Project/Area Number |
23K05104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38050:Food sciences-related
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Research Institution | Konan Women's University |
Principal Investigator |
川畑 球一 甲南女子大学, 医療栄養学部, 准教授 (60452645)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 伊津子 神戸大学, 農学研究科, 助教 (50418943)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | ポリフェノール / 腸内フローラ / 腸内代謝物 / 腸内代謝モデル / 培養系ヒト腸内フローラモデル |
Outline of Research at the Start |
近年、腸内フローラによるポリフェノールの代謝分解物(腸内代謝物)の健康機能性が大きな関心を集めている。日本人の腸内フローラによって生じる特徴的なポリフェノール腸内代謝物が健康に寄与する可能性が考えられるが、その知見は乏しいのが現状である。そこで本研究では、GC-MSによるポリフェノール腸内代謝物の分析法と、日本人由来腸内フローラの培養モデルを用いた培養上清の調製を組み合わせることにより、日本人に特徴的なポリフェノール腸内代謝物の分析基盤を構築する。この分析基盤を活用することにより、ポリフェノール腸内代謝物の健康増進効果に関する理解が深まり、健康寿命の延伸に役立てることができると期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)を用いたポリフェノール腸内代謝物の分析法を構築し、日本人の腸内フローラにより生じるポリフェノール腸内代謝物に関する知見を得ることを目的とする。その初年度として、2023年度はGC-MSにおける分析条件の最適化、微生物培地からポリフェノール腸内代謝物を抽出する方法の検討ならびに培養系ヒト腸内フローラモデルを用いた培養上清の調製に着手した。世界的なヘリウム不足に備えるためGC-MSの構成を窒素ガス対応とし、市販のフェノール化合物を用いてGC-MS分析条件の最適化を行った。また、微生物培地から抽出する方法として、酸性条件での酢酸エチル抽出が最も効果的であることを確認した。さらに、培養系ヒト腸内フローラモデルを用いてポリフェノールの培養上清を予備試験的に調製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の研究計画では、GC-MSを用いたポリフェノール腸内代謝物分析法の構築を予定していた。まず、世界的なヘリウムの供給不足に対応するためGC-MSのキャリアガスを窒素ガスに変更し、感度は下がるものの問題無く稼働することを確認した。次に、ルチン、ダイゼインおよびカテキンのポリフェノール腸内代謝物として報告があり、市販で入手可能なもの30種および内部標準1種について分析条件の最適化を行った。メタボローム解析で一般的に用いられる手順(メトキシアミンによるメトキシム化およびMSTFAによるTMS化)による誘導体化で全ての化合物を検出することができたことから、誘導体化はこの手順を採用することとした。続いて、代謝物と内部標準を微生物の培養液(GAM培地)に添加し、分析に適した抽出方法の検討を行った。酢酸エチルによる液液分配では、酢酸エチル層にて化合物を検出することができたがピークは非常に小さかった。しかし、GAM培地に塩酸を添加して酢酸エチル抽出するとピークが顕著に大きくなり、感度が向上した。また、タンパク質と脂質の除去によく用いられるメタノールもしくはギ酸含有アセトニトリルによる抽出では、化合物のピークが観察できるものの、アミノ酸等の夾雑物のピークも酢酸エチル抽出と比べて大きく出たため、酸性条件での酢酸エチル抽出が適していることが確認できた。ポリフェノール(ルチン、ダイゼイン、カテキン)を添加した培養系ヒト腸内フローラモデルの培養上清も予備試験的に調製済みであるため、上記の抽出方法および誘導体化・GCMS条件により分析する準備を進めている。このように、研究の進捗は当初予定した内容に着手できており、おおむね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、培養上清のGC-MS分析、培養上清の健康機能評価およびポリフェノール(ルチン、ダイゼイン、カテキン)を添加した培養系ヒト腸内フローラモデルのメタゲノム解析を進める予定である。予備試験的に調製した培養上清を用いて分析に関するさらなる最適化を行ったのち、培養条件についても実際のポリフェノール摂取等を考慮して設定し、本試験に臨む。本試験では、培養上清におけるポリフェノール代謝物のGCーMS分析に加え、細胞実験等による機能性解析も行う予定である。さらに、ポリフェノールによる腸内フローラへの影響を検討するため、メタゲノム解析により菌叢の変化などを解析する予定である。これらの結果により、ポリフェノールと腸内フローラの機能的相互作用に関する知見が得られると期待される。
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