Effects of changes in the soil environment associated with urbanization on plant distribution and adaptive evolution
Project/Area Number |
23K05272
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 39060:Conservation of biological resources-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
下野 嘉子 京都大学, 農学研究科, 准教授 (40469755)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | 適応進化 / 土壌 / 都市 / 分布パターン / 外来植物 |
Outline of Research at the Start |
都市に広く使用されているコンクリート製品には原料として石灰が含まれているため、舗装道路ぎわに堆積した土壌にはコンクリートから溶脱したカルシウム分が過剰に含まれており、アルカリ性を示す。一方、日本には酸性土壌が多く、日本の在来植物は酸性土壌に適応したものが多いと考えられる。土壌環境の違いは生育する植物の種構成に影響を与えるだけでなく、種内の適応進化を引き起こす環境要因となりえる。本研究は、代表的な人為的撹乱地である都市と農耕地の植物種構成を比較し、相互播種実験および集団遺伝学的解析を通して、都市化に伴う土壌環境の変化は植物の適応進化をもたらす原動力となっているのかを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
都市に広く使用されているコンクリート製品には原料として石灰岩が含まれているため、道路ぎわに堆積した土壌には、コンクリートから溶脱したカルシウム成分が過剰に含まれており、pH8.0前後のアルカリ性を示す。カルシウムが過剰な石灰質土壌では、植物の生育に欠かせないカリウムやリン、鉄やマンガンが、土壌に強く吸着されたり難溶化したりすることによって、植物が利用しにくくなる。一方、降水量の多い日本には酸性土壌が多く、石灰岩地に生育するものを除いて、日本の在来植物は酸性土壌に適応していると考えられる。稲作あるいは田畑輪換が主に行われている日本の農耕地の土壌は、pH5から6程度の酸性を示す。土壌環境の違いは、種内の適応進化を引き起こす原動力として注目されてきたが、都市特有のアルカリ性土壌が種の分布をどの程度規定しているのか、種内の適応進化をもたらす原動力となっているのかは未知のままである。 本研究では、都市における代表的な生育地として舗装道路わき(路傍)に注目する。2023年度は、路傍と農耕地において植生調査を行い、路傍にのみ優占するが農耕地にはほとんど見られない種(路傍の指標種)、路傍にはほとんど生育していないが農耕地に優占する種(農耕地の指標種)、両生育地に高い頻度で出現する種(共通種)を明らかにした。 また、共通種のうち出現頻度が最も高かったスズメノカタビラについて、生育地の異なる集団間に遺伝的分化が見られるのかを、MIG-seq法を用いた集団遺伝構造解析から明らかにした。その結果、スズメノカタビラには遺伝的に分化した2つのグループが存在し、一方のグループには農耕地から採取した個体のみが属し、もう一方のグループには農耕地と路傍の両方の環境から採取した個体が属することが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
滋賀県東岸の農耕地と路傍各25地点において、春と秋に植生調査を行った。それぞれの調査地において10mのライントランセクトを5本設置し、出現した種と出現トランセクト数を記録した。出現種について生活環(冬一年生、夏一年生、多年生)や原産地(在来、外来)を生育地間で比較し、種構成の違いを非計量多次元尺度法(NMDS)を用いて解析した。農耕地では春と秋にそれぞれ150種以上を記録したのに対し、路傍では120種程度であった。記録種のうち外来植物種の割合は、農耕地では35 %程度、路傍では50 %程度であり、路傍の方が外来植物の割合が高かった。農耕地と路傍の植生は大きく異なり、路傍の指標種は外来の冬生一年草が多く、農耕地の指標種は在来の夏生一年草が多かった。 共通種のうち出現頻度が最も高かったスズメノカタビラについて、生育地の異なる集団間に遺伝的分化が見られるのかを明らかにするために、MIG-seq法を用いた集団遺伝構造解析を行なった。12か所の農耕地とその近傍の路傍からスズメノカタビラの葉を採取し、簡易CTAB法によってDNAを抽出した。MIG-seq法によって得られたSNPs情報をもとにSTRUCTURE解析と主成分分析を行った。その結果、スズメノカタビラには遺伝的に分化した2つのグループが存在し、一方のグループには農耕地から採取した個体のみが属し、もう一方のグループには農耕地と路傍の両方の環境から採取した個体が属することが示された。両者が混在する農耕地においても雑種がほとんど見られず、両者間に繁殖隔離が存在することが示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
各生育地の指標種および両生育地の共通種の中から、それぞれ6種ほど選定する。この際、生育地間で分類群が大きく異ならないように、同科あるいは同属種がセットとなるように種を選定する。また、人為的撹乱地には生活環の短い一年草が多いことから、一年草を選定する。これらの種の結実時期に種子を採集する。共通種については路傍および農耕地両方から種子を採集する。 上記で採集した指標種および共通種の種子を用いて、発芽特性(種子休眠の深さ、最適な発芽温度など)を調査する。休眠解除処理として、室温での乾燥保存処理、4度での冷湿処理、30度での温湿処理を、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月おこなう。発芽実験は10/20度、15/25度、20/30度、25/35度の4段階の温度条件でおこなう。これらの発芽実験から、発芽特性が生育地間で異なるかを明らかにする。休眠解除に有効な処理および発芽に最適な条件を明らかにした後、この条件下で以下の実験をおこなう。緩衝剤MESを用いてpH5.5に調整した培地および緩衝剤HEPESを用いてpH8.0に調整した培地に種子を播種し、pHの違いによって発芽率や実生の成長量が異なるかを調査する また、路傍と農耕地の土壌特性を模擬した試験区を大学の圃場に作り、各種の種子を播種し、その出芽、死亡、開花、結実を1週間ごとに記録する。路傍区の土壌は、砂、石灰、培養土を組み合わせて、農耕地区の土壌は、弱酸性の粘土質土壌と培養土を組み合わせて、現地のpHと可給態窒素の値に近い土壌を作成する。この相互播種実験を通して、発芽時期や死亡時期に生育地特有のパターンが見られるのか、Home site advantage(由来する生育地と同じ試験区に播種した個体のほうが、異なる試験区に播種した個体よりも高い適応度を示すこと)が見られるのかを検証する。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)