnO多結晶薄膜が有望と考えてきたが、今回アモルファス相のTiO2薄膜を採用したTiO2/Cu2Oヘテロ接合構造を採用した結果、薄膜型のCu2O太陽電池において、初めて良好な清流特性及び光電変換効率0.22%を実現できた。これは、薄膜のみのpn接合太陽電池においてはじめて有効な変換効率を実現できた成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述したように、本年度は、n形Cu2O薄膜作成へのアプローチの過程の中で、特に重要な高品質I型Cu2O薄膜の形成及び接合界面の形成技術の確立に大きな進展があり、今後の研究に極めて重要な2つの技術を確立できた。その反面、本年度取り組む予定であった粉末ターゲットを採用する低ダメージスパッタ成膜法に適したドーパントの探索として低ダメージスパッ タ成膜装置を駆使して、n形Cu2O薄膜を実現できるドーパント候補の検討として二酸化マンガン、二酸化クロム、酸化コバルト等の2元酸化物、塩化マンガン、塩化クロム、塩化 コバルト等の2元塩化物及びそれらを組み合わせた多元系化合物粉末の作製技術の確立及び、それを用いたスパッタ成膜技術の確立には遅れが生じている。この点に関しては、2024年度に積極的に行っていく予定である。 また、低ダメージスパッタ成膜法を用いて、p形多結晶Cu2Oシート上に良好なpn接合界面を有するn形Cu2O薄膜の形成技術の確立に関しても同様の遅れが生じているが、この点に関しても、2024年度に積極的に行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度以降に関しては前年度十分に行うことができなかった粉末ターゲットを採用する低ダメージスパッタ成膜法に適したドーパントの探索に関して、 低ダメージスパッタ成膜装置を駆使して、n形Cu2O薄膜を実現できるドーパントを見出す。具体的には二酸化 マンガン、二酸化クロム、酸化コバルト等の2元酸化物、塩化マンガン、塩化クロム、塩化 コバルト等の2元塩化物及びそれらを組み合わせた多元系化合物粉末をドーパントとして使用し、母体材料として酸化銅(CuO)粉末を使用するターゲットを作成し、それを用いる低ダメージスパッタ成膜法によりn形Cu2O薄膜を作成し、各種ドーパントを用いた場合のCu2O薄膜の伝導形、キャリア密度及びホール移動度等の電気的特性を詳細に検討する。特にドーピ ング量や粉末の焼成条件と作成したCu2O薄膜の電気的特性との関係を明らかにすることにより、最適なターゲット作成条件を明らかにする。 また、低ダメージスパッタ成膜法を用いて、p形多結晶Cu2Oシート上に良好なpn接合界面を有するn形Cu2O薄膜の形成技術を確立する。低ダメー ジスパッタ成膜法においては独自のマグネトロンカソード構造により、スパッタ成膜中のプ ラズマによる酸化ダメージを従来のスパッタ成膜法と比較して大幅に低減し、p形多結晶Cu2Oシート上に形成したn形Cu2O層の結晶学的特性の各種成膜条件を検討することにより、 良好なpn接合界面形成条件を明らかにする予定である。
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