Project/Area Number |
23K04741
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 33020:Synthetic organic chemistry-related
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
折田 明浩 岡山理科大学, 工学部, 教授 (30262033)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 還元的脱スルホニル化 / 光触媒 / スルホン / ピレン / アニオンラジカル |
Outline of Research at the Start |
本提案ではこれまで有機合成に積極的に使われることのなかったスルホンのアニオンラジカルを鍵化学種に設定し、ラジカルとしての反応性を活用することで、従来法では達成できなかった位置選択性のMallory環化や極性転換型Michael付加など新たな炭素-炭素結合形成に挑戦する。具体的にはハロゲン置換した共役スルホンの可視光レドックスからペリ環状反応を実施したり、電子不足な共役スルホンと電子豊富オレフィン間の可視光レドックスを行い、酸触媒反応では得られにくい連続4級炭素を構築する。新たなアニオンラジカル合成を追加し、合成化学の新展開・新発見に迫りたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
アルコキシ基の置換位置が異なるピレン光触媒を合成し、パイ拡張エテニルスルホンの還元的脱スルホニル化における触媒活性を調査した。アルコキシ基をオルト、メタ、パラ位に置換したピレン触媒の合成法を確立し、その光学的および電気化学的な特性を明らかにした。これら置換ピレン光触媒を用い、光源を青色LEDあるいは緑色LEDに変更することで触媒活性をチューニングできることを示した。興味深いことに緑色光を用いた場合に、より温和な条件下で還元反応を実施できることが分かった。様々なエテニルスルホンの還元的脱スルホニル化反応に適用し、これまでに報告したペリレン光触媒ー青色光による反応との比較を行った。最適化条件下で、対応するエテニルスルホンを原料に用いて、共役ジエンやビス(ジエン)、共役トリエンなど光やレドックス条件下でやや不安定な化合物の合成を達成した。また、これらの反応で触媒活性に差異が発現する理由について立体的および電気的な観点から考察した。ここで得られた知見を基に、デヒドロベンゾアヌレンの効率合成を達成した。すなわち、エテニルスルホンの還元的脱スルホニル化ではE選択的にオレフィンが得られることを利用し、E配座を持つデヒドロベンゾアヌレンの簡便合成に成功した。得られたデヒドロベンゾアヌレンはこれまでその合成については報告されていたものの、低収率に留まり、物理的な性質は明らかにされていなかった。本研究ではX線構造解析や光学的特性(紫外可視吸収、蛍光)についても明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本提案では、光レドックスから発生したスルホンアニオンラジカルを鍵化学種として「変換反応」および「炭素-炭素結合構築」に取り組んだ。今年度は新たな光触媒を開発することで、光レドックスの精密化の指針を得た。具体的には、一般的な求核的あるいは求電子的な置換反応や付加反応と同様に、光レドックス触媒に対して立体的および電子的なチューニングを施すことで、脱スルホニル化反応の精密化を達成した。光レドックス触媒の電子的立体的なチューニング法から、共役ジエンやビス(ジエン)、共役トリエンなど光やレドックス条件下でやや不安定な化合物の合成を達成した。さらに本手法を用いたこれまで未開拓であったデヒドロベンゾアヌレンの簡便合成法を確立し、さらにX線構造解析や分光学的手法により物性評価を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
本手法をさらに発展させ、ヘリセンや更なるパイ拡張化合物の合成に展開する。また、現在は光触媒を用いたレドックス反応からラジカルアニオンを発生させているが、圧電材料などを用いた手法でも検討したい。無機の圧電材料を用いた無溶媒あるいは微量溶媒存在下での脱スルホニル化が実現できれば、溶解性に乏しいパイ拡張化合物の合成などに幅広く利用できる。また、ラジカルアニオンを経由した炭素-炭素結合生成反応が達成できていないので、この点を解決したい。
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