Project/Area Number |
23K04967
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 37030:Chemical biology-related
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
北川 光洋 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任助教 (10528566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斉木 臣二 順天堂大学, 大学院医学研究科, 客員教授 (00339996)
井本 正哉 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (60213253)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | alpha-Synuclein / ケミカルバイオロジー / パーキンソン病 |
Outline of Research at the Start |
パーキンソン病(PD)原因遺伝子αシヌクレイン(aSyn)の凝集機構が解明できれば、PD治療研究にとって重要な手掛かりになりうる。細胞スクリーニングから見出した我々のaSyn凝集阻害剤はaSynに直接作用せず、このことからaSynに相互作用する何らかのタンパク質に影響し、活性発現すると考えた。そのようなタンパク質として例えばaSyn翻訳後修飾酵素が考えられる。こうしたaSyn凝集に関わる重要因子の解明を目的とし、TurboID近接依存性標識法を利用したaSyn相互作用タンパク質のリストから凝集阻害剤により相互作用の変化するタンパク質をaSyn凝集重要因子として明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病(PD)原因遺伝子αSynuclein (αSyn)の凝集は、細胞内にて何らかのαSyn相互作用因子によって制御されると考えられているが、そのような分子も制御機構も不明である。申請者らはこれまでに、αSynには直接作用することなく、細胞内因子に作用してαSyn凝集を阻害するDBHを得た。この化合物を用いたケミカルバイオロジーアプローチにより上記αSyn相互作用因子を明らかにすべく以下研究してきた。1) 近接依存性標識法によるαSyn相互作用タンパク質の解析:αSyn相互作用タンパク質の一団を同定解析するため、αSyn-TurboID発現細胞を樹立し、細胞内αSyn相互作用タンパク質をTurboIDによりビオチン化しMS解析する実験系を構築した。この細胞にDBHを添加したところ、既報のαSyn相互作用タンパク質を含む17種類のタンパク質がDBHによりαSynとの相互作用が有意に減少/増加した。すなわち、これらタンパク質は細胞内αSyn凝集に重要なαSyn相互作用因子の候補であり、DBHはその相互作用を抑制/促進したと考えられた。ノックダウンを行ったところ、少なくとも1つのタンパク質がαSyn凝集に関与すると示唆された。2) 変異αSynの凝集に対する凝集阻害剤DBHの効果:αSyn変異A53Tは早期PD発症型とされ、αSyn凝集促進的とされる。前項1)のタンパク質がαSyn A53T変異の凝集にも機能するのか調べるため、凝集阻害剤DBHの抑制作用を野生型と比較した。その結果、野生型αSynと同程度の濃度域でA53T変異の凝集も抑制し、前項1)のタンパク質はA53T変異の凝集にも関与すると示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の核心をなす学術的問いとして「αSynはどのような細胞内タンパク質と相互作用してどのように凝集制御されているか?」を掲げたが、以下の結果から、既にその一端が明らかにされつつあると考えられるため、概ね順調に進展していると考えている。 まず、細胞内でαSynと相互作用するタンパク質を同定するため、それらをビオチン化し、MS解析するαSyn-TurboID発現細胞を樹立した。この細胞を用い、まずαSyn相互作用因子の同定を試みたところ、1000種類を超える長大なタンパク質リストとなった。しかし、凝集阻害剤DBHにより相互作用が変化しαSyn凝集に重要と考えられる因子に絞り込んだところ、再現性があり、統計的有意性のある候補タンパク質17種に絞り込むことができた。さらに、この17種は既報のαSyn相互作用因子を含んでいた。これらのことから、阻害剤を用いたケミカルバイオロジーアプローチにより、単なるαSyn相互作用因子としてではなく、αSyn凝集に重要なαSyn相互作用因子という質の高い候補タンパク質リストが得られることが示された。実際リストのうち、DBHによりαSynとの相互作用が阻害されたタンパク質1種について、ノックダウンしたところ、αSyn凝集を抑制した。すなわち、DBHによりこのタンパク質とαSyn相互作用が阻害されたために凝集阻害に至ったと予想できる。 次に、αSynの点変異はその凝集に影響し、PD発症時期や病態に影響することが知られているが、変異αSynの凝集機構についての知見は薄かった。今回凝集促進的とされるA53T αSyn変異の凝集も凝集阻害剤DBHは野生型と同程度の濃度域で抑制したことから、A53T変異の凝集にも上記タンパク質が関与していると示唆された。予想としてαSynの変異ごとに全く異なる凝集機構が存在する訳ではないのではないかと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1) αSyn凝集に重要なαSyn相互作用因子の解析:昨年度「TurboIDを用いた細胞内αSyn相互作用タンパク質の解析」から有望なαSyn凝集制御因子の候補17種を同定した。本年度は、まずこれらがαSyn凝集に関わるのか明らかにする。ノックダウンを行い、αSyn凝集を抑制/促進するのか調べる。うち1種はαSyn凝集への関与が示唆されたが、他の候補についても検討する。次に、DBHによるαSyn凝集阻害に関わるか明らかにする。このために、pull-downによりαSynとの結合を検出し、DBHの影響を評価する。 2) 変異αSyn凝集に対するDBHの効果:上記候補は野生型αSyn凝集に関与するが、病理的に凝集促進的とされるαSyn変異A53T, A30Pにも機能するか調べる。昨年度A53T変異の凝集もDBHが抑制したことから、少なくともA53T変異のαSyn凝集にも上記候補の関与が示唆された。本年度は、他の変異でも検討し、さらに上記候補のノックダウンにより関与を明確にする。 3) 家族性PD原因遺伝子のαSyn凝集への関与:いくつかの家族性PD原因遺伝子はαSyn凝集との関連が疑われるが実際は不明である。特にPD発症との関連性の高いLRRK2, GBA変異について変異導入細胞を樹立し、そのαSyn凝集をDBHが抑制するか検討する。本年度はノックアウト株を樹立し、遺伝子のαSyn凝集への影響を調査する。 4) αSyn凝集制御タンパク質のケミカルゲノミクス探索:1)項の候補とは別に、ケミカルゲノミクスの手法でαSyn凝集制御タンパク質を探索する。具体的には、DBHによるαSyn凝集抑制作用をキャンセルする化合物をタンパク質阻害剤ライブラリーから探索し、阻害標的のタンパク質を探す。標的化合物は先端モデル動物支援プラットフォームAdAMSのSCADライブラリー約400化合物を用いる。
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