Project/Area Number |
23K04659
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 32010:Fundamental physical chemistry-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大槻 幸義 東北大学, 理学研究科, 准教授 (40203848)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 最適制御 / 量子制御 / コヒーレント制御 / 機械学習 / 分子整列 / 量子最適制御 / アルゴリズム / 量子技術 / デコヒーレンス抑制 |
Outline of Research at the Start |
量子最適制御は,量子技術の原理実証実験と実用応用とのギャップを埋めるのに理想的なシミュレーション・ツールと考えられている。ただし,99.9%以上の超高精度や複雑な拘束条件など,量子技術に資するには従来とは異なるレベルのシミュレーションが要求されており,対応できるアルゴリズムの開発が不可欠かつ喫緊の課題になっている。本研究は量子最適制御の定式化を根本から見直し,量子技術に十分に応えられるシミュレーション法を確立する。複合量子系である分子の特性および分子分光法の高精度を生かせる場合研究を通し,新規シミュレーション法の有効性の実証に加え,量子技術へ応用に有用な知見を提供する。
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Outline of Annual Research Achievements |
まず,超高精度の量子最適化アルゴリズム開発に関しては,1量子ビットモデル系を用いて既存および本研究で提案する新規アルゴリズムを比較検討した。従来はペナルティの重みパラメータを調節することで目的の達成度を向上させてきたが,本研究では制御目的を期待値の高次べきで表すことで収束および制度の改善を目指した。結果,99.99%程度までは従来法と比較して収束性の向上が見られたものの,それ以上はほぼ同程度の精度に帰着していく。原因は従来法と新規手法の表式自体が超高精度になるにつれ近づいていくためである(証明済み)。そこで新たに段階的収束法を開発した。例えば99%の精度で得た解を既存電場とし,それからのずれを最適化していく。次にそのようにして求めた99.9精度の解を既存電場とし,それからのずれを最適化していく。これを繰り返すことで計算精度の根本である波動関数のノルムの精度(~12桁)で最適解が求められることを見出した。 量子制御のゴールは複素確率振幅(分布と相対位相)の高精度の操作である。非共鳴レーザーパルスは共鳴パルスと同程度に効果的に両性せぎょに有効であることを,振動波束を場合研究に明らかにした。 一方,量子制御の機構を機械学習で解析する課題に関しては,非対称コマ分子のレーザー誘起3次元整列制御を通した場合研究において,制御ランドスケープ図の予測という形にまとめることができた。種々の分子に対しフルに量子ダイナミクスを計算できるという点で,回転ダイナミクスは有用な系である。また,機械学習を量子ダイナミクスに適用する際に,訓練サンプルを準備することの困難さがあげられる。我々は,回転ダイナミクスが少数の分子パラメータで特徴づけられることに着目し,分子空間の都合のよい場所に「人工分子」を配置することで課題を解決した。現在成果を論文としてまとめているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超高精度の量子最適化アルゴリズム開発に関しては,当初目指していた方向での課題解決の限界を見出した。その原因を数学的に証明するでけでなく,代替案として段階的収束法を提案した。波動関数のノルム保存などで決められる数値限界の精度で,最適解を求められることを見出し,準備評価を完了している。したがって,順調に進捗しているといえる。 量子制御の機構を機械学習で解析する課題に関しては,非対称コマ分子のレーザー誘起3次元整列制御の場合研究を通して,制御ランドスケープ図の予測という形で課題解決を提案できた。ここでのポイントは,非対称コマ分子が回転定数や分極率問い行った少数の分子パラメータでダイナミクスが完全に記述できることである。この利点を利用し,いわゆる分子空間に人工分子を適宜配置することで,機械学習の訓練に関して(既存分子だけを用いた場合と比較して)格段に精度を向上させることができ,様々な分子に対して制御ランドスケープ図が予測できた。成果に関しては現在学術誌に投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
超高精度の量子最適化アルゴリズム開発に関しては,段階的収束法を提案し準備評価を完了している。これを使えば,波動関数のノルム保存などで決められる数値限界の精度で,最適解を求められる。今後は,この段階的収束法をタイヤモンド・窒素空孔センターなどの量子デバイスに具体系に応用し成果として報告する予定である。同時に,最適解からデコヒーレンス抑制に関する知見を導くように研究を進める予定である。その際,必要に応じて新たな拘束条件を付加していく計画である。具体的には,パルスエネルギーの拘束条件を付加することで,量子操作に要するエネルギーを操作およびデコヒーレンス抑制にどのように配分するのが最適化を明らかにできると期待している。 機械学習を量子系へ応用し制御機構を解明する課題に関しては,成果発表に向けて作業を進める。この研究ではシミュレーションにより訓練データを作成した。すなわち,実験ノイズなどを考慮しない理想的な系ともいえる。将来の実験応用を見据えた場合, 実験ノイズなどの取り扱いが課題になる状況は容易に想定できる。まずは,レーザー加工のような本研究と比較的内容が近い実験分野に着目している。2024年度は,機械学習の量子系の実験への適用または融合を念頭に研究を進める予定である。 2023年度の分子回転ダイナミクス制御に関する課題では,デコヒーレンスの影響が無視できる環境を仮定していた。2024年度以降は,当初計画にある通り,シミュレーションにいバッファガスを導入し,制御したデコヒーレンス環境の実現を目指す。この準備の後に,制御されたデコヒーレンスに対して抑制の開発に研究を進める予定である。
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