Project/Area Number |
23K04854
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 35020:Polymer materials-related
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小幡 誠 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (70343267)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 高分子ミセル / 凝集誘起発光 / ドラッグデリバリーシステム |
Outline of Research at the Start |
薬剤を患部に必要なときに必要なだけ届ける技術をドラッグデリバリーシステム(DDS)といいます。このDDSのためのキャリアとして高分子ミセルは有力な選択肢の一つです。この高分子ミセルに薬剤を内包させて運搬するためには、高分子と薬剤の相互作用(相性)が大変重要です。本研究では近年理解が進んでいる凝集誘起発光(AIE)という現象を利用して、薬剤と高分子ミセルの相互作用に関する知見を得る技術を開発することを目的としています。本研究の開発する技術は、輸送したい薬剤に適した高分子ミセルの分子設計に役立つと期待されます。
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Outline of Annual Research Achievements |
高分子ミセルを基盤とするドラッグデリバリーシステムの開発には薬剤を保持するコアセグメントと薬剤の相溶性の理解が不可欠である。しかし薬剤-高分子間の相溶性の解析はバルク状態においても簡単ではない。バルク状態における相溶性解析は熱分析による手法が標準的であるが、そもそもあまり感度が高くないためバルク状態でも困難であることが多く、多量の溶媒を含む高分子ミセルへの適用はほぼ不可能である。そこで本研究では凝集誘起発光(AIE)を利用して薬剤の高分子ミセルへの内包に伴う可塑効果を光学的に検出することにより、高分子ミセル状態での薬剤-高分子間の新たな相溶性解析手法の開発を試みている。 本年度は疎水性鎖末端にAIE色素であるテトラフェニルエチレン(TPE)を連結した両親媒性ブロックコポリマーの合成と、その高分子ミセルを作製した。疎水性鎖としてはガラス転移温度に着目して、疎水性鎖としてポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸エチルを選定した。また薬剤モデルとしてフタル酸エステル類を用い、作製した高分子ミセルへの添加によるAIE強度の変化を検出することに成功した。なお高分子ミセルの非平衡性により、薬剤添加の方法によってAIE強度変化の様子が変わるという問題が生じたが、種々の実験条件を検討して、再現性が高く効率の良い標準的な実験手法を確立した。得られた実験結果からAIE強度変化を特徴付けるパラメーターである飽和低減率と飽和量を求めた。本手法で得られた飽和量が従来の手法で定量される内包量とほぼ同じオーダーであることを確認した。また飽和低減率は疎水性鎖および内包するフタル酸エステル類の種類によって特徴的に変化することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TPEを連結した両親媒性ブロックコポリマーを安定に合成できるようになっている。またAIE強度変化を検出する標準的な実験手法も確立した。これにより実験者間での実験データの齟齬もなくなり安定にデータが取れる状況になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは疎水性鎖のガラス転移温度に着目して合成するブロックコポリマーを設計していたが、これからは化学構造に着目して設計を行い、AIE強度変化から得られるパラメーター(飽和低減率と飽和量)の化学的な意味付けを検討する。そのために重合度が一定の均一なライブラリ構築が可能な重合後修飾技術を利用したTPE連結ブロックコポリマーの合成を進める。
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