Project/Area Number |
23K04905
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 36020:Energy-related chemistry
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
浅野 素子 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (80201888)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 近赤外発光 / 室温りん光 / 時間分解ESR / 時間分解発光 / 系間交差 / りん光 / 高感度測定 / 時間分解 |
Outline of Research at the Start |
申請者グループが開発した高感度時間分解近赤外発光システムおよび時間分解電子スピン共鳴(TREPR)による測定を基軸とし、新しい近赤外吸収・発光物質群の開拓と光特性の解明を行う。特に、近赤外の中でも今まで未開であった波長領域での観測を容易にした上で、励起構造とその動力学的解析に基づく物質設計により、新しい物質群の開拓と、近赤外光のエネルギーの利用と変換の新たな可能性を探る。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者グループが最近独自に開発した高感度時間分解近赤外発光システムおよび励起多重項状態の微細構造を検出する時間分解電子スピン共鳴(TREPR)による測定を基軸とし、新しい近赤外吸収・発光物質群の開拓と光特性の解明を目的とする。特に、合成と測定・解析とのフィードバックにより、励起構造とダイナミクス解析に基づいた物質設計と新たな特性の発掘を行う。具体的にはi)これまで未開拓であった800-1400 nmに励起状態をもつ物質の開拓 ii)重原子やスピンによるけい光とりん光過程の制御 iii)系統的な物質群による吸収・発光波長の可変制御を目指している。 初年度目は、優れた光還元触媒能を示す亜鉛ポルフィリンーレニウム錯体二元系に着目し、ジメチルアセトアミド溶媒中にてけい光およびりん光ダイナミクスを明らかにした。この連結系は室温で、近赤外部に亜鉛ポルフィリン励起三重項からと推測されるりん光を示す。Re(I)との相互作用がこのりん光を加速させていると考えられる。まず、発光量子収量とピコ秒時間分解けい光測定から、励起一重項からの三重項状態への系間交差について明らかにした。系間交差速度はZnポルフィリン部とRe(I)錯体部との連結位置に大きく依存することが明らかとなった。次に近赤外時間分解発光においては励起一重項からの三重項状態への系間交差速度が大きい錯体において近赤外部室温りん光が強く観測された。また、Re(I)錯体の配位子の1つでありついイオンでもあるBrを軽元素配位子に置換しても同じ現象が観測されたことからRe部のスピン軌道相互作用が大きく関与していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4種の亜鉛ポルフィリンーRe(I)錯体連結体について、Re(I)を含まないZnポルフィリン-ジイミン配位子連結体を比較対照として、励起一重項―励起三重項への項間交差過程の加速について、明らかにすることができた。また、室温りん光の発光寿命と1200 nm まで広がるスペクトルを得ることができた。系間交差速度の連結位置依存性とりん光強度の連結位置依存性が一致していること、および対イオン依存性からもRe(I)の軌道の関与が重要であることが明らかとなった。これらの錯体の時間分解ESR測定を行い、現在詳細を解析中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は亜鉛ポルフィリンーRe(I)錯体連結体の最低励起状態の過渡吸収測定および時間分解ESR測定と解析を行い、Re(I)とZnポルフィリン部励起三重項との相互作用の詳細を明らかにしていく。これには量子化学計算も併用して解明にあたる。これらにより新しいりん光増強のメカニズムの構築を目指す。 また、bodipy骨格をもつ化合物群について、π電子系拡張による蛍光の長波長化に伴うダイナミクスの変化およびりん光の観測の試みを進めていく。さらに時間分解ESRの測定により励起三重項の性質のπ拡張による影響を明らかにする。これらをもとに近赤外発光物質群の設計につなげていく。
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