Project/Area Number |
23K05213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39030:Horticultural science-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
立石 亮 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (30267041)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ポリガラクツロナーゼ / ペクチン / 果実 / 軟化 / 食感 / 離層形成 |
Outline of Research at the Start |
果実の軟化や食感の形成では果実細胞壁を構成するペクチンの変化が重要である。ペクチンの構造変化に関わる中心的酵素であるポリガラクツロナーゼ(PG)は、古くより果実の軟化に関わる酵素として園芸学分野では研究が行われてきた。このPGについては詳細な研究が行われてきたが、近年のゲノム解析により別の多くのPG遺伝子がゲノム上に存在し、植物のさまざまな部位、ステージで発現していることがわかってきた。本研究ではこれまで知られていなかったPGを中心に過去に調べられているPGと比較し、その酵素機能や植物、とくに果実における役割を明らかにすることを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
ペクチンはセルロースやヘミセルロースとともに植物細胞壁を構成する多糖類の一つである。ペクチンはとくに果実細胞壁に多く含まれることから、果肉の軟化や食感の形成において重要な役割をもつと考えられている。実際に、果実成熟時には、セルロースの変化はほとんど観察されないが、ペクチンの低分子および可溶化が生じる。ポリガラクツロナーゼは、ペクチンの主成分であるポリガラクツロン酸を加水分解し、低分子化することから、古くより果実の軟化に関わる主たる酵素として園芸学分野では数多くの研究が行われてきた。近年のゲノム解析により別の多くのポリガラクツロナーゼ遺伝子がゲノム上に存在し、植物のさまざまな部位、ステージで発現していることがわかってきた。本研究ではこれまで知られていなかったポリガラクツロナーゼと既知のポリガラクツロナーゼを比較することで、その酵素機能や植物、とくに果実における役割を明らかにすることを目的とするとともに、他の細胞壁分解酵素との協調的働きについても言及していく。果汁の放出を感じにくく、果肉が粉っぽい様相を示す果実(粉質化)を用いた解析では、果実硬度に大きな差がみられないが、果肉を構成する細胞間の接着が通常の果実と比べて低下していることが示された。主要な細胞壁代謝酵素のうち、いくつかの酵素遺伝子の発現上昇がみられたが、粉質化には既知のポリガラクツロナーゼであるPG2Aの積極的な関与は認められなかった。トマトに加えて、軟化系統と非軟化系統トウガラシの固定作業を実施中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
粉質化したトマト果実を用いて、その原因を果肉の物理的な変化の面から明らかにするとともに、関連する細胞壁代謝酵素の発現解析を行った。粉質化の形成は果実種や環境条件によってさまざまであるが、トマトにおいてはその形成における再現性が確認できた。得られた成果の一部は、IV Asian Horticultural Comgress(AHC2023)にて発表した。トマトの成熟時に発現し、著しい活性上昇を示すポリガラクツロナーゼであるPG2Aについては、リコンビナントタンパク質の発現を進め、実験系の構築に取り組んでいる。また、トマトに加えて、トウガラシにおけるポリガラクツロナーゼの機能解析を進めている。トウガラシでは、複数の品種の固定を進め、次年度の実験材料として供試する予定である。また、ポリガラクツロナーゼの基質となるべく天然多糖類を果実から抽出し、実験に供するための準備を行っている。これら結果や準備状況は、ほぼ実験計画通りで、研究は順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
果実の軟化において、トマト果実ではポリガラクツロナーゼではなく、別のペクチン分解酵素であるペクチン酸リアーゼによるペクチンの分解が重要であることが示されている。一方、イチゴ果実においては、ポリガラクツロナーゼとペクチン酸リアーゼの両方が軟化に関与しているとされている。トウガラシには、成熟期に果肉が軟化し多汁になるタイプとそうでないタイプが存在する。今後の研究の一つとして、軟化系統と非軟化系統、およびそれらの交雑系統を用いて、トウガラシ果実の軟化におけるポリガラクツロナーゼの役割について解析を進める。また、PG2Aのリコンビナントタンパク質等を用いて、酵素タンパク質としてのポリガラクツロナーゼの機能解析を進める。
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