Project/Area Number |
23K04708
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 33010:Structural organic chemistry and physical organic chemistry-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
酒井 隼人 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (60708486)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
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Keywords | 一重項分裂 / テトラセン / 光反応 |
Outline of Research at the Start |
SFは量子収率が200%まで達するため、利用すれば高効率な光有機反応システムが構築できると言われているものの未だに達成されていない。またSFの応用展開はやはり主として太陽電池という概念が中心である。以上の点を踏まえ、本研究では、SFを利用した光反応システムの構築を検討し、SFを基盤とする材料の基盤技術の確立だけではなく、SFを利用した材料の新たな指針を示す。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は本研究の基盤となる一重項分裂(SF)発現が可能な分子の合成に着手した。触媒への展開を見据え、高収率かつ長寿命で三重項励起子が生成可能な分子の構築を検討した。本研究ではまず色素としては三重励起状態のエネルギーが高いテトラセンを二分子共有結合で連結した二量体を合成し、SFに関して検討を行った。定常分光測定では、距離と配向によりスペクトルの長波長シフトが観測され、テトラセン間の電子的相互作用が異なっていることが明らかとなった。また時間分解蛍光スペクトルから、テトラセン間のオーバーラップが大きい分子ではエキシマー形成が確認され、オーバーラップが大きく、強く相互作用しする分子ではSFとエキシマー形成が競争するということが明らかとなった。さらに過渡吸収スペクトル測定も行った。その結果、今回合成したテトラセン二量体では、すべての分子においてSFの逆反応である三重項-三重項消滅(TTA)の発現が確認され、これにより三重項励起子の生成効率が低下してしまった。特にテトラセン同士が大きくオーバーラップした二量体では、TTAのみならずエキシマー形成が生じるため三重項励起子生成の効率を大きく低下する結果が得られた。さらに長寿命な三重項励起子である独立した三重項励起子の生成には分子運動が効いていることも明らかとなった。したがってSFにより効率的に三重項励起子を生成するには電子的相互作用の調整だけではなくテトラセン同士の配向と分子の運動性が極めて重要であるということが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の目的では効率的に長寿命な三重項励起子が生成可能な分子を確立し、三重項励起子を定量的に利用し高収率一重項酸素の生成まで観測する予定であった。しかしながら、一重項酸素の生成収率に関してはまだ検討できていないため予定よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず効率的に長寿命な三重項励起子が生成可能な分子を確立し、一重項酸素の生成収率を評価する。その結果を基にSF発現分子の再検討などを検討する。さらに生成した一重項酸素をもちいて反応に関しても検討を行うことを予定している。
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