Project/Area Number |
23K05313
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 40010:Forest science-related
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
伊藤 幸男 岩手大学, 農学部, 准教授 (90292177)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 洋一郎 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 助教 (30468061)
三木 敦朗 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (60446276)
高野 涼 弘前大学, 農学生命科学部, 助教 (80913607)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 林業 / 低賃金 / 地域労働市場 / ハローワーク / 標準設計単価 / 森林組合 / 賃金 / 日給制 / 雇用 / 労働力 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、日本林業の雇用労働において、日給制に象徴される低賃金構造を解明すること を目的としている。具体的には、賃金を強く規定するであろう①制度、②事業体経営、③労働市場の視点から3つの仮説を立て、それらを実証的、理論的に検討し、今日的低賃金構造の要因を解明しようとするものである。研究対象とする地域は、北東北、東山、南九州とし、林業構造や労働市場の違いが賃金水準や賃金形態の地域差といかなる関係があるのかについて解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本林業の雇用労働において、日給制に象徴される低賃金構造を解明することを目的としている。具体的には、賃金を強く規定するであろう①制度、②事業体経営、③労働市場の視点から3つの仮説を立て、それらを実証的、理論的に検討し解明しようとするものである。 理論面での研究では、林業内部の要因分析の前に、林業外部の要因についての検討が必要とのことから、農村の地域労働市場を対象とした低賃金研究をレビューし、林業における低賃金研究の課題を次の3点に整理した。1点面は、地域労働市場において林業労働がどのように位置付いているかの確認が必要であることである。2点目は、今日、低賃金の要因とされた「切り売り」労賃層が検出されない地域が増え、新たに「家族規範」に基づく「ワリカン」賃金説が提唱されているが、林業労働の低賃金もこれで説明が出来るのか検討が必要である。3点目は、林業における地域労働市場は、農村地域労働市場よりも広い概念の適用が必要ではないか、というものである。これらの成果は、第135回日本森林学会大会(2024年3月8日)において発表した。 実態面での研究は、次の3点について実施した。1点目は、ハローワークにおける求人票から林業の初任給のデータを収集した。全国のハローワークにおいて3ヶ月毎に更新される求人票から1年間データ収集を行い、今日の林業の賃金水準の実態把握をおこなった。具体的な分析は今後実施することとしている。2点目は、造林補助に関わる制度分析で、各県が定める造林事業の標準設計単価の近年の動向について予備的な調査を実施した。間接経費の割合が増加し、賃金の上昇に結びつく可能性が確認された。3点目は、森林組合の近年の事業動向と賃金について、鹿児島県を事例として予備的な調査を実施した。生産性の高い主伐の増加から、月給制の導入や賃金の上昇に結びつく事例が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は、2年目の実態調査の前段階としての研究をおこなった。その1つは理論面での研究枠組みの改めての検討で、林業の外部の低賃金要因の整理をおこなうことで、一般経済理論で読み解くことの出来る部分と、林業の特殊性の部分とを整理することが出来た。このことによって、当初設定した仮説の精度を上げることができ、2年目の実態調査の具体的な枠組みの検討が可能となった。 ハローワークのデータ収集は、当初、アンケートにより賃金実態を把握する計画であったが、配分された予算の都合から経費の少ないデータ収集を検討した結果である。データ収集を自動的におこなうソフトによって実施しており、効率化を図ることが出来た。 実態調査の予備調査は、2年目の調査の対象を絞り込むための分析視角、論点の抽出のために実施した。限られた予算で、対象地域の範囲、調査対象の検討をおこなうことが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の研究は、理論面での検討と実態調査をおこなう。 理論面での研究は、1年目での課題としてあげた、林業における地域労働市場の概念について検討をおこなうことである。農村地域労働市場の研究では、集落単位での把握が中心であったが、林業においては1つの事業体に複数の市町村から就業していることも珍しくはない。より広域の地域労働市場を前提としたときの低賃金構造の理論とはどのようなものなのかについて検討をおこなう。 実態把握については、1つは、データ収集をおこなっているハローワークのデータの分析をおこなう。データ収集は引き続きおこなう。また、他の調査研究において収集されたデータが活用出来ないかを検討する。また、予備調査の結果を踏まえ、北東北、東山、南九州における林業経営体を調査し、経営体内部及び外部の賃金形成の要因とメカニズムについて解明する。 以上の成果を学会発表等で報告する。
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