Use of bioluminescence to improve the sensitivity of gene detection technology
Project/Area Number |
23K04816
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 34020:Analytical chemistry-related
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
小島 直 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (30356985)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 遺伝子検出 / 生物発光 / ルシフェリン / 凝集誘起発光 / 核酸プローブ |
Outline of Research at the Start |
高感度な遺伝子検出技術の開発を目指し、遺伝子検出技術としては現在まで未開拓であった“生物発光”を利用した新規システムを構築する。本研究では遺伝子配列への結合を引き金に発光基質(ルシフェリン)を放出する核酸プローブを合成することで、標的遺伝子の発現を生物発光により検出するシステムの開発を目指す。生物発光は背景光の影響を受けないため、蛍光と比べて極めて高感度な検出が可能になると期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、遺伝子配列に応答して発光基質分子(ルシフェリン)を放出する核酸プローブの化学合成、およびこの核酸プローブを用いて標的の遺伝子を生物発光により検出する高感度遺伝子検出システムの開発を提案する。様々なゲノム情報が解読された今日、細胞内で発現している遺伝子を直接可視化・検出する技術の開発が望まれている。しかしながら蛍光を用いる従来技術では、夾雑物由来の自然蛍光が高感度検出の障害となっていた。一方、生物発光は背景光の影響を受けないため極めて高感度な検出が可能になる。そこで細胞内発現遺伝子の可視化技術としては未開拓であった“生物発光”を利用することで、従来技術よりも100倍以上の感度(検出限界 0.01 nM)での遺伝子検出を可能にするシステムの開発を目指す。 加えて本課題では、凝集誘起発光(AIE)を利用した遺伝子検出技術の開発も計画している。溶解状態では消光する一方、凝集すると強い蛍光を発する凝集誘起発光分子は、従来の蛍光分子に代わる技術として近年注目されている。そこで凝集誘起発光分子を核酸プローブに組み込んだ新規凝集誘起発光型核酸プローブの構築を計画する。 2023年度では、発光基質分子(ルシフェリン)を放出する核酸プローブの評価を重点的に進めた。アジド基の還元反応により発光分子を放出可能なプローブ構造にルシフェリンを結合させた分子をオリゴヌクレオチドに導入し、その評価を行なった。一方で、対となる還元基を導入した核酸プローブの作製では、採用したトリフェニルホスフィン基がオリゴ上で容易に空気酸化されてしまう問題を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度となる2023年度では、発光基質分子(ルシフェリン)を放出する核酸プローブの化学合成と評価を進めた。アジド基の還元反応を鍵反応として発光分子を放出可能なプローブ構造の合成については既に合成法を確立している。そこで本構造にルシフェリンを結合させた分子をオリゴヌクレオチドに導入し、その評価を進めた。最初にルシフェリンのカリボキシル基を介してプローブ構造に連結させた分子を合成し、本分子の活性エステル体とアミノ化オリゴヌクレオチドとを反応させて核酸プローブを構築した。本反応の生成物をHPLCで解析したところ、目的物と思われる構造体が確認された。次に、本構造体を精製した後に還元剤で処理したところ、設計通りに反応が進行してルシフェリンと予想される分子が放出された。しかしながらその放出された分子を詳しく解析したところ、目的とするルシフェリンではなく、ルシフェリンが酸化・脱離したデヒドロルシフェリンであることが判明した。そこで改めて上記の一連の合成、反応過程を検証したところ、ルシフェリンがエステル結合を介してプローブ分子と結合している構造体が不安定であり、この状態でジヒドロチアゾール骨格の酸化・脱離が進行していることが判明した。この結果、プローブ分子構造の再設計が必要となった。 一方で対となる還元基を導入した核酸プローブの合成では、目的とするプローブ分子を合成できた。その一方で、採用したトリフェニルホスフィン基がオリゴヌクレオチド導入後に空気中で容易に酸化されてしまう問題を見出した。 凝集誘起発光を利用した核酸プローブの開発については、論文等での知見が少ないため、先ず凝集誘起発光分子をオリゴヌクレオチドに導入した時の発光特性の変化を調べた。その結果、オリゴ上の導入部位が発光特性に影響するという重要な知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ルシフェリンを結合させた核酸プローブについては再設計が必要となった。この問題の解決策として、ルシフェリンの6’-位を連結部位とした核酸プローブ分子を新たに設計し、その合成を開始している。本設計では天然型の6’-位水酸基体ではなく、6’-アミノルシフェリン誘導体を用いることを計画する。6’-アミノルシフェリンは通常のルシフェリンよりも強力な発光強度を有することが報告されているため、より高感度な遺伝子検出が可能になると期待される。還元基を導入したもう片方の核酸プローブ合成では、種々のトリアルキルホスフィンの化学的な安定性を検証して導入するホスフィン誘導体を選定する。還元力の弱いホスフィン誘導体がより安定と推測されるため、これらの化合物を導入してオリゴヌクレオチド導入後の安定性を比較検討する。 上記の検証、再合成を進めた後、モデル配列をターゲットに遺伝子検出試験を実施する。発光基質分子の放出効率が検出感度に影響するため、結合する2つの核酸プローブ間の距離(塩基数)を変化された複数のテンプレート配列を用いて、最適な条件を決定する。また本システムでは発光基質分子の放出により核酸プローブは失活するが、標的配列は変化しないため別の新しい核酸プローブと再結合することが可能となる。この解離・再結合サイクルを、PCR装置を利用した温度制御により促進させることで発光シグナルの化学的な増幅が起き、検出感度のさらなる高感度化も期待されるので検討する。 凝集誘起発光を利用した核酸プローブの開発では、オリゴヌクレオチドの構造(一本鎖、二本鎖、ループ構造等)が凝集誘起発光分子の発光特性に及ぼす影響を解析する等、基本的な性質の解明を進める。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)