Project/Area Number |
23K04983
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38010:Plant nutrition and soil science-related
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
倉俣 正人 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (80826991)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 覚 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, グループ長 (40354005)
伊藤 虹児 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 研究員 (70828863)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | イネ / 根圏 / 菌叢 / ヒ素 / 根圏微生物 / 品種間差 |
Outline of Research at the Start |
イネのヒ素吸収・集積量には品種間差異が存在する。水田土壌においてイネが吸収する形態である亜ヒ酸は、根圏微生物が土壌の鉄酸化物に吸着したヒ酸を溶出・還元することで作られる。その根圏微生物コミュニティがイネ品種間で異なれば、品種間のヒ素吸収に影響を及ぼすかもしれない。そこでイネのヒ素吸収品種間差異を遺伝的な要因以外の根圏微生物叢の違いにも着目し、 新たな視点でイネのヒ素吸収メカニズムを明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
過去の研究世界のイネ約3万7千品種を代表するコア・コレクション(WRC)を用いた栽培試験結果から玄米ヒ素濃度の低い品種Surjamukhiと高い品種Nepal555を選出し、ポットで混植栽培行った。混植するイネとして玄米ヒ素濃度がWRCの中で中程度であり出穂期が同程度のコシヒカリを用いた。イネの栽培はヒ素の還元溶出を促すため常時湛水の条件で行い、出穂を迎えた頃に各ポットから内径約1cmの土壌コアを抜取り、還元が進んでいる底面から3cmほどの土壌を菌叢解析用に採取した。その後も栽培を継続し、成熟した籾を収穫し玄米のヒ素分析を行った Surjamukhi、Nepal555ともに単植栽培では過去の結果と同様に玄米ヒ素濃度はコシヒカリと比べ前者は28%低く、後者は60%高い結果となった。しかし、コシヒカリと混植したSurjamukhiの玄米ヒ素濃度は単植の場合と比べ23%上昇し、逆にNepal555では18%低下した。どちらのWRC品種も混植栽培によってコシヒカリの玄米ヒ素濃度に近づく傾向が見られた。コシヒカリとSurjamukhiの単植、混植栽培の根圏土壌菌叢解析を行った結果、混植栽培の根圏土壌菌叢の中でヒ素の還元酵素遺伝子が報告されているAnaeromyxobacter属やChloroflexi科に属する細菌の存在量がコシヒカリ単植区と同レベルまで上昇する傾向が確認された。混植区のSurjamukhi根圏菌叢の中でそれらのような細菌の存在量がコシヒカリに近くなることで玄米ヒ素濃度の上昇に影響した可能性があり、これを検証するためさらにヒ素還元遺伝子の発現解析(メタトランスクリプトーム解析)を実施する必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R5年度のイネの混植栽培および収穫物の元素分析は予定通り実施できた。根圏土壌の菌叢解析においては、細菌種構成の解析(16S-rRNAアンプリコンシーケンス解析)に必要なDNAは品質・収量ともに十分抽出、精製できた。現在Surjamukhiを用いた試験区の16S-rRNAアンプリコンシーケンス解析が完了し、もう一方のイネ品種Nepal555の解析を準備中である。 しかし、ヒ素溶出に関わる機能遺伝子の発現解析(メタトランスクリプトーム解析)では必要なRNAが十分に得られず解析に至っていない。これに関しては土壌サンプル量を増やす等の対策を行い十分なRNAの品質・収量を確保するため再度抽出・精製を行っているところである。菌叢解析における次世代シーケンシング後のデータ解析においてヒ素還元遺伝子といった機能遺伝子の解析で必要となるリファレンスシーケンスデータの集取と解析プログラムの実装は完了しており、メタトランスクリプトーム解析では次世代シーケンシング後は速やかに解析できる状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は概ね順調に進んでおり、現時点では研究計画に大きな変更はなく、当初の計画通り実施する。ただし、進捗状況でも記載したように発現解析(メタトランスクリプトーム解析)に必要なRNAの純度・収量ともに高める必要があり、根圏土壌採取量を増やす、RNA抽出・精製方法等の一部実験手法において改善を行う必要がある。
|