Project/Area Number |
23K05113
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38050:Food sciences-related
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
吉田 朝美 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 准教授 (80589870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長富 潔 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(水産), 教授 (40253702)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | MT1-MMP / TIMP-2 / ブリ / すり身 / 火戻り / 水晒し / cDNAクローニング / 魚肉ねり製品 / プロテアーゼ / プロテアーゼインヒビター |
Outline of Research at the Start |
魚肉ねり製品の代表的な原料魚であるスケトウダラに代わる新しいすり身原料魚として、脂質含量の低い“安価な産卵後ブリ”が期待されている。本研究では、ブリのすり身原料魚としての適性を検証すると共に、高品質化技術の開発を行う。これまでに知見のないブリを対象として、遺伝子工学技術を用いて、ねり製品の品質劣化誘発因子(プロテアーゼ)及び抑制因子(プロテアーゼインヒビター)を同定する。更に、これらの組換えタンパク質を用いて火戻りとの関連性を明かにする。以上より、産卵後ブリのすり身原料としての特性を明らかにすると共に、クエン酸ナトリウムを用いたブリ冷凍すり身の高品質化も検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新たなねり製品原料として“安価な産卵後ブリ”が適するかどうかを確認するために、ブリの火戻り誘発因子と抑制因子の同定、これらの火戻りとの関連性を検証する。更に、クエン酸ナトリウムを用いてブリ冷凍すり身高品質化技術の開発により、ブリ冷凍すり身の安定供給を目指す。 今年度は、まずブリにおける戻り誘発酵素の同定を試みた。ブリ筋原線維の自己消化がEDTAにより抑制されたことから、不溶性メタロプロテアーゼの存在が確認された。戻り誘発酵素候補としてブリMT1-MMP(Membrane type 1-matrix metalloproteinase)のcDNAクローニングを行った結果、ブリ筋肉中にMT1-MMPの2種類のアイソフォームMT1-MMPa及びMT1-MMPbを見出した。 次に、ブリにおける戻り抑制因子として戻り誘発酵素に対する内在性インヒビターの同定を試みた。まず、ブリ無晒し肉と水晒し肉について加熱ゲルの物性を比較したところ、水晒し肉で物性が著しく低下した。次いで、ブリ筋肉可溶性画分の添加により筋原線維の自己消化は抑制された。よって、ブリ筋肉可溶性画分中に戻り抑制因子の存在が示唆されたため、ブリ筋肉可溶性画分から内在性メタロプロテアーゼインヒビターを部分精製した。部分精製画分のSDS-PAGEより、18 kDaタンパク質が検出され、そのN末端アミノ酸配列及びウェスタンブロット法の結果から、内在性メタロプロテアーゼインヒビターとしてTIMP-2(Tissue inhibitor of metalloproteinase-2)が同定された。従って、ブリ筋肉可溶性画分中にはTIMP-2が存在し、戻り抑制への関与が示唆された。 以上より、ブリの火戻り誘発因子としてMT1-MMPを、抑制因子としてTIMP-2を同定し、両者が火戻りに関与する可能性を示唆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、令和5年度に予定していた「ブリ火戻り誘発因子候補 MT1-MMP の cDNAクローニングと発現解析」、及び令和5-6年度に予定していた「ブリ火戻り抑制因子候補 TIMP-2 の同定と発現解析」は既に概ね完了している。また、その成果の一部については論文としてとりまとめ、国際学術雑誌にて1編公表済みである。従って、研究は概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、当初の予定通り、「組換えブリMT1-MMP添加によるブリ冷凍すり身の火戻り誘発実験」、「クエン酸ナトリウムを用いたブリ冷凍すり身の高品質化技術の開発」に着手し検討を進める。 令和5年度に明らかにしたブリ火戻り誘発因子MT1-MMPの遺伝情報より、膜貫通ドメインを除いた可溶性の組換えブリMT1-MMPを作製して火戻り誘発検証実験を行う。得られた組換えブリMT1-MMPを、物性の高いブリ冷凍すり身に添加して加熱ゲルを作製し物性が低下するかどうかを確認することで、MT1-MMPによる火戻り誘発を明らかにする。 筋原線維タンパク質の冷凍変性抑制効果及び加熱変性抑制効果が報告されている「クエン酸ナトリウム」を添加したブリ冷凍すり身を作製し、冷凍保管に伴うゲル形成能の変化を確認することで、ブリ冷凍すり身に対するクエン酸ナトリウムの冷凍変性抑制効果を評価する。更に、メタロプロテアーゼインヒビターとしても働くクエン酸ナトリウム添加・無添加のブリ冷凍すり身を用いて加熱ゲルを調製し、物性測定とSDS-PAGE法にて火戻り抑制効果を検証する。
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