Project/Area Number |
23K05261
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39050:Insect science-related
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西 大海 九州大学, 農学研究院, 助教 (30747879)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,120,000 (Direct Cost: ¥2,400,000、Indirect Cost: ¥720,000)
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Keywords | 昆虫寄生菌 / 白きょう病菌 / 病原性 / 選択性 / 病原力遺伝子 / 標的遺伝子破壊 / ゲノム編集 / 宿主選択性 / タバコカスミカメ |
Outline of Research at the Start |
冬虫夏草類に所属する、殺虫剤としての利用が多い広宿主域の昆虫寄生菌は、害虫だけでなくその捕食性天敵や花粉媒介者などの益虫類にも感染する場合がある。本研究では、広宿主域の昆虫寄生菌について、特定の遺伝子を破壊することで益虫類に感染しにくくなるように選択性を改良することを目指し、寄生性関連遺伝子の選択性の解明に取り組む。また、従来法で遺伝子を破壊すると外来DNAが導入された遺伝子組換え体となるため、その遺伝子破壊株を殺虫剤として利用する際には、遺伝子汚染などの生物多様性リスクが生じる。本研究ではそのリスクの最小化のため、ゲノム編集を利用した外来DNAを導入しない遺伝子破壊法の確立にも取り組む。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、微生物農薬として利用されている白きょう病菌GHA株において、病原力遺伝子の選択性(病原力因子として機能する宿主昆虫の範囲)の実態の解明とゲノム編集プラスミドリサイクリングによるマーカーフリーな標的遺伝子破壊系の確立を目的とした。 今年度は前者の研究を中心に行った。既知の病原力遺伝子であるチトクロムP450遺伝子 Bbcyp52x1、ABCトランスポーター遺伝子BbPdr5、AMP依存的プロテインキナーゼ遺伝子 BbSNF1、ABCトランスポーター遺伝子BbMrp1、GPIアンカー型膜タンパク遺伝子BbMad2遺伝子の遺伝子破壊ベクターを作製した。前者3遺伝子については、GHA株において遺伝子破壊株を作製し、遺伝子破壊株の選択性をミカンキイロアザミウマ、タバコカスミカメ、ヒロズキンバエ、およびチャイロコメノゴミムシダマシの4種の供試虫により評価した。その結果、3遺伝子とも選択性は異なっており、親株と比較して病原力は、BbSNF1破壊株はキンバエ以外に対して減少したが、BbPdr5破壊株ではタバカメとアザミウマのみで減少した。Bbcyp52x1破壊株では病原力の減少はどの供試虫に対しても認められなかった。 GHA株におけるタバコカスミカメに対する選択的病原力遺伝子の候補を絞り込むため、まずタバコカスミカメに対するGHA株の感染様式を明らかにした。SEM観察により接種後24時間後には発芽し付着器形成が開始していた。パラフィン包埋切片の観察により、36時間後には菌糸がクチクラを貫通しクチクラ付近にのみ菌糸が観察され、72時間後の生存個体では全身に菌体が広がる様子が観察された。 ゲノム編集プラスミドリサイクリングによるマーカーフリーな標的遺伝子破壊系の確立については、GHA株において、スルホニルウレア耐性遺伝子を選択マーカーとしてGFP遺伝子を導入した形質転換体を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既知の病原力遺伝子の中で選択性(病原力因子として機能する宿主昆虫の範囲)の異なる遺伝子を見つけることができたため。また、感染進行の時系列解析については、クチクラ貫通と体内増殖の時期をそれぞれ決定することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
病原力遺伝子の選択性の実態の解明については、白きょう病菌において既知の病原力遺伝子の選択性については、継続してGHA株における選択性の調査を行う。 タバコカスミカメに対する選択的病原力遺伝子の候補を絞り込みについては、感染進行について、定量PCRにより時間経過とともに幾つかの既知の病原力遺伝子が変動していることを確認するとともに、サンプリング時期に菌のRNAの量が十分に存在することを確認する。昨年度の結果に基づいて、接種後36時間目をクチクラ貫通期、72時間目を体内増殖期として、その時期の接種個体をサンプリングしてそれぞれRNA seq解析を行い、発現が変動している遺伝子を病原力遺伝子の候補とする。また宿主範囲が狭くタバコカスミカメに病原力の低い昆虫寄生菌のゲノム解析も行い、宿主範囲の広い種と比較して保存性の低い遺伝子を選択的病原力遺伝子の候補とする。以上の二つの解析から候補遺伝子を絞り込み、GHA株において遺伝子破壊株を作製して病原力遺伝子であるか確認する。 ゲノム編集プラスミドリサイクリングによるマーカーフリーな標的遺伝子破壊系の確立について、GFP遺伝子を標的としたゲノム編集プラスミドを作製し、GFP発現GHA株にプロトプラスト-PEG法により導入し、GFP遺伝子を破壊可能であるか確認する。
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