Project/Area Number |
23K04790
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 34020:Analytical chemistry-related
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
内海 英雄 静岡県立大学, 薬学部, 客員教授 (20101694)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | MRI / 機能画像 / 高画質化 / DNP |
Outline of Research at the Start |
本研究は、機能MRI画像の高感度・高分解を達成するためのアルゴリズムを開発し、「プログラム医療機器」として可能性を検証することを目標とする。申請者は「磁場変換(FC)-動的核偏極(DNP)-MRI」を量子力学に遡って解析した結果、動的核偏極と常磁性緩和促進の夫々で取得した画像を融合すると、画像輝度が数百倍近くも上昇することを見出した。本研究ではこの発見を基に、緩和時間MRIや脳機能MRI、拡散強調MRI、化学シフトMRIに最適な新規アルゴリズムを作成し、これらの機能画像の高感度化・高分解能化を図り、定量的評価を行い、新たな「プログラム医療機器」としての可能性を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2021年に報告した磁場変換(FC)-動的核偏極(DNP)-MRI研究の画像(Anal Chem 2021)をFC-DNP過程での磁化変動を理論的に解析し、更にMRIパルスシーケンスでの画素信号強度をシミュレートし、画像輝度が数百倍近くも上昇する可能性が示されたことが契機である。そこで、この可能性を理論的に解析しアルゴリズムとして開発し、DNP-MRIや定量MRI、化学シフト(CS)-MRI、等に活用し、これらの機能画像の高感度化・高分解能化を図り、新たな「プログラム医療機器」を開発することを目的とした。 まず、FC-DNP-MRIで既に取得した画像をImageJで詳細に計算・解析し、画像輝度上昇を4種のSNR評価法とプロトプロファイルで評価した。また、従来のin vivo DNPで使用している差画像に加え、分光学で汎用されているDNP増強係数での画像化法を探った。その結果、パルスシーケンスの最適化と計算アルゴリズムで明瞭なDNP増強係数画像が得られ、ノイズ低減の機序も明らかとなった。 更に、定量MRIやCS-MRIへの活用を検討するために、緩和度の異なるファントムとアスパラギン酸-クレアチンを含むファントムを作成し、浜松医科大学に受託撮像を依頼した。その結果、定量MRI画像に関しては想定した高画質化画像が得られた。しかし、CS-MRIに関しては、MRI装置の劣化や修理等もあり、必要な画像は取得できなかったことから、研究用MRI共用プラットフォームの利用を試みる予定である。 医療画像診断では画像データはDICOM形式で統一され多種画像が診断に使われている。そこで、上記の結果を別途購入したDICOM用ソフトウェアに適用し稼働性を評価した結果、マイクロ秒レベルで機能画像の高画質化が可能であった。 以上、本研究目的の「プログラム医療機器」の開発に向け見通しを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究実施計画に沿って記載する 項目1)の画像の取得に関しては浜松医科大学の受託撮像制度を利用して、①定量MRI用画像を取得し、③CS-MRI画像用のファントムを作成し撮像を行った。しかし、用いたMRI装置が経年劣化しソフトウェアも古いため期待したCS-MRI画像は得られなかった。また、②脳機能MRI画像と④拡散MRI画像もソフトウェアに問題がある恐れがあり未着手である。昨年11月に「研究用MRI共用プラットフォーム」を知ったので、今後はこのプラットフォームをも活用したい。 項目2)の高画質機能画像創生アルゴリズム作成は最も重要であり、既に取得しDNP-MRI画像を詳細に解析した。これまで不可能であったDNP増強係数での画像化法を可能とするアルゴリズムを開発した結果、1000倍以上の輝度向上が得られ新規画像化法が見出された。このアルゴリズムにはDNP増強係数を求める演算が組み込まれているが、演算式を変えることで他の機能MRI画像に応用可能である。また、医療画像データ保存形式を考慮してプログラム医療機器に不可欠なDICOM用ソフトウェアを購入し、DNP増強係数画像化法アルゴリズムの適用性を検討した結果、市販DICOM用ソフトウェアでも高画質画像が創生され研究目的の「プログラム医療機器」の開発に向け大きく進展した。 項目3)のアルゴリズムの科学的検証に関しては4種のSNR評価法とプロトプロファイルで解析した結果、SNR評価法により解析結果が大きく異なることが示され、SNR評価法の詳細比較から本アルゴリズムの高画質化特性が明らかになった。 以上の進捗状況を踏まえて、機能画像の取得が完全には終了していないもののアルゴリズム開発では当初計画を大幅に超えた成果が得られ、当初目的の達成が見通せることから「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要に記したとおり、初年度にアルゴリズム開発で大きな進展があった。また、本アルゴリズムの特許技術はMRI以外の画像も高画質化できる可能性を含んでいることからMRI以外の病理診断や分子生物学・材料科学に用いられているモダリティ画像の取得を行い、交付申請書に記載した研究に加えて画像分析全般への応用を視野に入れて研究を推進する。 1)MRI画像の取得:浜松医科大学臨床用MRI及び研究用MRI共用プラットフォームを用いて機能MRI画像の取得を行う。機能画像として次の画像を種々の条件で撮像しアル ゴリズム作成に供する。①定量MRIとして異なるパルス条件で複数の画像を撮像する。②脳機能MRIとして磁気感受性抑制を種々のパルス条件で撮像する。③化学シフト画像に関しては、脳での化学シフト画像を想定した化学シフト画像を取得する。 2)上記①~③の画像を詳細に解析し、これらの解析結果を基に、高感度・高分解の可能性を様々な角度から検討し 、DNP-MRI以外の演算式を用いた画像創生アルゴリズムを製作する。また、アルゴリズムの科学的妥当性を検証するためには、種々のSNR計算法とプロトプロファイルを活用し、本アルゴリズムの有効性を確立する。 3)他画像モダリティへの応用:本アルゴリズムの可能性を探るために、光学・蛍光顕微鏡、光学・電子顕微鏡、質量分析イメージング、写真など他モダリティ画像の取得を行い、本アルゴリズムのアプリケーションを開拓する。 4)本研究の最終目的は「プログラム医療機器」としての画像支援システムの開発である。そこで、DICOM用ビューア改良版を用いて、プログラム医療機器の観点から研究を進め、本アルゴリズムの最適化を行う。併せて、汎用画像装置ワークステーション用プログラムとしての可能性を検証する。
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