Project/Area Number |
23K04740
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 33020:Synthetic organic chemistry-related
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
上野 聡 東京工科大学, 工学部, 准教授 (50514139)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
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Keywords | ルテニウム触媒 / ケトン / アルケニル求電子剤 / クロスカップリング / 有機ホウ素化合物 / ピリジン配向基 / 炭素ー窒素結合切断 / カップリング / ルテニウム / ニッケル |
Outline of Research at the Start |
身の回りで広く役立っている有機化合物は、有機合成化学の発展によって改良されてきた。特に、これまでに多段階の合成経路を必要とするため、合成できなかった化合物はたくさん存在する。今回、ケトンを直接アルケニル求電子剤として用いることで、アルケン誘導体を簡単に合成できる手法を開発する。この手法は、我々がこれまでに開発した炭素ー窒素結合の切断と、エナミンの系中発生を鍵としている。アルケンは高分子のモノマーや医薬品、有機材料など幅広い分野で使用されているため、この研究によって近代社会の更なる発展に期待できる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではケトンをアルケニル求電子剤として利用する反応の開発を行なった。ケトンは、炭素求核剤の攻撃を受け、アルコールを与える。また、アルコールは脱水条件でアルケンに変換される。この2段階の反応でケトンからアルケンを合成できる。しかし、アルコールの脱水には、濃硫酸などの強酸性条件を必要とする。また、ケトンは、Tf2Oによりアルケニルトリフラートに変換してカップリング反応に利用される。この反応でも、アルケニルトリフラートの単離を必要とする。今回我々は、ケトンとアミンから系中で容易に生じるエナミンのアルケニル炭素ー窒素結合がルテニウムに酸化的付加することで、ケトンを直接アルケニル求電子剤として利用する反応を開発した。 この反応について、さまざまな遷移金属触媒やアミン、溶媒について検討した。その結果、遷移金属触媒としてルテニウム、アミンとしてピロリジン、溶媒としてキシレンが最適条件であることがわかった。また、この反応を円滑に進行させるためには、適切な配向基を近傍に位置させることが必要であった。アミン添加剤として、さまざまなアミンの検討を行なった。ピロリジンに骨格が近いイソインドリンでも良い結果を示すこともあった。配向基としてさまざまなsp2窒素やsp2酸素をもつものを合成して検討した。その結果、ピリジン配向基が最適であることがわかった。また、ピリジン配位子のピリジン環上にさまざまな置換基をもちいて検討した。その結果、ピリジンの3位に置換基をもつ配向基がより効果的であった。 さらに、カップリングパートナーである有機ホウ素化合物についてもさまざまな検討をおこなった。電子供与基や電子吸引基をもつフェニルホウ素化合物や、2-ナフタレンやパラフェニルフェニル基などの導入も可能であった。一方で、アルケニルボロン酸エステルやアルキルボロン酸エステルをもちいることはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、収率の向上が問題となっていた。今回、さまざまな触媒や配位子、溶媒、添加剤の検討を行うことで、収率を向上させることに成功し、そのために鍵となる要因が明らかとなった。これらの結果は、学会発表や論文投稿などを行なっており、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように今回目的の反応を進行させることに成功した。今後の課題としては、アミン添加剤を過剰量用いる必要があることから、この添加量を減らすことが必要である。さらに、配向基としてピリジル基が必要であることから、ピリジン以外に分子変換可能な配向基でも進行するように工夫したり、配向基を用いなくても反応が進行するような工夫をしていくことが必要である。 具体的には、配向基として、ピリジン以外に、アミドやケトン、アルデヒド、オキサゾリン、イミダゾールなどで検討していく。また、本来この反応では、アミンは触媒量でも十分であると考えられるが、実際には触媒的には機能しない。そのため、反応機構を解明するためのより詳細な実験を行い、これらの問題を解決していく。
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