Project/Area Number |
23K04614
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 30020:Optical engineering and photon science-related
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
仁田 功一 神戸大学, システム情報学研究科, 准教授 (20379340)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
|
Keywords | 干渉イメージング / 位相イメージング / シングルピクセルイメージング / 位相シフト計測 / 画像再構成 / 画像生成 / 干渉計測 / コンピュテーショナルイメージング / 画像回復 / 光情報処理 |
Outline of Research at the Start |
本申請研究では、単一画素計測を用いた干渉イメージングシステムを実験的に実証し、その有効性を示す。特に、空間分解能において、従来手法に対する優位性を検証することを目的とする。 まず、測定対象の反射特性を計測するマイケルソン干渉系を作製し、その動作を検証することで原理確認を行う。提案手法の性能を裏付けるための理論的あるいは解析的な検証を行い、提案手法の潜在的な可能性を明示する。さらに、デバイスの仕様と提案システムの空間分可能の関係について評価する。 ディジタルホログラフィーや定量位相イメージングなどの。本提案システムの優位性をいかした応用事例を提示する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本申請研究は、単一画素計測を基づく干渉イメージングに関するものである。単一画素計測と信号処理により光波の複素振幅分布を獲得できることの意義は大きい。例えば、ホログラフィー記録を単一計測により実現することができる。このことは、単一画素計測で3次元情報を獲得できうることを示している。従来の単一画素計測を基づく干渉イメージングでは、空間光変調素子を用いることを前提としているため、空間分解能に制約があった。この制約を回避すえるための手段のひとつとして、提案したものが申請研究の基本手法である。この手法では、計測時の空間変調を離散的に行うのではなく、ミラーをもちいてアナログ的に行うことが特徴である。 申請時に提案した参照信号の平面波の方向をミラーの傾きにより制御することで、シングルピクセル干渉計測を行う手法について、その実験検証を行った 実験検証では、マイケルソン干渉系に基づく方法を採用している。実験系を構築した。当初の予定に対して、光源および、コリメータを変更している。この理由は、提案手法が従来手法と比較して、より精度が高い平面波をもちいて計測しなければならないことが実験とその評価を通して明らかになったからである。また、ミラーの傾き角と位相シフト計測のためのデバイス制御について詳細に検討した。その結果、測定対象として配置したレンズにより生成される波面分布の概要を画像化することに成功している。この結果をもとに、研究をまとめて、一般社団法人レーザー学会学術講演会第44回年次大会において発表を行なっている。現在、成果をまとめた投稿論文を準備している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構築した実験系について、あらたな課題が生じている。そのいくつかを解決している。当初、所望の結果が得られず、その一因として、干渉イメージングにもちいる平面波の精度が十分であることが予想された。この系において、当初は波長が635nmであるレーザーダイオードと市販のビームコリメータを用いて平面波を生成していた。この構成では、位相分布が得られなかったため、光源をHe-Neレーザー(波長632.8nm)に変更した。また、平面波の生成には、対物レンズと空間フィルターおよびレンズにより生成する構成を採用した。これらの構成では小型化が難しいものの、当初の構成より平面波に近い信号分布が得られる。 また、提案手法において、ミラーの傾きによる参照光の方向制御の精度は、計測と信号処理により生成される出力画像の精度に大きく影響する。一方で、計測系のわずかな誤差は不可避である。そこで、事前計測を用いたキャリブレーションを試みている。また、位相シフト計測にもちいるピエゾアクチュエータに関しても事前のキャリブレーションを行った。 以上のキャリブレーションを行った後、凸レンズにより生成される光波の位相分布を測定対象とする計測を行った。計測データセットから逆フーリエ変換に基づく信号処理を用いて位相分布の画像化を行った。その結果、レンズの光軸付近の変調によりえられる同心円状の位相分布の概形を再構成できることを確認している。さらに、レンズ軸外を観察領域とする実験検証を行った。その結果、光軸付近より密な分布がえられた。以上の検証から、結果を定量的に評価することが課題として残されているものの、提案手法を実験的にデモンストレーションすることに成功したと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
最初に、2023年度に新たに明らかになり、かつ2024年度に解決すべき課題について示す。2023年度に試みたミラーの傾き制御およびピエゾ素子のキャリブレーションは、計測の精度を向上させるために有用である。一方で、計測時間が増大してしまい、安定性や利便性の観点から問題がある。この問題を解決するために、次の2点について検討する。まず、効率的で短時間で行えるキャリブレーションを考案することである。もう1点は、一度のキャリブレーションで長時間動作できる安定性の高い光学系を構築することである。 申請書において、提案手法を用いると固体撮像素子を用いた干渉イメージングよりも高精細な結果をえられる可能性を 述べている。この特性は、本申請研究におけるもっとも重要な「学術的問い」のひとつである。原理的には可能であるものの、計測系の実装においては困難が予想される。計測において、空間領域の広い周波数帯の情報を取得するためには、ミラーの傾き角の範囲が大きくなり、誤差が顕著になる。また、物体光と参照光を干渉させるためには、両光信号を空間的に重畳しかつ集光しなければならない。これらの課題を解決し、実験的な実証ができれば、シングルピクセル干渉計測が超解像干渉イメージングにも有用であることが示される。現状では、シングルピクセルイメージングは高分解能イメージングに対しては不向きであると考えられている。実証が成功すれば、学術的に大きなインパクトがあると考えられる。 最終年度には、提案手法の特性を活かしたサブマイクロメートルの空間分解能を有する干渉イメージングを試みる。このことを示すことと、各種応用に関する考察を行い、異物検査や生体イメージング応用にむけた可能性を提示する。
|