Project/Area Number |
23K04766
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 34010:Inorganic/coordination chemistry-related
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
萩原 宏明 岐阜大学, 教育学部, 准教授 (20706973)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | サーモサリエント / スピンクロスオーバー / 分子結晶 / 分子運動 / 可逆性 / 耐久性 / 置換基 |
Outline of Research at the Start |
近年、ソフトアクチュエータへの応用を視野に入れた、外部刺激により運動する分子結晶(メカニカル結晶)に注目が集まっている。本研究では、メカニカル結晶の内、熱によりジャンプのような激しい運動を示すサーモサリエント(TS)結晶を対象に、材料応用に必要とされる①運動特性が低下せず、②可逆的に、③繰り返し駆動するといった耐久性を有するTS結晶の設計法を見出す。具体的には、研究代表者らが最近見出したスピンクロスオーバー(SCO)に連動してジャンプするTS分子結晶を基盤として、分子修飾により新たなTS結晶を創出し、結晶劣化がなく質を保ったまま可逆的に繰り返しジャンプするTS分子結晶の合理的設計法を提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
近年、アクチュエータへの応用を視野に入れた、外部刺激により運動する分子結晶(メカニカル結晶)に注目が集まっている。本研究では、メカニカル結晶の内、熱によりジャンプするサーモサリエント(TS)結晶を対象に、材料応用に必要とされる「運動特性が低下せず、可逆的に、繰り返し駆動する」といった耐久性を有するTS結晶の設計法を見出す。具体的には、研究代表者らが見出したスピンクロスオーバー(SCO)に連動してジャンプする鉄(II)TS分子結晶を基盤に、分子修飾により新たなTS結晶を創出し、結晶劣化がなく可逆的に繰り返しジャンプするTS分子結晶の合理的設計法を提案する。この研究目的達成のため①異方変形を誘起する分子運動に直結するエチル(Et)基の修飾、②分子間π-π相互作用に影響して結晶内の空隙を変えるフェニル(Ph)基の末端基修飾、③SCO分子数の低減により分子運動バランスの最適化を図る中心金属希釈の3つを遂行し、各項目の耐久性改良に対する有効性を検証する。 初年度は、①について、基盤錯体のPh基を固定しつつEt基をアリル、n-プロピル、i-プロピル基に置換した錯体に加え、i-ブチル、ブロモエチル、ヒドロキシエチル基に置換した錯体の結晶化に成功した。この内、アリル体については既に二段階SCOに連動してTS効果を示すことが分かっていたが、その構造要因について単結晶X線解析とエナジーフレームワーク解析により検討した。また、n-プロピル体ではSCOが三段階になり、i-プロピル体はSCOを示さないことで、共にTS効果も発現しないことがわかった。その他の錯体はSCOを示すが、顕著なTS効果は発現しなかった。続く②の検討では、4-Cl-Ph、4-Br-Ph基とアリル基からなる錯体でSCOとTS効果がみられた。なお、Cl体とBr体は同形の結晶構造、同等のSCO挙動を示しながら、TS挙動に差があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度から次年度の計画として、①異方変形を誘起する分子運動に直結するエチル(Et)基をアリル基、n-プロピル基、i-プロピル基に置換した錯体の結晶化、②分子間π-π相互作用に影響して結晶内の空隙を変えるフェニル(Ph)基の末端パラ位にメチル(Me)、塩素(Cl)、臭素(Br)を導入した錯体の結晶化を目指していた。この内、4-Me-Ph錯体は結晶性が低く合成条件が確立できていないものの、その他の錯体は全て結晶を得られ、さらに①に関して計画を超えた複数の置換基を利用した錯体の結晶化にも成功したため。また、結晶化した錯体の内、少なくとも3つの錯体がSCOとTS効果を示していることから、今後の物性解析、及び新規誘導体の合成が確実に進むことが期待できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、当初の研究実施計画に沿って、現在得られている置換基変換体の熱的SCO特性の測定、TS効果の観察、温度可変単結晶X線構造解析などを進め、各錯体のSCO挙動やTS効果と構造変化の関連を明らかにしていく。ただし、現時点で合成に成功している分子結晶では、十分に可逆的かつ耐久性もあるTS効果の発現には至っていないため、次年度は①、②に関してこれまでに試していない4置換Ph基とアルキル基の組み合わせや、これまでに用いなかったアルキル基をもとにさらなる誘導体合成を進める。また、顕著なTS効果を示している基盤錯体、及び4-Br-Phとアリル基を有する錯体を中心に③の金属希釈効果の基礎検討を始める。
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