Project/Area Number |
23K04714
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 33010:Structural organic chemistry and physical organic chemistry-related
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
鈴木 敏泰 分子科学研究所, 機器センター, チームリーダー (60260030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椴山 儀恵 分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 准教授 (80447127)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | n型有機半導体 / ペリレン / フッ素 / 有機太陽電池 |
Outline of Research at the Start |
有機太陽電池は分子設計の自由度が高く、軽量かつ柔軟性を有することが特長である。低コストを実現する太陽電池として広く注目されている。エネルギー変換効率の向上、高効率な光吸収および電荷移動を達成する有機半導体材料の開発が求められている。本研究では、新たなn型有機半導体として、フッ素化ペリレン化合物の合成研究と有機太陽電池の開発に繋がる材料研究を目的とする。有機薄膜太陽電池を作製し、素子特性を評価する。
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Outline of Annual Research Achievements |
研究分担者の椴山は、ペルフルオロビナフチルを基本骨格とする触媒材料の開発研究に取り組むなかで、フッ素化ナフタレンの合成およびペルフルオロナフチル化合物の分子修飾法を見出している。本研究では独自の経路を考案し、安価な2,7-ジヒドロキシナフタレンを出発原料としてフッ素化ペリレン化合物を合成した。オクタフルオロペリレン(F8ペリレン)は、複数のフッ素化反応とC-C結合形成により、8ステップを経て得られた。今年度は2,7-ジヒドロキシナフタレン(16g)から、370mgのF8ペリレンを合成した。F8ペリレンと種々のハロゲン化剤の反応により、全ハロゲン化ペリレン・F8X4ペリレン(X = Cl, Br, I)が得られた。 全フッ素化(F12ペリレン)の合成を目指して、種々の手法を試行している。F8Cl4ペリレンをスルフォラン中でKFによる芳香族求核置換反応を行ったが、原料回収あるいは反応混合物のみが得られた。N-(t-ブチル)-N-フルオロ-2-メチルプロパン-2-スルホンアミドのような求電子的フッ素化剤によるF8ペリレンの直接フッ素化は、反応が進行しなかった。次に、OTfからフッ素へ、ヨウ素からフッ素への変換を試みた。予備実験として、F7OTfナフタレンやF7Iナフタレンをモデル化合物として用いた。[(cinnamyl)PdCl]2+t-BuBrettPhosやPd(PPh3)4 などのPd触媒存在下、CsFやAgF +KFをフッ素化剤として用い、フッ素化置換反応を実施した。OTfでは副生成物がメインであった。ヨウ素体では、フッ素化の収率は最高でも13%止まりであった。来年度もさらに種々のフッ素化反応を検討する予定にしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フッ素の高い電気陰性度に伴い、C-F結合の切断を伴う芳香環の分子修飾は困難を極める。芳香族炭化水素化合物ペリレンは、既に多くの誘導体が合成されているが、その合成に用いられる分子修飾法をフッ素化ペリレン化合物の合成に応用することができない。フッ素の特質に起因するフルオロアリール基の特異性が、未だにフッ素化ペリレンの合成が達成されていない主な理由であると考えられる。 本研究提案では独自の経路を考案し、安価な2,7-ジヒドロキシナフタレンを出発原料としてフッ素化ペリレン化合物を合成した。オクタフルオロぺリレンは複数のフッ素化反応とC-C結合形成により、8ステップを経て得られた。また、種々のハロゲン化剤の反応により、全ハロゲン化ぺリレンが生成する。F8ペリレンおよびF8X4ペリレン(X = Cl, Br, I)はすでに得られており、最も困難である全フッ素化(X = F)を中心に取り組んだ。未だ、F12ペリレンは得られていないものの、合成に関する知見は多く得られており、ゴールは近いものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、F8ペリレンの水素をMe3Si化し、二フッ化キセノンXeF2のラジカルフッ素化反応を検討予定している(Lothian, A. P.; Ramsden, C. A. Synlett. 1993, 753-755)。また、共同研究により、F8ペリレンやその誘導体をF2ガスによりフッ素化できないか検討していく。 M06-2X-D3/6-311+G(d,p)-SDDあるいはB3LYP-D3BJ/6-311+G(d,p)-SDDレベルでのDFT計算を引き続き行う。フッ素化ペリレン化合物の可視・紫外分光法(UV-Vis)測定を実施し、得られたスペクトルをペリレン自身と比較する。HOMO-LUMOのエネルギーギャップを見積もり、フッ素化による影響を考察する。フッ素化ペリレン化合物の電気化学的な特性を明らかにするため、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定を実施し、酸化・還元電位を比較する。また、分子研・解良や慶大・中嶋らとの共同研究を通して、光電子分光によるHOMOおよびLUMOエネルギーレベルの測定を行う。
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