Project/Area Number |
23K05020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38020:Applied microbiology-related
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
浴野 圭輔 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (30310030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 浩之 福岡県工業技術センター, その他部局等, 専門研究員 (60416493)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | Bacillus thuringiensis / 細胞損傷タンパク質 / Parasporin |
Outline of Research at the Start |
本研究は、BTが産生する選択的細胞損傷タンパク質を網羅的に探索し、その詳細を明らかにすることで、新奇なパラスポリンを発見する。探索を実施するためのリソースは我々が有する5000株におよぶBT菌株ライブラリーであり、そこから細胞損傷活性を指標に目的タンパク質をスクリーニングする。次に一次構造を明らかにするとともに、様々な培養細胞に対する損傷活性を定量的に解析して細胞損傷スペクトルを解析することで、その詳細を明らかにする。これまでに報告されているパラスポリンは6種類あり、その後長く新奇パラスポリンは報告されていない。新奇パラスポリンを発見することで、新しい知見を得る。
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Outline of Annual Research Achievements |
パラスポリン(PS)はBacillus thuringiensis(Bt)の菌体内結晶性タンパク質中に産生される選択的細胞損傷タンパク質であり、現在6種類が報告されている。新規PSの発見を目的に、我々が保有する約5000株のBt菌株ライブラリーに対してスクリーニングを実施した。まず、Bt菌株をブイヨン平板培地で培養(結晶性タンパク質を生成)し、回収後アルカリ条件下で可溶化し、proteinase Kで活性化したものをサンプルとした。次に、溶血活性がないことを確認し、HeLa、HepG2、Sawanoに対する細胞損傷活性を調べた。さらに、細胞損傷活性が確認された菌株について、既知6種類のPS遺伝子を保持しているかをPCRによって簡易的に調べ、遺伝子の増幅が見られなかった株を選抜した。その結果、精度を上げて詳細に解析する余地は残るものの、候補となる菌株をある程度絞り込むことができた。それらの菌株のうち、最も可能性が高いと予想されたA3056株について目的タンパク質の精製を進めた。まず、約500枚の平板培地から結晶性タンパク質を回収し、可溶化、活性化処理によってサンプルを調製した。HepG2に対する細胞損傷活性を指標に、陰イオン交換クロマトグラフィー(TOYOPEARL SuperQ-650)およびサイズ排除クロマトグラフィー(TSKgel G3000SW)により精製を行った。活性画分のSDS-PAGEの結果、主要バンド2本まで精製できていることを確認した。一方で、A3056株のNGS解析を実施し、ゲノム配列を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Btは胞子形成時に菌体内に結晶性タンパク質を生成し、この結晶性タンパク質に殺虫活性を示す株が存在することから長く殺虫タンパク質(Cry)に関する研究が行われてきた。また、これら殺虫タンパク質の中には様々な細胞に破壊的に作用するタンパク質(Cyt)も存在する。我々の研究グループが発見したPSは結晶性タンパク質中に含まれ培養ガン細胞に損傷活性を示し、さらにCytタンパク質とは異なり、細胞に対する選択性を示す。つまり、ある細胞には損傷活性示すが、別の細胞には作用しないものである。これらの条件を満たすタンパク質を探し出すには非常に煩雑な操作が必要である。まず、結晶性タンパク質を生成させ(平板培地で、1週間程度培養)、平板培養から1枚ずつ結晶性タンパク質回収する。数回洗浄後、アルカリ条件下で可溶化し、さらにproteinase Kで活性化してサンプルを調製する。次に、それぞれのサンプルを培養細胞に添加し、顕微鏡下でひとつずつ形態を観察して損傷活性を確認する。さらに、Cytタンパク質であるものを除外するため、サンプルを緬羊血液に添加し、溶血活性を持つサンプルは除外する。これらの過程を経て目的タンパク質をスクリーニングした。加えて、すでに報告されているPSである可能性を排除するため、既知PS遺伝子がPCRで増幅されるものは除外した。上記のような非常に労力を要するプロセスを経て、まずは目的タンパク質を生成していると考えられる菌株をいくつか絞り込むことができた。さらに、確実に上記の条件を満たす菌株A3056については、目的タンパク質をほぼ特定できる部分精製まで進むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで進めることができたA3056株の細胞損傷タンパク質については、部分精製によって絞り込んだ2種のタンパク質から目的タンパク質を特定する。最終精製まで終わっておらず、サンプル量も少ないが、A3056株についてはゲノム配列を明らかにしていることから、MS/MSイオンサーチを実施することでタンパク質を同定することが可能である。次に、大腸菌pET発現系で組換えタンパク質を調製し、細胞損傷活性を確認することで新奇PSの取得を目指す。これまで明らかにされているPSは一次構造の相同性により分類されており、それぞれの配列相同性が45%以下であれば新奇PSとして認められる。したがって、目的のタンパク質であるためにはこの条件を満たす必要がある。A3056株の細胞損傷タンパク質の遺伝子を特定し、PSタンパク質の分類学上の位置を確定する。さらに、本細胞損傷タンパク質については、研究室で保有する培養細胞(HeLa、Sawano、HepG2、MOLT-4、PK-45Pなど)に対して定量的な損傷活性の解析(細胞増殖/細胞毒性アッセイキット Cell Counting Kit-8を使用)を実施し、細胞損傷スペクトルを明らかにする。一方、スクリーニングによって選別しているその他の候補株については、「現在までの進捗状況」において記述したように、その選抜に非常に多くの選別プロセスを要するため、不確定な要素が残っている。そこで、さらに詳細に解析を進め、目的菌株を確定し、さらなる新奇PSの取得を目指す。
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