Project/Area Number |
23K05105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38050:Food sciences-related
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
山本 和貴 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, グループ長補佐 (00353954)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 高圧処理 / 大腸菌 / 細胞サイズ / 膜損傷 / 凝集 / 耐圧性 / pressure / inactivation / Escherichia coli / cell / size |
Outline of Research at the Start |
高圧殺菌における圧力、温度、時間の影響は知見が多いが、食品マトリクスの影響については少ない。独自知見「大腸菌は高食塩濃度または分子クラウディング状態では耐圧性が高く、希薄系よりも損傷菌・健常菌が多い」を、高浸透圧での細胞収縮、高温・高糖濃度での高耐圧性等の既往知見と併せ、圧力耐性の高低が、作業仮説「収縮状態の細胞は圧力耐性が高い」で合理的に説明できる可能性をに気付いた。本研究では、この作業仮説を検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
「収縮細胞の耐圧仮説」に則り、塩類、糖質、分子クラウディング剤の活用及び温度制御によって細胞の収縮・膨潤を制御し、健常菌・損傷菌・死滅菌の視点から大腸菌の高圧不活性化挙動を評価する。高圧処理(400 MPa - 600 MPa)を繰り返しつつ、不活性化挙動をコロニー計数で評価し、膜損傷を蛍光測定で評価する。フローサイトメトリーで細胞サイズを評価するのが理想的ではあるが、細胞収縮が期待される分子クラウディング状態では困難であるので、光学顕微鏡観察による評価を実施する。また、「大きさ」の物理的視点に加えて、化学的視点から、細胞の収縮・膨潤時に「膜移動する物質」を網羅的に定性・定量評価する。これにより、高圧不活性化による大腸菌への影響を、物理的かつ化学的に解明する。 初年度は、すでに確立した平板培養法によって、健常菌と2種の損傷菌(25 ℃培養検出菌及び37 ℃培養検出菌)とを区別しつつ、高圧処理(600 MPa)の繰り返しによる不活性化挙動をコロニー計数で検証した。更に、収縮細胞の特性の定量評価に向けて、食塩により収縮したと想定した細胞を調製して併用しつつ、膜損傷をDNA結合性蛍光色素による蛍光測定で評価し、光学細胞サイズの評価法確立に注力した。細胞サイズ評価法としては、ポリリジンで固定しつつ光学顕微鏡観察し、ゼータ電位計、光散乱粒度分布計、濁度測定を用い、細胞の大きさ評価を試みた。各種観察・計測において、高圧処理大腸菌の細胞凝集が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞凝集による耐圧性向上については研究報告があるが、高圧処理後の損傷回復についての細胞凝集に関する知見はないため、細胞の収縮膨潤の視点と併せて、更なる検討項目が加わった。フローサイトメーターでの測定が濃厚な分子クラウディング状態では困難なことから、細胞サイズについては顕微鏡観察で評価を試みた。ポリリジンでの固定による観察により、細胞収縮前後の平均径に差異が若干認められたものの、信頼性が十分に高いデータではないと考えられたため、グルタルアルデヒド固定等、他の固定法を利用した観察法を今後検討することとした。また、損傷した細胞膜を介した物質移動については、従来から広く実施されている紫外線吸収性物質(蛋白質、DNA等)に加えて、DNA染色蛍光色素の利用が効果的であることを見出しつつあり、2年度目の研究展開が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞凝集のために、ゼータ電位、光散乱粒度分布計を利用した細胞サイズ分布測定に制約があったものの、凝集していない細胞における平均円相当径の減少傾向が観測されたため、更に詳細な検討を重ねる。これに加えて、膜損傷の評価法としてのDNA染色蛍光色素の利用、紫外線吸収測定に加えて、蛋白質定量等を活用し、生菌、死菌、高圧損傷菌の膜損傷程度を精査し、平板培養法におけるコロニー計数による健常菌及び二種の損傷菌の検出挙動と比較検討する。これら評価手法の確立後に、各種高圧処理を組み合わせることで、収縮細胞の耐圧性向上を定量的に評価する。
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