Project/Area Number |
23K04803
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 34020:Analytical chemistry-related
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
菅野 憲 富山大学, 学術研究部工学系, 助教 (60466795)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | 糖センサ / アップコンバージョン / フォトクロミズム / 糖センサー |
Outline of Research at the Start |
血糖値を長期連続測定できるウェアラブル光学センサの精度向上を目指し,フォトクロミズムによるスイッチング機能を有する二波長励起発光型ランタノイドアップコンバージョンナノ粒子(UCNPs)に基づく近赤外(NIR)発光糖センシングフィルムを開発する。このセンサは,糖との競争的錯形成反応に基づくレセプター/フォトクロミック素子複合体架橋点の解離/再構成に伴うフィルムの膨潤/収縮により包埋UCNPsの密度が変化し,糖に対してNIR発光応答を示すが,光異性化のためのNIR光を照射すると架橋点が解離し糖に対して不感となる。光異性化用NIR光照射を周期的に繰り返すことで,高精度な糖センシングが可能となる。
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Outline of Annual Research Achievements |
異なる波長の近赤外(NIR)励起光を用いたセンサシグナルNIR発光とフォトクロミズムのための可視光(VIS)発光が必要となるため,980 nmの励起光吸収Yb3+増感剤と800 nm アップコンバージョン(UC)-NIR発光を示すTm3+活性剤,及び808 nmの励起光吸収Nd3+増感剤と470--580 nm UC-VIS発光を示すTb3+活性剤をコアシェル型UCNPsとして組み込む必要がある。この場合,Nd3+増感剤単独だとTb3+を励起できないのでYb3+の添加も必要となるが,980 nm 励起によりUV-VISが生じてしまうので工夫が必要となる。そこで多段階のマイクロエマルジョン水熱合成法を用いて,NaYF4:Nb3+,Tb3+,Yb3+コアをUC-VIS用に構築し,シェル第1層として808 nm励起光吸収用NaYF4:Nb3+層を,シェル第2層としてUC不活性なNaYF4絶縁層を,シェル第3層として980 nm励起光を十分に吸収できる厚みの980 nm励起用NaYF4:Yb3+, Tm3+層を有するコア多層シェル型UCNPsを構築する。これにより980 nm励起光はシェル部分で十分に吸収され,980 nm励起によるコアでのUC-VIS発光は抑えられる。最後に逆マイクロエマルジョン法を用いてコアシェル型UCNPs表面をシリカ層で覆う。ナノ粒子の波長変換効率は,粒子径とその形状や組成,シェルの厚み等に依存するので,活性剤の添加量や水熱合成反応温度あるいは時間等の合成条件を変えてUCNPsを合成し,異なる波長の励起光照射により最も効率よく発光し,クロストークの無いUCNPsを得る。 申請者は既にレセプター感受性フォトクロミック素子としてスピロピランを開発しているが,効率よく光異性化を行わせるためにモル吸光係数の大きなスピロピラン誘導体を合成し,スイッチング能を評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請研究は3年間で実施するものであるが,研究計画立案時点での初年度年次計画をおおむね達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
レセプター固定化UCNPsをレセプター含有ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)モノマー溶液に分散させ熱重合することによって,UCNPs包埋レセプター共重合フィルムを調製する。このフィルムにスピロピランを含むHPMAモノマー溶液を含浸させ熱重合し,流動性の高いsemi-IPN構造のフィルムを構築する。polyHPMA中でスピロピランはレセプター感受性メロシアニンとして存在していることは既に確認している。このセンシングフィルムは糖濃度に応じて架橋点が解離/再構成・フィルムの膨潤/収縮が起こり,包埋UCNPsの密度が変化する。従って,センシングフィルムの980 nm NIR励起による800 nm NIR発光強度は糖濃度に応じて変化する。ここに,波長808 nmのNIR励起光を照射すると,UC-VIS光が放出され,フィルム中のメロシアニンはレセプター不感のスピロピランへと光異性化するため,フィルムは最大に膨潤する。この場合,980 nm励起による800 nm NIR発光強度は糖濃度に依存しない。フィルムへの808 nm NIR励起光を止めると,スピロピランはメロシアニンへと自発戻りし,センサ応答onの状態に戻る。808 nm NIR光照射/停止を繰り返すことによって,レセプター及びメロシアニン共重合直鎖ポリマーの流動性が向上すると共に架橋点の分布が均一となり,糖に対する応答の可逆性が飛躍的に向上する。また,センサ応答onとoffシグナルの差分を取ることによって,高精度の糖濃度測定が可能となる。一方,糖に対するセンシングフィルムの膨潤/収縮に基づくセンサ応答が十分に大きくない場合は,電荷を帯びたモノマーによる静電的斥力/引力を利用する。構築したセンシングフィルムの糖に対するNIR発光応答の光スイッチングによる可逆性の向上及びon/off差分検出による精度の向上について調べる。
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