Project/Area Number |
23K05254
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39050:Insect science-related
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三條場 千寿 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (70549667)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
糸川 健太郎 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 主任研究官 (70769992)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | サシチョウバエ / 細胞内共生細菌 / リケッチア / ボルバキア / 共感染 |
Outline of Research at the Start |
細胞内共生細菌リケッチア、ボルバキアは、多くの節足動物で報告されているにもかかわらず、日本のサシチョウバエについてのこれら細菌の報告は皆無である。本研究では、1)サシチョウバエ共生細菌リケッチアおよびボルバキアの分子疫学調査を行い、サシチョウバエにおけるこれら細菌の日本における分布・拡散を明らかにする、2)サシチョウバエ媒介性ウイルス制御へのリケッチアおよびボルバキア関与を明らかにする。個体レベルでのミクロな視点と、集団レベルのマクロな視点の両方から検証を行い、サシチョウバエ共生細菌の基盤理解のみならず、ウイルスを媒介するサシチョウバエのリスク評価の一助とする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内共生細菌リケッチア、ボルバキアは、多くの節足動物で報告されているにもかかわらず、サシチョウバエにおける両細菌についての研究は殆どなされていない。我々は、新潟県佐渡市より採集されたニホンサシチョウバエから、リケッチア一種とボルバキア一種の完全長ゲノムアセンブリを得ることに成功した。したがって本研究では、サシチョウバエに共生する細胞内共生細菌リケッチア、ボルバキアの実態を解明し、サシチョウバエ媒介性ウイルス制御へのリケッチアおよびボルバキア関与を明らかにすることを最終目的としている。 日本に最も広く分布しているニホンサシチョウバエ(Sergentomyia squamirostris)をターゲットとして、初年度はリケッチア/ボルバキアの感染率を調査し、分布・拡散を明らかにすることを目的とした。北海道、新潟、群馬、石川、兵庫、長崎県より採集したサシチョウバエ成虫564個体につき、リケッチアの外膜蛋白質AであるompA遺伝子およびdnaA遺伝子、ボルバキアの膜タンパク質のwsp遺伝子それぞれをターゲットとしたPCRより感染状況の解析を行った。リケッチアはサシチョウバエのメスのみが感染していることが明らかになり、Torix群リケッチアにおいて感染率の性差を示す初の報告となった。ボルバキアについては、メスの感染率が高いものの雌雄ともに確認された。リケッチア・ボルバキアともに感染率には地域差が見られ、新潟県、群馬県においては、メス成虫ではそれぞれ、リケッチア75%、64%、ボルバキア72%、67%であるのに対し、兵庫県、長崎県ではいずれも0%であった。また、リケッチアとボルバキアの共感染率が有意に高かったことから、2種の共生細菌は相互に、あるいは片方の細菌がもう一方に何らかの影響を与えていることが推測された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニホンサシチョウバエの飼育法が確立されていないため、卵、幼虫からリケッチア/ボルバキアの検出を試み、経卵伝播について明らかにするには、さらなるサンプル数を得るための工夫が必要となる。
|
Strategy for Future Research Activity |
サシチョウバエの国内調査および採集を継続し、分子疫学解析を行いサシチョウバエの多様性とリケッチア/ボルバキアの多様性の相互関係について検証する。また、リケッチア/ボルバキアの16S rRNAを標的とするオリゴヌクレオチドプローブ蛍光 in situ ハイブリダイゼーション法により、サシチョウバエ体内でのこれら細菌の局在を明らかにし、リケッチアとボルバキアは共存関係にあるのか否か検証する。さらにニホンサシチョウバエ の飼育を行い、卵、幼虫からリケッチア/ボルバキアの検出を試み、経卵伝播について明らかにする。得られた結果を集約、総合的に評価し、国内におけるサシチョウバエ共生リケッチアおよびボルバキアの分布・拡散を明らかにする。
|