Project/Area Number |
23K05240
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39040:Plant protection science-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 喜博 京都大学, 農学研究科, 助教 (90808875)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | コムギいもち病菌 / 強毒性 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、強毒系統の出現により現在世界的に広がりパンデミックの様相を呈している植物病原菌であるコムギいもち病菌を取り上げ、本菌の強毒化に関わる分子の同定・性状解析を通して、強毒系統出現・進化機構の解明を目指す。まず、強毒株と非強毒株を用いた遺伝解析および比較ゲノム解析により、コムギへの病原性の強さの差異を決定する遺伝的機構の解明および、その原因遺伝子の単離を行う。続いて、強毒系統出現前および出現後の様々な時期に野外から分離されたコムギいもち病菌集団のゲノム解析を通して、強毒化原因変異が病原菌集団内でどのように獲得され、進化してきたのかを明らかとする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本実験計画にある「コムギへの病原性の強さの差異を決定する遺伝的機構の解明と原因遺伝子の単離」に向けて、強毒株と非強毒株間の交配により雑種集団の作成と病原性の遺伝解析(分離分析)を行った。まず、コムギいもち病野外分離菌株の病原性の強さを定量評価することにより、各菌株を「強毒株」と「非強毒株」に分類した。続いて、様々な「強毒株」と「非強毒株」間での交雑親和性、稔性を網羅的に調べ、有性世代(子嚢殻、子嚢胞子)の形成が認められる交雑組み合わせを見出した。これらの結果を基に選抜した以下の3つの交配組合せについて、F1雑種集団を作出した。 交配組合せ1)では、強毒株としてT4株を、非強毒株としてB1株を用いて、F1雑種約80菌系からなるF1雑種集団を得た。接種試験によるコムギへの病原性の分離分析を現在進めているところである。 交配組合せ2)では、強毒株としてB4株を、非強毒株としてB3株を用いて、F1雑種約60菌系からなるF1雑種集団を得た。接種試験によりコムギへの病原性の分離分析を行ったところ、強毒性菌系と非強毒性菌系が1:3の割合で出現したことから、2遺伝子座の関与が示唆された。bulked segregant analysisによる遺伝子座乗領域特定のため、DNAサンプルの調製を進めている。 交配組合せ3)では、強毒株としてB4株を、非強毒株としてT3株を用いて、F1雑種約60菌系からなるF1雑種集団を得た。接種試験によりコムギへの病原性の分離分析を行ったところ、強毒性菌系と非強毒性菌系が1:1の割合で出現したことから、1遺伝子座の関与が示唆された。bulked segregant analysisによる遺伝子座乗領域特定のため、DNAサンプルの調製を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
強毒株と非強毒株間の交配に成功し、3つの交配組合せについてF1雑種集団を作出した。これらのうち2つの交配組合せについて遺伝解析を実施し、コムギへの強毒性に少数の遺伝子座が関わることを見出すことができた。「コムギへの病原性の強さの差異を決定する原因遺伝子の単離」に向けた遺伝解析系が確立できており、今後スムーズに遺伝子座のマッピングに進むことができる状態にある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、1)3つの交配組合せそれぞれについて、F1雑種集団を用いた病原性の分離分析と遺伝子座のマッピングを進め、強毒性原因遺伝子座乗染色体領域およびそこに存在する遺伝子を同定する。2)並行して、交配親として用いた「強毒株」および「非強毒株」について、コムギ感染時のトランスクリプトームデータを取得し、「強毒株」と「非強毒株」間の遺伝子発現多型やDNA配列多型を指標に、強毒性原因遺伝子候補の選抜を行う。 上記1)および2)の候補遺伝子について、強毒株における標的遺伝子破壊および非強毒株への遺伝子導入を行い、強毒性原因遺伝子の特定を目指す。
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