Dynamics of rhizosphere microbiomes during endophytic symbiosis and parasitism
Project/Area Number |
23K05149
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 38060:Applied molecular and cellular biology-related
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
Tsai YiーLun (ツァイアレン) 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 助教 (10761687)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | 植物感染性線虫 / 根粒菌 / 種間相互作用 / 走化性 / 根圏微生物群 / ネコブセンチュウ / 根圏 / 微生物群 |
Outline of Research at the Start |
宿主植物を取り巻く環境微生物群ダイナミックスの仕組みについて注目が集まっている。本研究では、モデル植物ミヤコグサをサツマイモネコブセンチュウと根粒菌に同時感染することで、よりフィールドに近い環境下における三者間の相互作用を明らかにする。ミヤコグサの根におけるネコブセンチュウと根粒菌の競争感染を観察し、競争を制御する遺伝子を探索する。次に、感染した根の根圏微生物種の変化を観察する。最終的に、植物‐微生物相互作用に関わる遺伝子と根圏菌種の同定を目指す。このような自然に近い実験環境で植物‐微生物相互作用を検証することで、植物の成長における根圏微生物群の役割について明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
目標1;これまでに、根瘤線虫感染により、宿主植物の根粒形成が阻害されることがわかった。そこで、DsRedの蛍光マーカーをもつ根粒菌を感染させ、線虫が、根粒形成のどのステップを阻害しているかを試験した。その結果、植物体内に、根粒菌の感染糸が観察出来なかったことから、線虫は、根粒菌感染の初期段階を阻害することがわかった。次に、この線虫感染による根粒菌感染阻害が、局所的か、全身的なシグナルによるものかを、スプリットルートアッセイを用いて試験した。シャーレを2つの領域に分け、宿主植物の根を2つにわけて、線虫と根粒菌を別々に感染させた。その結果、線虫は全身的にシグナルを起動し、全身的に根粒形成を抑制できる事がわかった。また、局所的なシグナルも存在することが示唆され、両方のシグナルが根粒形成を抑制することがわかった。
目標2;線虫、根粒菌のいずれか、または両方を同時に感染させた植物の根全体の根圏マイクロバイオームを比較するための予備実験を行った。根圏サンプルの微生物叢構造は、バルク土壌サンプルとは異なっていたが、線虫または根粒菌のいずれかを接種した根圏サンプルの間に大きな違いは検出されなかった。次に、線虫、または根粒菌感染時の根圏微生物の違いを評価するための代替的なアプローチの1つとして、すべての種を同時に調査するのではなく、より詳細にモニターできる単一の微生物種の反応を評価している。現在、植物に有益と思われる土壌真菌をスクリーニングしているところであり、熊本県の土壌から競争力の高いトリコデルマ7種を同定した。現在、これらの菌類が植物の生長にどのような影響を与えるか、また線虫感染にどのような影響を与えるかを試験している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目標1;このプロジェクトは順調であり、興味深い結果が多数得られてきている。しかし、現在のところ、このプロジェクトにはいくつかの技術的課題が残っている。例えば、根粒菌のコロニー形成初期に起こる一般的な現象である“根毛の巻きつき”を観察し、定量化することで、このプロセスがRKNの感染によって影響を受けるかどうかを調べる予定であるが、我々の技術では”根毛の巻き”が観察出来ていない。再現性のある結果が得られ、意味のある解釈ができるようになるまでには、専門家に技術を習いに行く、等、広範なトラブルシューティングと最適化が必要であると考えている。
目標2:このプロジェクトは、現在、さほど早くは進んでいない。これは、コスト削減のために次世代シーケンサーの中国の会社を変更したり、外注条件等を再検討するのが主原因である。一方、予備的な結果では、線虫や根粒菌に感染した根の根圏間の微生物組成の明確な変化を示すことはできなかった。おそらく、微生物組成の変化は、根瘤や根粒の表面でのみ、局所的に起こっており、根系全体からサンプルを採取することで、このような、重要だが微細な変化が検出出来なかった可能性を考えている。また、内生微生物組成は根圏よりも顕著な変化を示すかもしれないので、次世代シーケンサーを用いた微生物分析を続ける場合、内生微生物叢も含めて、実験を見直す必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
目標1:線虫感染によって誘導される全身的な根粒抑制を制御する遺伝子を同定するために、線虫感染時の、全身的なRNA プロファイルを明らかにしたいと考えている。現在、RNAseq実験を計画している。線虫感染植物の根瘤や根瘤を作っていない正常な根、または線虫を感染させていない健全な植物を用いてRNAの差異を検出し、線虫感染植物の正常な根で発現が変化する遺伝子の探索を行う。さらに、植物ホルモンや低分子シグナルペプチドに関与する主要遺伝子の発現を定量化する予定である。これらは、根粒を系統的に抑制するシグナル分子の候補となりうると考えている。
さらに、線虫がどのように根粒形成を抑制するかを評価するために、根粒菌感染中の“根毛の巻きつき”や、根粒の他の生理学的マーカーを観察するための実験条件の最適化を、現在行っている。
目標2:現在、私たちはマイクロバイオーム・シーケンスを実施する十分なメリットがあるかどうかを評価中である。その中で、植物体内の微生物叢に焦点を当てる予定である。一方、我々は現在、熊本県で分離された7つの競争力のあるトリコデルマ菌株の分泌化合物が植物の成長や線虫感染に影響を与えるかどうかを試験している。同様に、土壌からも植物生長促進作用を持つ細菌を分離し、同様に植物生長やRKN感染に対する影響を評価したいと考えている。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)