Project/Area Number |
23K04666
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 32010:Fundamental physical chemistry-related
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
宮田 竜彦 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 講師 (70390648)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 溶媒和自由エネルギー / ブリッジ関数 / 間接相関関数 / Lennard-Jones流体 / 溶融塩 / Ornstein-Zernike理論 / 統計力学 / 熱力学 / 積分方程式理論 / 変分原理 |
Outline of Research at the Start |
溶液中での化学過程を分子レベルで精密に解明するためには溶媒和自由エネルギー(SFE)を正確に求めることが重要である。3D-RISM等の積分方程式理論を使えば低コストでSFEを求められるが、これにはclosureと呼ばれる近似が含まれており、その精度が問題となる。タンパク質等の揺らぎの大きな分子を扱う方法としてMD法と3D-RISMを連成させるMD/3D-RISM法が提案・実用化されたが、この連成のためにはclosureが変分原理を満たす必要がある。本研究では、タンパク質などに用いられる長距離性ポテンシャルモデルに対して「SFEが正確」かつ「変分原理を満たす」closureを開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
溶媒和自由エネルギーの計算には通常、Kirkwood charging formulaが用いられるが、ブリッジ関数の関数形によってはカップリングパラメータの積分が解析的に実行でき、closed formが得られることがある。HNC、KH、KGK closureはその典型例である。また、溶媒和自由エネルギーのclosed formが得られるための条件のひとつは、ブリッジ関数が間接相関関数の汎関数として書かれる場合であることがKastらによって指摘された。間接相関関数の汎関数として定義されるブリッジ関数はこれまでにも多く提案されている。その中でVerlet-modified (VM) closureとMartynov-Sarkisov (MS) closureを取り上げ、まずはこれらに基づく内部エネルギー、圧力、および溶媒和自由エネルギーの精度を調べた。対象はLennard-Jones(LJ)系およびクーロン系(溶融塩モデル)とした。LJ系ではVMおよびMS closureともにかなり正確であるが、MS closureでは条件によってやや精度が悪くなる場合があった。例えば溶質サイズが大きい場合の溶媒和自由エネルギーはMS closureではやや精度が落ちる傾向があった。一方、クーロン系に対してはVM closureは精度がかなり悪く、クーロン相互作用が強くなれば収束解が得られなくなった。MS closureをクーロン系へ拡張したものは比較的精度が高かった。ただし、MS closureをクーロン系(溶融塩モデル)へ拡張する際の摂動的なポテンシャル部の取り扱いに関して、異種イオン間の切り替え距離そのまま同種イオン間へも当てはめるという方法を用いた。この方法の妥当性については検討できておらず、クーロン系に対するMS closureの適用可能性や精度に関する検討は今後の課題である。さらに、hybrid closureを用いて、LJ系やクーロン系(溶融塩モデル)のブリッジ関数の抽出も行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の大まかな方向性として、間接相関関数の汎関数としてブリッジ関数を定義することを目指している。その際、当然精度の高い関数形を探すことになる。精度を判定するのに必要な基準データとしてのブリッジ関数は、hybrid closureを用いてLJ系およびクーロン系の双方について求めることができた。また、間接相関関数の汎関数として定義されるブリッジ関数(MS closure等)は、これまで主に短距離性のポテンシャルへの適用がほとんどであった。本研究では、MS closureをクーロンポテンシャル系へ適用するための方法をいくつか考案し、実際に数値計算を行なってみることで有効な方法の絞り込みを行なうことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024度はMS closureを中心として、間接相関関数の汎関数としてのブリッジ関数をいくつか提案し、その精度を調べる。特に溶融塩モデル等のクーロン系に対する精度について検討する。溶融塩モデルの場合、同種イオン間と異種イオン間とでブリッジ関数の関数形が明らかに異なることがこれまでのhybrid closureによるブリッジ関数の抽出から判明している。イオンペアを同種・異種に場合分けして、別個にブリッジ関数の関数形を検討する。また、多原子分子からなる溶媒へのMS closureの適用可能性についても検討する。
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