Project/Area Number |
23K04767
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 34010:Inorganic/coordination chemistry-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉本 秀樹 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00315970)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | ロジウム / コバルト / アンチモン / CHアミノ化反応 / ラジカル活性種 / 後周期遷移金属 / ラジカル錯体 / ナイトレン錯体 / アミノ化反応 |
Outline of Research at the Start |
オクテット則を満たさずに窒素上にラジカルが局在化した金属―ナイトレンラジカル錯体を、精密に設計された配位子を持つ後周期金属元素(Co, Ni, Pd, Cu, Sn, Pb, Sb, Bi)錯体と有機アジドから発生させ、単純な低級アルカンのアミノ化をおこなう。そのために、戦略①として、酸化還元配位子を持つ後周期金属錯体を合成し、配位子から1電子のみをナイトレン源に移動させて目的の錯体を得る。戦略②として、大きな配位子場分裂を与える平面4座配位子を用いて金属錯体を合成し、金属からの1電子のみをナイトレン源へ移動させて、目的の錯体を得る。
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Outline of Annual Research Achievements |
飽和炭化水素のアミノ化反応を達成するために、従来の結合状態にはない“窒素上に局在化したラジカルを有する金属―ナイトレンラジカル錯体”を合理的に発生させ、その電子状態や構造ならびにその求電子的な性質を利用するアミノ化反応性を明らかにすることを目的とした。フェニレンジアミドを連結したトリアニオン性ピンサー型配位子のアンチモン(III)が報告されているが、配位子の酸化還元能は不明であった。この配位子にも嵩高い置換基を導入して、ラジカルカップリングなどの2量化などを防ぐ工夫をして、15族アンチモン(III)錯体を合成し、構造決定や電気化学的手法で配位子の電子移動特性を明らかにした。 くわえて、歪んだ平面構造をとるRh(II)錯体を合成し、この錯体が有機アジドと反応し、ロジウム(II)からの1電子移動により、ロジウム(III)ナイトレンラジカル種が生成することも明らかとし、この錯体もラジカル的にC(sp3)-Hアミノ化反応をおこなうことも確認した。ナイトレンラジカル中間体は電子スピン共鳴法および質量分析法で同定した。 さらに、七員環トロポロン含有環状四座配位を有するコバルト(II)錯体の合成に着手し、いくつかの錯体を合成することができた。アルキルジアミンとトロポロンとをベースにするこの配位子では、ジアミンのアルキル基の長さを変えることにより、コバルト中心の歪みが異なるため、電子状態を精密に制御できる。さらに、この錯体はコバルト(II)の状態では4配位構造をとるが、コバルト(III)状態では5配位構造が安定となるため、5番目の配位座に有機アジドが配位して、容易にナイトレンラジカル活性種が生成することが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
飽和炭化水素のアミノ化反応を達成するために、従来の結合状態にはない“窒素上に局在化したラジカルを有する金属―ナイトレンラジカル錯体”を合理的に発生させ、その電子状態や構造ならびにその求電子的な性質を利用するアミノ化反応性を明らかにすることを目的としている。申請書で計画したアンチモン錯体に関しては、フェニレンジアミドを連結したトリアニオン性ピンサー型三座配位子を合成した。その電気化学的な性質をcyclic voltammetryにより決定することができ、有機アジドに対する十分な還元能力を確認できた。くわえて、歪んだ平面構造をとるRh(II)錯体を合成し、この錯体が大きな酸化電位を有し、通常不活性なアルキルアジドも活性化し、Rh(II)からの1電子移動還元により、対応するRh(III)ナイトレンラジカル種が生成したこと、ならびに、この錯体がラジカル的にC(sp3)-Hアミノ化反応をおこなうことも確認できた。このナイトレンラジカル中間体も同定することができ、計画書の通り進んでいると判断した。さらに、トロポロン含有環状配位を有するCo(II)錯体の合成に着手し、いくつかの錯体を合成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度中に合成に成功したアンチモン錯体と各種有機アジドとを反応させる。反応の進行が確認できた組み合わでは、反応温度を低温にするなどして、有機アジド付加体あるいはナイトレン付加体の生成を確認する。確認できた反応中間体は、質量分できや赤外分光法などにより同定する。さらに、量子化学計算による考察も加え、反応中間体の分子軌道や電子状態を明らかにする。アンチモンと同族であり、アンチモンよりもイオン性が大きなビスマスを中心金属にしたアンチモン錯体と等構造のビスマス錯体を合成する。この錯体ではより大きなラジカル成分がナイトレンの窒素上に誘起され、アミノ化反応性の向上が期待できる。アミノ化反応が進行した組合せについて、それらの各種分光法をや質量分析法測定をおこない、反応中間体を同定する。量子化学計算もおこない、アンチモン錯体の電子状態との違いを明確にし、二種類の錯体のアミノ化反応性の違いを電子状態やエネルギー状態から考察する。すでに合成に成功したトロポロン含有環状配位子を持つコバルト(II)錯体についても、その錯体と有機アジドとの反応をおこない、反応性の有無を吸収スペクトルなどで確認する。有機アジドと炭化水素基質とをコバルト錯体触媒条件で反応させ、アミノ化反応の進行を液体クロマトグラフィーやプロトンNMR分光法などにより確認する。活性な有機アジドを用いて高難度なCH結合のアミノ化を達成する。これについても量子化学計算をおこない、反応機能を推定する。
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