Project/Area Number |
23K05186
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39020:Crop production science-related
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
齊藤 邦行 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 特任教授 (60153798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小葉田 亨 島根大学, その他部局等, 名誉教授 (60186723)
平井 儀彦 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (80263622)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
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Keywords | ネリカイネ / 土壌乾燥 / 蒸散量 / 乾物生産 / 水利用効率 / 同位体分別 |
Outline of Research at the Start |
本研究は水利用量と水利用効率の二つの特性から陸稲NERICAの耐乾性の仕組みを明確化することを目的とした。そのために本研究は陸稲NERICAにおける次の3つの研究から構成される。 実験1:乾燥土壌下の水利用量と水利用効率、炭素同位体分別の品種間差の解明 実験2:土壌乾燥に伴う蒸散量低下と土壌水分吸収域のモデル化 実験3:圃場干ばつ下における乾物生産と収量維持への水利用量と水利用効率の貢献の検証
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Outline of Annual Research Achievements |
乾燥土壌下における イネ品種の水利用効率(WUE)と乾物生産量,およびWUEと炭素同位体分別との関係を評価するため,NERICAイネ5品種,Dular,日本晴,北陸193号を供試して,1/5000aポットで栽培を行った.乾燥処理は止葉抽出開始時に対照区(C),中乾燥区(MD),強乾燥区(HD)それぞれ圃場容水量(FC) の100%,40%,10%に維持し,14 日間処理を継続した.WUE=ΔDW/(Tr/VD),ここでΔDWは乾物増加量,Trは蒸散量,VDは飽差である.Δ13C(‰)=[(δa-δp)/(1+δp)]×1000(δaとδpは大気中CO2と植物の同位体比).ΔDWとTr/VDの間には直線関係が認められ,ΔDWはTr/VDよりも先にゼロになり,それ以下の水分損失は乾物生産に寄与しないと考えられた.ΔDW=0の時の83.6g(Tr/VDc)をTr/VDから差し引くと,ΔDWとTr/VDcの関係は1本の直線で示された.WUEc=ΔDW/(Tr/VDc)とΔDWの間には有意な関係は見られなかった.WUEcの品種間差は小さかったが,HDではNERICA1とNERICA4が他の品種に比べ高い値を示した.Δ13Cは品種間差が見られたが,WUE,WUEcとの間には有意な関係は見られなかった.ネリカの陸稲品種では,WUEはバイオマス生産には寄与せず,蒸散能力すなわち水利用に寄与していると結論された.また,同位体分別は,乾物生産のWUEの指標としては有効ではなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乾燥土壌下における イネ品種の水利用効率(WUE)と乾物生産量,およびWUEと炭素同位体分別との関係を評価するため,NERICAイネ5品種,Dular,日本晴,北陸193号を供試して,1/5000aポットで栽培を行った.乾燥処理は止葉抽出開始時に対照区(C),中乾燥区(MD),強乾燥区(HD)それぞれ圃場容水量(FC) の100%,40%,10%に維持し,14 日間処理を継続した.WUE=ΔDW/(Tr/VD),ここでΔDWは乾物増加量,Trは蒸散量,VDは飽差である.WUEは土壌乾燥処理の程度や、品種の耐乾性程度により異なることが予測されたが,ΔDWとTr/VDの間には直線関係が認められ,ΔDWはTr/VDよりも先にゼロになり,それ以下の水分損失は乾物生産に寄与しないと考えられた.ΔDW=0の時の83.6g(Tr/VDc)をTr/VDから差し引くと,ΔDWとTr/VDcの関係は1本の直線で示された.すなわち,WUEの土壌乾燥程度や品種間差は小さいことが示され,蒸散量の大小に応じて乾物増加量が変化すると結論された.WUEcの品種間差は小さかったが,HDではNERICA1とNERICA4が他の品種に比べ高い値を示したことから,乾燥程度や品種によるWUEの相違についてはさらなる検討が必要である.Δ13C(‰)=[(δa-δp)/(1+δp)]×1000(δaとδpは大気中CO2と植物の同位体比)には品種間差が見られたが,WUE,WUEcとの間には有意な関係は見られなかった.ネリカの陸稲品種では,WUEはバイオマス生産には寄与せず,蒸散能力すなわち水利用に寄与していると結論された.また,同位体分別は,乾物生産のWUEの指標としては有効ではなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
岡山大学農学部附属フィールド科学センターの雨よけハウスにおいて、NERICA1,NERICA4,日本晴を供試して,畑土壌を充填した内径0.3 m、高さ1.1 mの塩ビ製ポットで栽培を行う。止葉が抽出を開始する出穂期の約10日前に,土壌表層から 0.05,0.30,0.60,0.8 mの深さに給水する灌水装置を設置して,土壌乾燥を連続的に再現する。湿潤域の低下に伴う気孔伝導度や葉面積,物質生産の反応,根系分布を測定することでイネの土壌水分吸水域を品種間で比較する。このような異なる土壌給水条件下での物質生産と子実生産が,2023年に測定した水利用量と水利用効率による推定値を反映するのかどうかを明らかにし,干ばつ下でのNERICAイネの耐乾性がどのような水分利用特性に基づき,どれほど品種間差があるのかを明らかにする。
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